• HOME
  • 伝統と文化
  • 【PR】鉄道を、もっと楽しく自由に。若者たちのアイディア光る「雪×北しなの線」企画を追え!

【PR】鉄道を、もっと楽しく自由に。若者たちのアイディア光る「雪×北しなの線」企画を追え!

周囲の山々が白くなり、少しずつ冬の気配を感じる今日この頃。まだ半袖を着ていた頃にスタートした「モビリティースナック」もいよいよ大詰め、それぞれの場所で、さまざまなアイディアをもとにした企画と実験が進んでいます。

前回の記事は「スナックチクマの企画に潜入します」と締め括りましたが、今回はちょっと寄り道。少し視点を変えて、信州大学の学生たちの様子をお届けしたいと思います。真冬の北しなの線で雪と電車を掛け合わせて企画を立てる彼らは、モビリティーにどんな可能性を感じ、なにを試そうとしているのか。これまでの様子と合わせ、振り返ってみようと思います。

モビリティースナックについてはこちら
「モビリティー×スナック」が街を照らす。ネオン輝く戸倉上山田温泉ではじまる、ちょっと未来の移動の話

TOP

日常の問題意識から生まれる「学生×モビリティー」の可能性

まずは日頃感じている移動やモビリティーの問題点を出し合い、9月3日のキックオフイベント「オープンスナック」に参加した学生の皆さん。10名程がそれぞれの興味を持ち寄り、「チームon-line」と「カイリプロジェクト」の2つのチームに分かれて発表を行いました。

1
千曲市の圓山荘に集まって行われたオープンスナック。モビリティーやまちづくり、マーケティングなどさまざま興味関心を持った面々が集まった

「チームon-line」が考えたのは、電車のお得な情報をより多くの人に知ってもらうためのプロジェクトです。

「モビリティーや移動について話し合ったとき、初めて”青春18きっぷ”や”信州ワンデーパス”、”信州往復きっぷ”など、すでにお得な切符はたくさん販売されていることを知りました。チーム内には電車派も車派もいて、それぞれの情報量に差を感じたのがプロジェクトを考えたきっかけです」

電車が好きで日常的に利用している人とそうではない人との間にある差。この差を少しでも埋めるため、まずはメンバー同士のヒアリングが行われました。

「電車好きなメンバーに聞いてみると、ネットで電車を調べたり時刻表を確認したりするうちに“おすすめ”として表示される情報が増え、SNSなどを通じて自然に情報量が増えていることがわかりました。電車に興味がない人はそもそも外出に車を選びがちで、それ以外の選択肢を検索すらしていなかったのです」

興味がないから選択肢に入らず、検索をしないから情報に触れる機会も減っていく。いざ電車を調べようと思ってもどこでお得な情報が見られるのかわからず、後から損をしていたことに気づくメンバーもいたといいます。

2
必ずしも車を持っている人がいるとは限らない学生同士の移動。情報をうまく入手できるかどうかは、移動や体験の機会の差にもつながる

では、電車への興味の有無や日常の利用頻度に関わらず、簡単に電車の情報を得るためにはどうしたらいいのでしょうか。チームで知恵を出し合った結果、9月のオープンスナックでは2つの案が出されました。

1つ目は、もっと目的地側から交通手段を提案してはどうかという案です。オープンキャンパスや地域のイベントなどで目にする「ご来場の際は公共交通機関をご利用ください」という言葉。実際に行こうと思っても、最寄の駅やバス停を調べたり、そこに辿り着くまでの乗り換えを調べたり、実行するにはいくつかの壁が立ちはだかります。

「例えば具体的な公共交通機関の利用方法やお得な切符の情報が出ていれば、移動手段を変えるきっかけになるのではないかと考えました。一度体験すれば電車を使って移動するハードルが下がるかもしれませんし、その後の利用につながる可能性も出てきます」

3
テーブルトークで話す学生たち。さまざまな視点からアイディアを深める

2つ目の案は「ネットのなかをもっと回遊しやすくできないか」というもの。電車を使うときに見る時刻表や運賃などのページから、ワンクリックでお得な情報にアクセスできるようにしたいというアイディアです。こちらはすでに実施している鉄道会社もあるようですが、「利用者が気づいていないのかもしれない」という新たな問題が浮上。どんな言葉を使えば目を引くのか、クリックしたいと思うのか、単に情報が載っているだけでは難しそうな現状も見えてきました。

もうひとつのチームは、鉄道利用者を増やすことでCO2削減などの課題解決に寄与できないか検討する快適移動リノベーションプロジェクト、略して「カイリプロジェクト」。平日の通勤・通学で賑わう路線を休日のお出かけにも活かしてもらえたら、長野県が掲げるCO2削減目標に近づけるかもしれない、という仮説をもとに、ユーザーが月に一度でもプラスして鉄道を使いたくなるアイディアを出し合います。

4
メンバーは、「長野県の鉄道の未来を創造する」をテーマに検討を重ねてきた3人

「意識したのは、すでに鉄道を利用している人が魅力を感じる企画、さらに翌月も電車でお出かけしようと思ってもらえる仕掛けです。まずは全国で実施されている鉄道のイベントやキャンペーンを調べ、そのなかから長野県にマッチしそうなものをピックアップする作業を行いました」

そうして考えたのが、偶然の出会いと回遊を楽しむ企画と長期間使えるフリー切符の掛け合わせです。まず偶然の出会いと回遊については、JR西日本が行っている「サイコロきっぷ」が参考になりました。

「ネットでサイコロを振って出た駅までの往復切符が購入できるサービスで、偶然から生まれる運命のような旅を楽しめるのがいいなと思いました。普段使っている路線で他の駅に降りるきっかけになるかもしれませんし、長野県内にはさまざまな観光スポットが点在しています。情報社会で埋もれている沿線の魅力を発見し、楽しさを感じてもらえるような企画が出来ればと感じました」

さらにその土地の魅力を発見する仕掛けとして、謎解きイベントやスタンプラリーで駅周辺の回遊を促してはどうか、とアイディアは広がります。

「これはチームミーティングで、スタンプラリーの景品を手に入れるためいくつものスポットを回った、という話で盛り上がったところからイメージが膨らんだ仕掛けです。沿線の施設や店舗に足を運ぶきっかけも作れるのではないかと思っていて、鉄道利用の増加と合わせて沿線全体の活性化を期待しています」

5
目的地に行くための手段としての利用ではなく、鉄道に乗ること自体が目的になる企画がカイリプロジェクトの肝

長期間使えるフリー切符は、「お得だからまた使ってしまう」という利用の持続性を意識したアイディアです。イメージは長野県内にあるいくつかの路線を組み合わせ、1ヶ月間のみ毎週末自由に移動できるフリーパス。利用期間に幅を持たせることで、「せっかくなら来週も電車を使おう」と思ってもらうのが狙いです。

「県内でも一部のエリアで週末自由に使えるフリーパスを発行している鉄道はありますが、せっかくならもう少し期間を長くして、使える範囲も増えればいいなと思いました。回数券のようになっていて友人や家族とシェアできたりプレゼントできたりすると、もっと使ってもらえる機会も増えるのではないかと考えています」

2回のアイディアソンを通じ、それぞれの案をブラッシュアップ

オープンスナックのあとはチームをもう少し細かく分け、大人も混ざって具体的な企画づくりが進んでいきました。初回のアイディアソン「アイディアハイボール」の会場は、千曲市の姨捨にあるゲストハウス「なからや」です。

6
この日のテーマは「9〜65歳の長野県民が、1ヶ月に一度、移動を自家用車から鉄道(+α)に変えるには」

飲み物を飲みながら、好きな場所で和気あいあいと話し合いが行われたこの日。戸倉上山田発のデジタルフリーパス「千曲川ゴーランド」の事例や、ゼロカーボンチーママことEYストラテジー・アンド・コンサルティングの阿部さんから「日頃の行動がふとしたきっかけでエコにつながってしまう仕組み」などをインプットする時間も設けられました。


カイリプロジェクトから案が出ていた長期間使えるフリーパスの構想は、「マイ回数券」へと昇華。個人に合わせた通院や飲み会、イベントの参加や買い物など個人のニーズに応じてカスタマイズして購入できる回数券です。通常の切符よりお得に買えることで「この回数券があるから鉄道に乗ろう」と思えるようなデジタルチケットを検討しました。

7
電車の利用シーンを洗い出し、その頻度ごとに分類をしてみた様子。改めて、人によってさまざまな利用シーンがあることがわかる

2回目のアイディアハイボールは、実際の電車に乗って行われました。テーマは引き続き「9〜65歳の長野県民が、1ヶ月に一度、移動を自家用車から鉄道(+α)に変えるには」です。前回と同じメンバーが集まったグループもあれば違う人が入ってアイディアを見直すグループもありました。

お得な情報を届ける手段を考えていたチームonline。日頃からよく電車を利用するというメンバーは、「お得に電車に乗る」という視点を少し変え「乗ったら何かがお得になる」という捉え方で鉄道の利用が促せないか考え直します。

8
電車内で模造紙と付箋を広げて意見を交わす参加者の皆さん。学生たちも打ち解けてきた様子

「お得な切符は必要な人しか検索しないかもしれないけれど、普段利用するレストランや映画館、駅で受けられるサービスなどがお得になれば、もう少し興味を持つ人が増えるのではないかと考えました。実施に向けてはどこが割引分を負担するのかなど現実的な問題もあって難しさもありますが、お得にエコに鉄道を活用できる仕組みはおもしろいなと感じています」

9月25日に行われた発表会「アイディアオンステージ」では、再度それぞれがステージに立ってブラッシュアップした企画を発表。鉄道事業者からの反応も良く、実際に「なにかを試してみる」ということができそうなところまでやってきました。

「アイディアオンステージ」の様子はこちら
鉄道を使って出かけよう。 アイディア弾けるスナックシナノで生まれた6つの企画

10月から週に一度のミーティングも始まり、11月現在は完成した企画書をもとに現地調査などの活動を進めている皆さん。いったいどのような企画が完成したのか、次の章で少しだけご紹介したいと思います。

起こせ、みんなの行動変容!鉄道利用につながる企画切符

どの路線を使ったどんな企画を行うか、自分たちの持ち味を最大限活かせる場所を探した結果たどり着いたのは、真冬の北しなの線です。

9
企画切符のテーマは「雪×北しなの線」。これまでのアイディアやインプットをフル活用して企画を考える

妙高高原から軽井沢までの24駅を繋ぐしなの鉄道のなかでも特に利用促進の課題が大きい北しなの線。冬は大雪による運休もあり、地理的な難しさも抱えている路線です。今回はそんな厳しい条件を逆手に取り、鉄道を使って雪遊びに出かけられる子どもや親子連れ向けのイベントを考えました。

「複数駅で雪だるまを作ったりかまくらを作ったり。長野の自然と電車移動の手軽さを感じてもらえるような内容を考えています。メインターゲットは“牟礼駅(むれえき)”と“古間駅(ふるまえき)”、“黒姫駅(くろひめえき)”の計3箇所。回遊を促すフリー切符と、地域を巡って楽しめる“おさんぽガチャ”とのコラボを行う予定です」

降雪の少ない長野市街地から電車に乗り、徐々に雪深くなる北信濃エリアへ楽々移動。乗降者数の多い牟礼駅では駅前にバーを置き、非日常の空間で長野県産ワインや食事を楽しんでもらうイメージをしています。昼間は若年層や家族連れも入りやすいアットホームな雰囲気、夜は大人の雰囲気で地元の人の興味も惹けるよう工夫します。

「古間駅は無人駅なので、雪だるまをたくさん作って賑やかにしたいなと思っています。安全面に配慮しながら、かまくらをつくったりご飯を食べたり。大人も子どもも一緒に、思いっきり雪遊びができれば嬉しいです」

10
駅のホームでモルック大会やシェアサイクルを使ったフォトコンテストなどの案が出るシーンも。天候や地域の特徴を踏まえ、一つひとつ検討を重ねた

3駅のなかで一番雪が降る黒姫駅は、駅の近くにある広場などを活かし、雪合戦大会ができないかと検討が進んでいます。大人も子どもも楽しめるよう独自のルールを設けたり時間を考えたり。今は現地の観光協会などとコンタクトを取りながらタイムテーブルを組み、内容を詰めている真っ最中。もちろん行き帰りの電車の時刻確認も怠りません。

おさんぽガチャは、モビリティースナックにも参加している「新日鉄ソリューションズ」が実験的に開発を進めているもので、デジタルガチャでモデルルートをランダムに入手し、偶然の出会いを楽しむ企画です。チームon lineが好例として調べた「サイコロ切符」とアイデアの方向性が似ていることもあり、「学生を支えたい」とプロジェクトに参画が決まりました。

そもそも雪は十分に降るのか、衛生面は問題ないのか、地元の協力は得られるのか。まだまだ課題はありますが、1月12日(日)の開催が決まり一層気合が入ります。2月にはモビリティースナック全体の取り組みを振り返る発表会も企画されているので、ぜひ会場で学生たちのフレッシュなアイディアやパワーに触れてみてください。

【information】
SnowLine Festival〜北しなの冬の駅巡り〜
日時:2025年1月12日(日) 9:00〜19:00
   ※駅によって開催時間・コンテンツが異なりますのでご注意ください
概要・申し込み:https://sites.google.com/view/snowline-festival/
企画:モビリティスナック トレーニングチーム(コアメンバー:信州大学大学生有志、株式会社ふろしきや)
協力:しなの鉄道株式会社、日鉄ソリューションズ株式会社、一般社団法人長野県観光機構


※こちらの事業は、国土交通省「令和6年度共創・MaaS実証プロジェクト モビリティー人材育成事業」に採択された「鉄道回遊コンテンツを活用した広域連携デジタル人材育成事業」として実施しています。


撮影:五味貴志・佐藤妃七子・長野県観光機構 取材・文:間藤まりの

閲覧に基づくおすすめ記事

MENU