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【PR】モビリティースナック、閉店。みんなの興味関心を持ち寄ってつなぐ地域の移動の可能性

鉄道をはじめ、さまざまなモビリティーをもっとみんなの関心ごとに、気軽に取り組みに交えていこうと開かれたモビリティー人材の社交場「モビリティースナック」。「みんなの」という言葉の通り、およそ半年間にわたって100人以上が関わり、さまざまな活動に取り組んできました。
2月6日に行われた「グランドフィナーレ」は、そうした活動を通じて集まった学びや知見をシェアする報告会です。リアルな会場は千曲市・戸倉上山田温泉の圓山荘(まるさんそう)、他にオンライン配信も活用して開催された様子をレポートします。

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さまざまな企画を経て、再び千曲市・圓山荘に集合

モビリティー人材の社交場「モビリティースナック」とは、千曲川ゴーランド推進チームが主催し、株式会社ふろしきやの田村英彦(たむら・ひでひこ)さんと山崎哲也(やまざき・てつや)さんが旗振り役として進めるプロジェクトです。正式には、国土交通省の「令和6年度共創・MaaS実証プロジェクト モビリティー人材育成事業」に採択された「鉄道回遊コンテンツを活用した広域連携デジタル人材育成事業」ですが、簡単に言うと「もっと地域に、モビリティーを楽しむ仲間を増やすための取り組み」。2024年9月に行われた「オープンスナック」を皮切りに連続企画がスタートし、行政や鉄道会社の皆さん、その他の企業や個人、学生など、立場を越えてさまざまな人が参加をしてきました。

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初回オープンスナックの様子。県内外から60名以上の参加者が千曲市に集まった

田村さん「モビリティーという言葉だけでは、私も含めて今の自分の暮らしに結び付けるのは難しく、考えにくい部分があるように感じます。でも実はモビリティー、特に電車やバスなど地域交通は、もっと私たちの身近な存在で、企画を持ち込んだり一緒に楽しんだりする余地がある。そんな小さな”できるかも”というアイディアを持つ人を増やしたくて、半年間さまざまな人の力を借りて走り続けてきました」

企画は、千曲市内ですでに行われている取り組みのブラッシュアップを目的にした「スナックチクマ」と、広くしなの鉄道沿線を対象にした「スナックシナノ」の2コース。それぞれ分かれて「モビリティースナックトレーニング」と題した企画を実施してきましたが、グランドフィナーレでは、両方が一堂に会して発表を行います。

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会場は40人、オンライン配信には20名ほどが参加した。セクターを越えた交流も会の目的のひとつ

どのような課題からどのような手法でアプローチを試みたのか、その結果はどうだったのか。各トレーニングの発表の様子を覗いてみましょう。

自転車、グルメに雪遊び、個性あふれる5つのトレーニング

「ヒットパレード」と題して行われたトレーニングの発表には、スナックチクマから「湯けむりNEOネオン号サイクルトレイン」「上田-千曲周遊 シェアサイクル・しなの鉄道フリーパス」、スナックシナノから「クリスマス千曲市イベント(駅・鉄道・バス回遊)」「サ鉄(サウナ+鉄道)」「SnowLine Festival ~北しなの冬の駅巡り~」の、合計5つの企画が参加しました

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初回からずっと参加者を見守ってきたネオンと看板が光る報告のステージ

【湯けむりNEOネオン号サイクルトレイン】
信州千曲観光局が運行する専用臨時列車「湯けむりNEOネオン号」の更なる周知・拡散と活用を考えてきたこちらのグループは、長野県内の各路線に広がりを見せる「サイクルトレイン」を企画しました。戸倉上山田温泉から心地いい景色が広がる千曲川沿いを走り、趣を感じる「旧北国街道」やドライビングコースとしても人気の「1000m林道」を抜けて軽井沢町まで、およそ65kmを結ぶサイクリングコース。「走り終えたら軽井沢町にあるスイーツ店でパワーチャージをし、電車で温泉地に戻ってゆったり過ごそう」という、盛りだくさんな設計です。

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実際に配布されたイベント告知のチラシ

10月9日の開催日には6名の参加者が集まり、それぞれのペースでコースを走行。東信エリアの景色の良さや、軽井沢町での知らない店との出会いを楽しみました。実際に行ってみると、地図上では見えなかった高低差の厳しさや、自転車を持って駅構内を歩く際の動線など課題も見えてきたといい、今後の展開に向けて更なるブラッシュアップが期待できそうな内容でした。

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湯けむりNEOネオン号サイクルトレイン資料

【上田-千曲周遊 シェアサイクル・しなの鉄道フリーパス】
モビリティースナックの中心メンバーと、千曲市のシェアサイクル担当者、信州千曲観光局などさまざまな人が関わった周遊コースの提案企画。11月23日から12月1日までの間に18枚のフリーパスが購入され、35回のシェアサイクルの乗り降りが確認されました。

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コース設計を担当したのは筑波大学大学院の2人。千曲市から上田市まで20km離れたエリアをつなぐ工夫がシェアされた

電車とシェアサイクルがスマホひとつで乗り継げ、地域のおすすめスポットの案内や、お得なクーポンがセットになった企画は、「県内のラジオで耳にしました」と声がかかるなど話題性もあったそう。実施したアンケートをもとにまだまだ改善の余地はありますが、担当者からは「口コミで広がっていくのは嬉しい」と感想がシェアされました。

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上田-千曲周遊 シェアサイクル・しなの鉄道フリーパス資料
しなの鉄道沿線で始まる「モビリティースナックトレーニング」。秋冬の楽しみは、電車を味方にして遊び尽くそう!

【クリスマス千曲市イベント(駅・鉄道・バス回遊)】
続いての企画は、みんなで集まってアイディアを出し合った「アイディアハイボール」で生まれた駅をつないで楽しむイベント企画です。当初から「地域」を意識し、徹底したユーザー目線が印象的だったアイディアは、5回目の開催となる千曲市役所の「クリスマスマーケット」とコラボする形で企画を実施。「当日は駐車場や周辺道路が混み合って大変」という地域側の課題もあり、解決に向けて多くの関係機関が手を組みました。

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配布したチラシにはバスや電車の時刻表を載せ、積極的な利用を呼びかけた

開催後に集計したデジタルフリーパスのバス利用者は13名。市バスの担当者からは、「フリーパス購入数自体は多い数ではありませんでしたが、いつもよりバス乗車を待つ人も多く見られました」と感想が届いたといいます。

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クリスマス千曲市イベント(駅・鉄道・バス回遊)資料
鉄道を使って出かけよう。 アイディア弾けるスナックシナノで生まれた6つの企画

【サ鉄(サウナ+鉄道)】
軽井沢駅、小諸駅、上田駅、戸倉・屋代駅周辺のサウナを、2Daysのフリーパスを使って回遊してもらおうと企画された「サ鉄旅」。新たな旅の形を提案しようと集まったのは、モビリティースナックの参加者や運営メンバーと、「信州サウナ同盟」や「浅間サウナライン」など既存のサウナコミュニティの皆さんです。

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駅構内に掲示されたポスター。企画実施にあたってロゴマークも新設した

実施期間中の移動数は多くありませんでしたが、なかには軽井沢から戸倉・屋代間を移動した人のデータもあり、「サウナというコンテンツが首都圏や軽井沢の居住・滞在者に好まれているのかも」という予測も。「とはいえ、駅からサウナ施設までの移動は不便であり、徒歩だけの選択肢ではユーザー負担が大きすぎる」など改善点も見られ、専門家からは「バスやタクシーなど、2次交通との連携を進めてみては」と提案が出されました。

▶︎関連リンク
サ鉄(サウナ+鉄道)資料
鉄道、サウナとまち歩き。心地よく整う「サ鉄旅」のススメ

【Snow Line Festival〜北しなの冬の駅巡り〜】
「真冬の北しなの線」というハードな環境を逆手に取って企画された鉄道と雪遊びの企画、Snow Line Festival。地域のどんど焼きに合わせて1月12日に開催されたイベントは、牟礼(むれ)駅、古間駅、黒姫駅の3駅を会場に延べ150人ほどが参加する盛り上がりを見せました。

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古間駅では、雪だるまの駅長づくり。子どもたちが駅長の帽子や制服を着て写真撮影を楽しむ様子も見られた

「長野の自然と電車移動の手軽さを感じてもらえるような企画を」とアイディアを形にするため動いてきたのは、信州大学の有志グループの皆さん。かまくら作りや会場設営、キッチンカーなど出店を募る場面では、地域に暮らす人の応援も受け、多くの連携が生まれる企画となりました。

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全体資料
信州大学生資料
鉄道を、もっと楽しく自由に。若者たちのアイディア光る「雪×北しなの線」企画を追え!

アイディアを記録・検証し、改めてモビリティーを考える

内容盛りだくさんでシェアされた各チームの発表を終え、最後は「トレインママ」こと株式会社MaaS Tech Japanの清水さんから期間中の乗車データ等のフィードバックと、各鉄道事業者、信州千曲観光局の皆さんからコメントが寄せられました。

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オープンスナックから始まり、ほぼ全ての回に伴走している清水さん

清水さん
安心安全な輸送機関の運行をミッションに事業を行う鉄道事業者の皆さんと、新たな視点を持った若者、まちづくりや観光に携わる人たち、またその地域を支える行政など、さまざまな接点が増えた今回の事業。「普段は鉄道やバスに乗るだけ」という利用者をどう巻き込んで行くのかが、ひとつ、事業の大きなポイントでしたが、こうしてたくさんの事例が生まれたのは、大きな成果だと思います。

期間中にカウントされた延べ乗車数は166トリップ。企画に絡めて販売されたフリーパスはすべてデータを取り、分析をしてあります。今日シェアされた皆さんの工夫や課題と照らし合わせ、今後の考察に役立ててもらえたら嬉しいです。

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1番多かったのは1月12日に開催された北しなの線のイベント。単にフリーパスを売るだけでなく、沿線を楽しみ、知ってもらうための仕掛けを行う意義も感じられた

しなの鉄道
企画から実現、発表まで、皆さん本当にお疲れ様でした。サイクルトレインやフリーパスの販売、沿線でのイベント企画など、鉄道会社の社員だけでは気づかない視点でチャレンジを行い、さまざまな人に興味を持ってもらうきっかけになったのではないかと思います。会社としては「協力」という姿勢でサポートを行ってきましたが、社内メンバーにも良い刺激が生まれています。「地域に生きる」を使命に、これからもチャレンジをしていきたいと思います。

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アイディアオンステージでも、終始笑顔で企画誕生の瞬間に立ち会ってくださった鉄道会社の皆さん

JR東日本 長野支社
9月のオープンスナック以来、今日が3回目の参加となりました。社内でも、日頃から沿線の魅力向上や地域共創など考えてはいますが、5つのプロジェクトの発表を聞き、もっと柔軟に発想を転換していきたいと感じました。さまざまな苦難もあったと思いますが、本当にお疲れ様でした。少子高齢化や人口減少など、私たちが直面している課題は多くありますが、地域の暮らしを良くして、盛り上げていくことで移動を促す。今後もモビリティーの好循環に着目していきたいと思います。

長野電鉄
オープンスナックからアイディアハイボールなど全3回に参加をさせていただきました。改めて振り返ってみると、さまざまな意見や想いを聞き、毎回新しい刺激をもらっていたように感じます。事業者として考えていること、取り組んでいることは多々ありますが、やはりそれだけでは難しい現状。地域の方や学生の皆さん、これからも会社という枠を越え、多くの方と連携する可能性を追求していきたいです。

アルピコ交通
さまざまなイベントの発表を聞きながら、「やはり形にするっていいな」と感じる時間でした。イベントといえばアルピコ!今までもこれからも、企画の持ち込みは大歓迎なので、ぜひ声をかけてください。

信州千曲観光局
観光という視点からも、日々さまざまな課題を感じる地域の交通。半年間のモビリティースナックを通じて学生の皆さんや交通事業者の皆さんと関わりができ、今後の楽しみが増えたように思います。

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3時間を超えたグランドフィナーレを終えて記念写真。半年間、お疲れ様でした!


例えば「温泉旅行をしよう」と思ったとき、皆さんはどんなことを考えますか?

「まずは好みの温泉宿を探して、近くの食べ歩きスポットをチェックして。向かう途中もなにか体験をしたり、お土産を探したりできたらいいな・・・」なんてプランを描きつつ、LINEを使ってタクシーやシェアサイクルを手配したり、お得なクーポンを通じて地域の新しいお店に出会ったり。「移動」や「地域の交通機関」を取り巻く状況が、時代やニーズに合わせて大きく変化し、さらに私たち一人ひとりが主体的に使い、関わっていく必要が出てき始めています。

「月に一度、家族のお出かけを電車に変えてみる」とか、「イベントを企画するときに、ちょっと電車やバスの時刻表を意識してみる」とか。一人ひとりの小さな意識が、まだまだもっと未来の移動を変えていくのかもしれません。

モビリティー人材の社交場・モビリティースナック、これからもどうぞ、ご贔屓に。

 

詳細:https://furoshiki-ya.co.jp/workationlab#mobilitysnack
主催:株式会社ふろしきや(千曲川ゴーランド推進チーム)

※こちらの事業は、国土交通省「令和6年度共創・MaaS実証プロジェクト モビリティー人材育成事業」に採択された「鉄道回遊コンテンツを活用した広域連携デジタル人材育成事業」として実施しています。


撮影:五味貴志・長野県観光機構・他 取材・文:間藤まりの

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