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長野県のダムは楽しい。ダムカードと一緒にスペクタクルな冒険に出かけよう

山道をのぼった先、大自然に抱かれながら忽然と姿を現す巨大人工構造物・ダム。四方を山々に囲まれ、急峻な谷間を縫うように川が流れ、土地を潤す長野県では、その水源の治水・利水を図るため、あちこちに個性豊かなダムが存在します。
生活のために作られたダムですが、その迫力ある景観は観光資源としても魅力的で、ダムへ行き、ダムカードを集めることなどを目的とした旅「ダムツーリズム」も人気です。

ダムツーリズムに出かけるにあたり、ダムにはどんな魅力があるのか、そして長野県のおすすめダムとは。全国のダムに精通している「ダムマニア」ホームページ管理人の宮島咲さん、「DamApp」アプリ制作者の小久保勇太さんのお二人に伺いました。

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ダムの魅力。ダムめぐりの楽しみ方とは

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小渋ダム ©︎天竜川ダム統合管理事務所

そもそもダムとは、川の水を堰き止めて水を貯める、高さ15メートル以上の構造物のこと。その役割は主に洪水を防いだり軽減したりする洪水調節、水資源の確保、発電などが挙げられ、私たちの暮らしを支えています。

全国のダムをめぐり、ダムを愛するお二人にダムのどこに惹かれるのかを伺うと、「最初はダムの圧倒的な大きさが誇るかっこよさに、無条件に感動します。そこからいくつかのダムをめぐって行くと、ダムごとに型式や設備などが異なり、それぞれの表情に個性があることも分かります。またなぜこのダムが作られたのか、その背景やストーリーを知ることも、ますますダムめぐりの魅力を倍増させていくのです」とのこと。

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高遠ダム ©︎長野県企業局

ダムは基本的に山奥にあるため、ときには険しく不安な道程を辿ることもありますが、そんなところも冒険心を駆り立てられるポイント。やがてダムが現れた時のインパクトは、達成感や非日常感をも味わえます。
さらにその形状がアーチ状だったり石でできていたりなど、いくつかの型式の特徴を知るとより深く多角的にダムを捉えることができ、また私たちの生活と直結しているという意義にも触れると、ますますダムが身近に感じられ、ほかのダムも見てみたい!知りたい!と、気づけばダムの虜になっていくのです。

ダム湖周辺は公園や遊歩道が整備されていることもあり、四季折々の景色を眺めながらゆったりと自然散策を楽しんだり、道中の道の駅などに立ち寄ってその土地のグルメを味わったりと、ダム鑑賞に付随したさまざまな楽しみ方ができる点も魅力。ダム近くの飲食店ではダムの形を模した「ダムカレー」が提供されている場合もあるので、ダムカレーを食べれば、ますますダムめぐりが思い出深いものとなるはずです。

ダムへ行ったらダムカードを集めよう!

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ダムめぐりだけでも十分満喫できますが、加えてセットで楽しみたいのが、ダムカード集め。
ダムカードとは、ダムの簡易パンフレットで、表面にはダムの写真、裏面には型式や貯水池の容量などの基本情報、さらにダムを建設したときの技術といったマニアックな情報まで掲載されています。

表面の右側にあるアルファベットは、右上がダムの目的、右下がダムの型式を意味しており、複数の目的を持つ多目的ダムの場合は、右上のアルファベットも複数並びます。集めたダムカードと、各記号の意味を照らし合わせて見れば、よりダムへの理解が深まります。

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ダムカードはダムの管理事務所や近隣の道の駅などで配布されており、ダムに行かないともらえないという点や、統一したデザインがコレクター魂をくすぐるポイント。
ダムへ行ったことを証明するために訪問時の写真を提示する場合も多く、おひとり様1枚まで、郵送不可など、配布方法も徹底されています。

国土交通省と水資源機構が管理するダムのほか、都道府県や発電事業者の管理するダムで作成されており、その数なんと1000にも迫るのだとか。
「周年記念やイベントで特別なカードが配布されたり、バージョンが変わることもあるので、それもコレクションするというディープな楽しみ方もあります」と語る小久保さんは、なんと857枚のダムカードを所持しているそう(取材時点)。宮島さんはダムカード収集専用の「ダムカード コレクションファイル」を開発されています。ダムカード集めをきっかけに、ダムめぐりにはまる人も多いそうです。

ここまでの話でも、実際にダムへ行き、ダムカードを集めてみたくなるのではないでしょうか。それではさっそく、ダム有識者であるお二人に「長野県のダムならぜひここは行ってほしい!」とおすすめするダムと、その見どころを教えてもらいました。

ダム愛好家のお二人が太鼓判。長野県必見ダム!4選

高遠ダム(伊那市)

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グリーンシーズンも美しい高遠ダム ©︎長野県企業局

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桜に彩られたダム湖 ©︎長野県企業局

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春のライトアップ。桜のマークも愛らしい ©︎長野県企業局

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高遠ダム ダムカード ©︎長野県企業局

高遠城趾公園のすぐそばにある、重力式コンクリートダム。ダム下流に架かる白山橋からダムを間近に見下ろすことができ、放流時には勢いよく水が流れ落ちるダイナミックな光景が見られます。
春になるとダム湖の周囲を取り囲むように美しい桜が咲き誇り、夜には堤体が桜色にライトアップ。また紅葉やクリスマスなどにも、その季節をイメージしたカラーでライトアップされます。「訪れる人を楽しませる、その心意気がすばらしいダムだと思います」と、宮島さん。博物館や美術館など、ダム以外の周辺観光が充実している点も訪れやすいポイントです。

名称:高遠ダム
住所:長野県伊那市高遠町東高遠花畑466(高遠ダム管理事務所)
問い合わせ:高遠ダム管理事務所 0265-94-2210
アクセス:飯田線伊那市駅からJRバスで約23分の高遠駅から徒歩約20分、伊那ICから車で約30分
ダムカード配布場所:高遠管理事務所、高遠さくらホテル
URL:高遠ダム管理事務所
備考:「高遠さくら祭り」の時期は大変な混雑となり、交通規制があります。

南相木ダム(南佐久郡南相木村)

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圧倒的なスケールを誇る南相木ダム ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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美しい石積みのロックフィルダム ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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ほかのダムにはない白さが魅力 ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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南相木ダム ダムカード ©︎滝見の湯

標高1532メートルという日本一標高の高い場所に位置し、ダム自体も堤高136メートルと、国内でも有数の大きさ。さらに特筆すべきなのは、その見た目。堤体に白い石灰岩を使用したロックフィルダムで、真っ白な姿は一見ダムには見えない、神秘的な雰囲気を漂わせています。ダム右岸に「天空の石広場」や、ダム湖の周回約5.5キロの散策路もあるので、自然と気軽に親しめるところも魅力。ダム散策のあとは少し足を延ばして、里山ダイニング「PachaMaMa」の南相木ダムカレーもおすすめ。さまざまな具材を使ってダムを表現しています。
「免許取得後、初めて遠出した思い出深いダムで、険しい道程を越えた先にようやく辿り着き、その姿を見た時は感動しました」(小久保さん)

名称:南相木ダム
住所:長野県南佐久郡南相木村
問い合わせ:南相木村役場 0267-78-2121
アクセス:小海線小海駅から車で約1時間、八千穂高原ICから車で約1時間10分
ダムカード配布場所:南相木温泉「滝見の湯」
URL:
南相木村役場
東京電力リニューアブルパワー株式会社
備考:冬期は通行止めとなり南相木ダムに訪れることができなくなるため、その間はダムカードも配布中止となります(例年12月上旬~4月中旬)。

奈川渡・水殿・稲核ダム(松本市)

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堤体の上を国道が走る奈川渡ダム ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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水殿ダム ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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稲核ダム ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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奈川渡ダム ダムカード ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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水殿ダム ダムカード ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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稲核ダム ダムカード ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

梓川の渓谷沿いに、上流から奈川渡(ながわど)ダム、水殿(みどの)ダム、稲核(いねこき)ダムの3基のアーチ式コンクリートダムが次々と現れる光景は唯一無二。梓川3ダム、3姉妹などと呼ばれています。奈川渡ダムはその中でも最大で、日本のアーチ式ダムの中でも黒部ダム、温井ダムに次いで3番目の堤高の高さ(155メートル)を誇り、美しい曲線と、堤体の中心から見下ろした時の迫力は必見。また奈川渡ダムの堤体上に国道が通っているという造りも、全国的に見て珍しいそう。水殿ダムのそばには道の駅「風穴の里」があり、ここで食事をしたりダムカードを入手することもできます。「日本に2700基近くあるダムの中でも、アーチ式のダムはじつは53基しか無いのです。そのうちの3つがこの場所に集中しているということは、とてもすごいことです」(宮島さん)

名称:奈川渡・水殿・稲核ダム
住所:
奈川渡ダム/長野県松本市奈川
水殿・稲核ダム/長野県松本市安曇稲核
問い合わせ:松本市総合戦略局アルプスリゾート整備本部 0263-94-2307
アクセス:JR松本駅または松本ICから車で約35〜50分
ダムカード配布場所:道の駅「風穴の里」、ながわ山彩館、グレンパークさわんど(奈川渡ダムのみ)、乗鞍BASEいがやレクリエーションランド、乗鞍高原観光案内所
URL:東京電力リニューアブルパワー株式会社
奈川渡ダム
水殿ダム
稲核ダム

味噌川ダム(木曽郡木祖村)

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大自然に溶け込むロックフィルダム ©︎水資源機構

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下流から堤体を見上げる ©︎水資源機構

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ダムに日本酒を貯蔵している ©︎水資源機構

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味噌川ダム ダムカード ©︎水資源機構

木曽川の最上流に位置し、堤高140メートルという県内最大級規模のロックフィルダム。木曽駒ケ岳をはじめとした中央アルプスや澄んだダム湖の眺望が良く、時間が止まったかのようなゆったりした空気が流れています。「下流から眺める堤体の迫力もあり、右岸の柳沢尾根公園からはダムを一望できます。ほかにも防災資料館(冬期休業)や正沢親水公園など見どころも多く、ダム湖をウォーキングしながら一日遊べるダムです」と、小久保さん。堤体内が通年一定の温度であることを利用して、地元の「湯川酒造店」がダムトンネルに日本酒を貯蔵・熟成させるなど、地域と連携したユニークな取り組みも注目です。

名称:味噌川ダム
住所:長野県木曽郡木祖村小木曽2058-22(味噌川ダム管理事務所)
問い合わせ:独立行政法人 水資源機構 味噌川ダム管理所 0264-36-3111
アクセス:中央本線木曽福島駅から車で約30分、伊那ICから車で約40分
ダムカード配布場所:味噌川ダム管理所
URL:味噌川ダム管理所

「ダムマニア」ホームページ管理人・宮島さんが選ぶ おすすめダム3選

小渋ダム(上伊那郡中川村・下伊那郡松川町)

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きれいな弧を描く小渋ダム ©︎天竜川ダム統合管理事務所

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キャットウォークを歩ける見学ツアーも人気 ©︎天竜川ダム統合管理事務所

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見学ツアーでダム内部へ ©︎天竜川ダム統合管理事務所

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小渋ダム ダムカード ©︎天竜川ダム統合管理事務所

堤高105メートルのアーチ式コンクリートダム。「これだけの高さがあるのに、堤体が薄い。この薄さでよく諏訪湖とほぼ同じ貯水量の水を受け止めているなと、感心してしまいます。堤体の上を歩いていても、その薄さとアーチの美しさを体感できるところが素晴らしいです」と、宮島さん独自の観察ポイントが光ります。事前に申し込めばダムを見学することもでき、夏や紅葉の時期にもダム見学ツアーを実施。ダム堤体内部へ入ったり、キャットウォークを歩いたりと、普段は見られないダムの姿を堪能できます。クリスマスや年末年始にはライトアップも開催。

名称:小渋ダム
住所:長野県上伊那郡中川村大草6884-19(天竜川ダム統合管理事務所)
問い合わせ:天竜川ダム統合管理事務所 0265-88-3729
アクセス:飯田線伊那大島駅から車で約20分、松川ICから車で約30分
ダムカード配布場所:小渋ダム学習センター
URL:天竜川ダム統合管理事務所

高瀬ダム(大町市)

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ロックフィルダムとしては日本一の高さ ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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紅葉が映えるダム湖 ©︎東京電力リニューアブルパワー株式会社

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高瀬ダム ダムカード ©︎高瀬渓谷振興協議会

日本一高い黒部ダムに次いで2番目に高い、堤高176メートルの高瀬ダム。「黒部ダムのすぐ隣にありながらも、黒部ダムが有名すぎるあまり、意外とあまり知られていないのです。ロックフィルダムとしては日本一の高さで、見応えも抜群なので、ぜひ訪れてほしい」と、宮島さんも絶賛。大量の岩石を積み上げた壮大な造りは、他のコンクリートダムとは異なる圧倒的な存在感を放ちます。秋は紅葉の名所としても人気です。
また、ダムへは乗用車で行くことはできず、手前の「七倉山荘」横七倉ゲートより特定タクシー(運行期間4月中旬~11月末)に乗るか、徒歩の場合は約1時間30分のハイキングとなる、まさに秘境のダム。たどり着いた時の感動は格別です。

名称:高瀬ダム
住所:長野県大町市平
問い合わせ:大町市観光協会 0261-22-0190
アクセス:大糸線信濃大町駅から車で約30分または安曇野ICから車で約1時間10分の「七倉山荘」で特定タクシー(運行期間4月中旬~11月末)に乗り換え約15分
ダムカード配布場所:仙人閣、温宿かじか、高瀬館、七倉山荘
URL:東京電力リニューアブルパワー株式会社
備考:冬期通行止め。ダムカードは各施設を利用(食事、入浴、宿泊)または高瀬渓谷へのタクシー利用が必要となります。

松川ダム(飯田市)

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堆砂対策に取り組む松川ダム ©︎長野県建設部

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松川ダム ダムカード ©︎長野県建設部

見た目は一般的な重力式コンクリートダムながら、宮島さんがこのダムを選んだ理由は「砂と戦ってがんばっているところ」。松川ダムは地形が険しく地質がもろいため、たび重なる台風や洪水により、計画を上回る土砂が貯水池に流入・堆積しています。この“堆砂”対策として、土砂の排除と流入する土砂のバイパストンネルを造り再開発事業を進めているのです。地域の洪水調節や水道用水の供給など大切な役割を果たすため、砂と戦う姿に応援したくなるのだそう。見学も随時受け付けているため、そんな事情も考慮しながら訪れてみてはいかが。

名称:松川ダム
住所:長野県飯田市上飯田8181-27(松川ダム管理事務所)
問い合わせ:松川ダム管理事務所 0265-23-0622
アクセス:飯田線飯田駅から車で約15分、飯田ICから車で約25分
ダムカード配布場所:松川ダム管理事務所
URL:松川ダム管理事務所

「ダムマニア」ホームページ管理人
宮島 咲

2002年に「ダムマニア」を開設。ダム工学会や日本ダム協会主催の講演や、フォトコンテスト審査委員などを務め、TBS『マツコの知らない世界』やNHK『熱中夜話』など、テレビやラジオなどに多数出演。著作に『ダムマニア(オーム社)』『ダムカード大全集(スモール出版)』など。地域にダムカレーを導入するなど、さまざまな角度からダムや水源地をプロモーションする事業を展開し、ダムへの理解促進とダムファンの拡大に尽力している。https://dammania.net/

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「DamApp」制作者・小久保さんが選ぶ おすすめダム3選

豊丘ダム(須坂市)

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自然観察をしながらダム湖周遊もおすすめ ©︎長野県建設部

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湖面に映るダムの凛々しい姿 ©︎長野県建設部

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北アルプスなどの眺望も良い ©︎長野県建設部

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豊丘ダム ダムカード ©︎長野県建設部

オーソドックスな重力式コンクリートダム。小久保さんいわく「展望台や広場などがきれいに整備され、下流の北アルプスや長野市の見晴らしが良く、ダム湖の景色を存分に楽しめる」のだそう。ダム天端から飯綱山・戸隠山・北アルプスなどを望む美しいロケーションが広がります。周囲には桜やツツジも植えられており、一周2キロ弱のダム湖は散策にも最適。また管理所や管理施設の建物が須坂市の蔵の町並みを模しているのも特徴的です。せっかくならダムカードがもらえる「蔵のまち観光交流センター」を起点に、本物の蔵の町並みへ足を運んでみるのもおすすめです。

名称:豊丘ダム
住所:長野県須坂市豊丘町3321-46
問い合わせ:須坂建設事務所 026-245-1670
アクセス:長野電鉄須坂駅から車で約20分、須坂長野東ICから車で約27分
ダムカード配布場所:蔵のまち観光交流センター、須坂市観光協会、須坂建設事務所
URL:須坂建設事務所

美和ダム(伊那市)

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自然と調和した姿が美しい ©︎天竜川ダム統合管理事務所

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左岸の展望台からの景色 ©︎天竜川ダム統合管理事務所

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土砂バイパストンネルの放流口 ©︎天竜川ダム統合管理事務所

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美和ダム ダムカード ©︎天竜川ダム統合管理事務所

天竜川の上流に位置し、どっしりとした存在感のある重力式コンクリートダム。土砂流入を抑制する堆砂対策として、「土砂バイパストンネル」という珍しい設備を備えています。上流に向かえば土砂をバイパストンネルへ導くための分派堰、土砂のストックヤード、下流ではバイパストンネルのユニークな放流口を眺めることができ、珍しい設備の目白押しで見応えがあります。「ダムのすぐ近くの道の駅で営業する『南アルプスむら パンや』のクロワッサンが絶品で、公園でダム湖を眺めながら食べるのも良いですよ」なんて耳寄りな情報も。美和ダムも小渋ダム同様、事前申し込み制でダム見学を受け付けており、夏や紅葉の時期にもダム見学ツアーを実施しています。

名称:美和ダム
住所:長野県伊那市長谷非持345(美和ダム管理支所)
問い合わせ:美和ダム管理支所 0265-98-2111
アクセス:飯田線伊那市駅から車で約20分、伊那ICから車で約40分
ダムカード配布場所:美和ダム 学習センター
URL:天竜川ダム統合管理事務所

箕輪ダム(上伊那郡箕輪町)

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紅葉の絶景スポットとして有名 ©︎長野県建設部

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重力式コンクリートダム ©︎長野県建設部

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箕輪ダム ダムカード ©︎長野県建設部

「もみじ湖」というダム湖の愛称のとおり、秋になるとダム湖畔に植えられた約1万本のもみじが色づき、湖面のブルーと燃えるような赤のコントラストが感動的な情景を生み出します。「ダムは山林に囲まれているので、どこも秋は紅葉が見事ですが、この箕輪ダムはとくに有名です」と、小久保さん。周辺には公園や広場、キャンプ場も整備されており、自然のなかでのんびりと過ごすのに打ってつけ。ダム見学も随時受け付けています。春の新緑や夏の森林浴はもちろん、紅葉シーズンにとくに訪ねてみたいダムです。

名称:箕輪ダム
住所:長野県上伊那郡箕輪町東箕輪長岡2071-1(箕輪ダム管理事務所)
問い合わせ:箕輪ダム管理事務所 0265-79-6999
アクセス:飯田線伊那松島駅から車で約15分、伊北ICから車で約20分
ダムカード配布場所:ながた荘、箕輪町商工観光課、伊那建設事務所
URL:伊那建設事務所

「DamApp」アプリ制作者
小久保 勇太

東京でソフトウェア開発の仕事をしながら、約15年前からダムへ通い始める。訪問したダムやダムカードの入手記録を管理できるよう、さらにダム巡りがもっと便利に楽しくなるようにと、コロナ禍を機にスマートフォン向けアプリ「DamApp」を開発。日本全国のダムから所在地や型式など様々な条件からダムを検索できるほか、ダムカード情報が参照できたり、ダムの訪問日時・ダムカードの所持情報などを記録できる。https://damtoco.sakura.ne.jp/damapp/

DamApp

ダムツーリズムへ出かけよう

自然豊かで起伏に富んだ地形から、長野県のダムにはさまざまな個性があることを感じられたのではないでしょうか。
そのスケール感を堪能したり、緑や湖に触れて癒されたり、ダムカードを集めながら、見学や資料館などを通じてダムの役割や歴史、技術を学んだり。
一概にダムといっても楽しみ方は無限大で、こうしたダムツーリズムの裾野の広さが、大人もこどもも夢中にさせてくれるのです。

まずは今回紹介した中で気になったダムや近隣のダムを訪れてみてはいかがでしょうか。長野県にはほかにも多くのダムが存在しますので、そこから徐々に範囲を広げてみるのも一興です。
ダムから繋がる新しい発見や出会いが、きっと待ち受けているはずです。

※長野県企業局では、県営ダム等の水力発電所で、「発電所カード」も配布しています。ダムカードとあわせて集めてみてください。
https://naganoken-kigyokyoku.jp/news/pscard
※長野県のダムカード配布場所については、国土交通省のホームページもご参照ください。
https://www.mlit.go.jp/river/kankyo/campaign/shunnkan/damcard.html


取材・文:佐藤 妃七子

<著者プロフィール>
佐藤 妃七子(Hinako Sato)
イラストレーター・編集者
千葉県出身。都内の某出版社で旅行雑誌の編集に携わる。全国各地を取材した経験から、ローカルに魅力を感じ、2017年に上田市に移住。観光関係の広報の仕事や、イラストレーターとして活動中。各地に伝わる文化や風習、温泉、喫茶店、日本酒、民藝などが好き。

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