長野県北佐久郡御代田町を舞台に撮影された映画『カーリングの神様』。この作品は幼馴染み4人がカーリングというスポーツをつうじて競技に挑む高校生たちの成長をテーマとした〝青春物語〟。御代田町で育った登場人物それぞれが抱く地域愛の姿にも心があたたまる。昨今、私たちが忘れかけていた「熱、友情、愛」を呼び起こしてくれる映画なのかもしれない。
監督 本木克英さんインタビュー
映画『カーリングの神様』制作の背景
ちょうど昨年の夏にプロデューサー数名から「長野県の御代田町に長野オリンピックの頃からその後もカーリング場を民間で運営している面白い人たちがいるから、映画にできないかと思っている。一回その中心となっている土屋一男さん美喜子さんご夫妻に会ってくれないか?」 と話がありました。ついでにカーリングも体験してみませんか? ということで(笑)。 僕は冬季オリンピックのときに日本チームの活躍を見る程度の関心度だったんですが、いろいろと情報収集していくうちに、軽井沢町と御代田町エリアでは小学生の頃から授業の一環としてカーリング体験に取り組んでいると知りました。とても新鮮でした。 後日、自分で体験してみて……想像以上に難しいスポーツだと驚きました。それまではカーリングに対する印象はゲームのような感覚でしたから。
でも、実際に体験して競技を見学し、土屋さんから競技についても教えていただいて。とにかく意外性の連続でした。いつの間にか僕の中に映画にしたいっていう思いが生まれたのです。僕の映画づくりは〝人間ドラマ〟に焦点を当てます。カーリングというスポーツ競技をとおしてなら、それが可能だと思いました。脚本も同じようなストーリーで書き始められました。映画で大事なことは、ホームとなるべき場所がある存在です。 『カーリングホールみよた』をホームとして設定すれば、いろんな話が考えられる。そして一気に制作が進行したんです。
制作過程と心配ごと
実はクランクイン直前まで制作について、ある不安と課題がありました。予算上、短期間で撮り終えなければいけない。そこで懸念されたのは、カーリング未経験の俳優たちがアスリートに引けを取らないような演技ができるか。ある程度長い時間があれば練習を重ねいちばん大切なホームや技術を身につけることができるかもしれません。しかし、そんな時間はありませんでしたから。皆が諦めず土屋さんたちのお力をお借りして可能な限り練習を続けました……ところが、カーリングチームの4人の俳優たち、本田望結さん(役:清水香澄)・泉智奈津さん(役:中澤優芽)・白倉碧空さん(役:牛山沙帆)・長澤 樹さん(役:工藤実乃梨)の上達の早さに驚愕。実は俳優に似た体型、髪型のスタント起用も考えていたのですが、その必要はありませんでした。平均年齢19歳。若い俳優たちに感謝です。
キャスティングと地域性の表現
最も考慮したことは、キャスティングにおいて地元・御代田の雰囲気を出すことでした。実際に御代田町に住んでいるような若者たちを演じることができそうな俳優を選びました。映画を観ていただくと「こんな高校生、いるよね」って地元の人に感じてもらえたら嬉しいです。僕はとても満足しています。
また、柄本明さんをはじめ、ベテラン俳優たちの起用により、スポーツを題材にした青春映画的物語にきゅっと締まりが醸し出され、味わいのある映画となったことを評価させていただきました。映画づくりには制作予算の制限はつきものです。今回も通常ならなかなか依頼できないような方々に「ダメかな」と思いながらお願い行くと、皆さん面白がって参加いただきました。昔からの付き合いのおかげかもしれません。今回以前も「本木監督、次は何をつくるの?」と声をかけてもらったり……。僕は作品に同じ俳優を連続して起用することはあまり好まないタイプなんですが、でもいざとなるとやっぱり気心の知れた人に相談します。
ロケ地選びと象徴的な場所の設定.
映画での中で幻想的で神秘的な『真楽寺』の「大沼の池」が重要な役割を果たしています。「みよステラ」4人メンバー、香澄のライバル曽根原 舞(川口ゆりな)、そして香澄の兄幹太(山崎龍太郎)が個々の悩みや葛藤を滲ませる特別な場所として設定しました。青春時代、学校帰りに親友と語り明かした思い出の場所……皆さんにもそんな時代があったはずです。由緒ある歴史的なお寺、そこに隣接する少し畏怖を感じさせる池。ストーリーに欠かせない存在でした。実は撮影当日、天候が思わしくなかったです。けれど、もう本番というとき、陽が差してきました。神様が味方してくれた、と思いました・笑。
ベテラン俳優が演じるリアルな地域愛。
先にお話しさせていただいたとおり、今回の映画ではベテラン俳優の存在が〝効いています〟。柄本明さんが演じる伝説のカーリングコーチ小宮山 進が象徴的です。病気を患い施設で日常を送っています。頑固でわがままで、人当たりが強く、『みよステラ』のメンバー江藤実乃梨は恐怖と緊張でフリーズ状態・笑。でも本当は心優しく面倒見がすこぶるいい人です。いわゆる昔気質の職人さんみたいな役柄。ストーリーが中盤に差し掛かるあたりで小宮山が『フェリーチェのロールケーキが食べたい』と駄々をこねるシーンがあります。実はこの『フェリーチェ』は御代田町に実在するケーキ屋さんなんです。「ロールケーキ」も販売されています。冒頭の〝御代田町にいそうな高校生〟と同じく〝町内に一人はいるおじいちゃん〟の登場で、地元の人たちが愛するロールケーキと頑固じいさんの組み合わせ。脚本家の谷本香織さんが書いた台詞で地域の現実味をうまい具合に表現できたと感謝しています。
僕の中で『カーリングの神様』を一言で表現するキャッチコピーは「頑張れローカル少女!」。ローカルな場所で個性ある独自の面白さを見つけることの重要性。都会に出ることだけが選択肢ではないという、地元で頑張る若者たちを応援する気持ちを込めた映画なのです。
(本木克英監督・談)
取材・撮影・文:長野県観光機構TXデザイン部(佐藤)
長野県御代田町を舞台とした映画『カーリングの神様』
11月8日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
少女たちの想いが奇跡を起こす!?
青春スポーツ映画の新たな感動の物語が誕生した!
高校生の香澄(かすみ)は、本州最古のカーリング場がある軽井沢にほど近い風光明媚なこの町(御代田町)でカーリングと共に暮らしてきた。小学生時代には、幼馴染みで結成したチーム<みよステラ>で優勝経験もある。しかしその後チームは解散し、香澄はくすぶる日々を送っていた。そんな折、町は地元で開催されるカーリングの国際大会に沸いていた。香澄は「オリンピックに出場するような強豪チームと対戦できる国際大会のエキシビションマッチに出るチャンス!」と再び情熱を燃やす。
さっそく香澄はチームメイトであった優芽(ゆめ)と沙帆(さほ)に声を掛け、みよステラを再結成することに。三人は、かつてのチームメイトであり、現在は強豪チーム<軽井沢EC>に所属する舞(まい)へチームに戻ってくるよう誘いに出向く。しかし、舞は聞く耳を持たないばかりか、ライバルとして立ちはだかる。舞の代わりに東京からの転校生、実乃梨(みのり)がチームに加わるも素人で戦力にならず、コーチ探しにも苦戦、カーリング場の老朽化のため開催地を軽井沢に奪われるかもしれない危機。さらに、チームの方針の違いで香澄と優芽が衝突し、チームは空中分解してしまう、、、
やがて、チームワークを掲げる<みよステラ>と洗練されたテクニックで君臨する<軽井沢EC>はエキシビジョンマッチ出場をかけて対戦することに。果たして、町に伝わるカーリングの神様は現れるのか ——。
日本アカデミー賞受賞監督とフレッシュ&豪華キャストで贈る、本州最古のカーリング場を舞台にした“ヒューマン青春エンタメ作品”に胸が熱くなる。
大きな壁にぶつかりながらも、仲間と一緒に熱中し、喜びを噛みしめる女子高校生たちの姿を描いた本作。
本田望結を主演に、川口ゆりな、長澤樹、泉智奈津、白倉碧空、といった注目の若手俳優が、カーリングのプロの猛特訓を受け、役作りに挑戦。さらに、高島礼子、柄本明、田中麗奈、六角精児、など、多彩で豪華なキャスト陣が脇を固める。完全オリジナル脚本でありながら、セミドキュメンタリー的な要素もふんだんに盛り込まれリアリティ溢れる感動の “ヒューマン青春エンタメ作品” に仕上がった。
コロナ禍で思い出が作れなかった若者たちが、青春を取り戻そうとする姿に、胸が熱くなる!
監督を務めるのは、『超高速!参勤交代』(14)でブルーリボン賞作品賞、日本アカデミー賞優秀監督賞に輝き、『空飛ぶタイヤ』(18)で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞。池井戸潤原作を映画化した『シャイロックの子供たち』(23)などストーリーテリングの名手、本木克英が務め、若手俳優たちとともに感動の物語を創り上げた。
上記テキストは(映画『カーリングの神様』オフィシャルサイトより)
https://curlingnokamisama.com
主演|本田望
出演|結長澤樹 泉智奈津 白倉碧空
川口ゆりな 秋山ゆずき 山崎竜太郎 内浦純一
柄本明 六角精児 田中麗奈 高島礼子
監督|本木克英
主題歌|「Sweaty Smell」STU48 キングレコード
製作統括|佐藤耕二
エグゼクティブプロデューサー|岩城レイ子
プロデユーサー|冲永成敬 神林夏樹 大久保昌秀
脚本|谷本佳織
音楽|Akiyoshi Yasuda 撮影|石黒康一 照明|田中雄哉 録音|杉村賢太郎
映像|林航太郎 編集|川瀬功(JSE)
助監督|石田和彦 プロダクションマネージャー|小松次郎 ラインプロデューサー|入交祥子
製作|テレビ朝日 文化工房 博報堂DYメディアパートナーズ CB 朝日新聞社 BS朝日 野朝日放送 メ〜テレ
制作プロダクション|松竹撮影所 製作幹事|文化工房 配給|ラビットハウス
特別協賛|ミネベアミツミ 協賛 フルタクリニック 明治 カーネクスト 特別協力|御代田町 あさまハイランドスポーツクラブ
©2024「カーリングの神様」製作委員会
長野県内公開情報
長野グランドシネマズ(長野市)
📞 026-233-3415
TOHOシネマズ上田(上田市)
📞 050-6868-5055
イオンシネマ松本(松本市)
📞 0263-24-0122
松本シネマライツ(松本市)
📞 0263-24-0122
岡谷スカラ座7(岡谷市)
📞 0266-22-2773
センゲキシネマズ(飯田市)
📞 0265-22-1070
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