【PR】鉄道を使って出かけよう。 アイディア弾けるスナックシナノで生まれた6つの企画
前回の記事で「古き良き温泉街から、慣れ親しんだ『移動』の枠を越える、自由で楽しい旅が生まれていきそうです」と、お伝えした千曲市のモビリティースナック。9月のスナックシナノでは、参加者が週に一度のペースで集い、チームごと鉄道に関連するアイディアを出し合って企画づくりを進めてきました。
今回も参加者の様子や発表されたアイディアを通じ、「モビリティーを楽しむ」ってどういうことなのか、ゆるりと感じていただければと思います。
■モビリティースナックの概要についてはこちら
「モビリティー×スナック」が街を照らす。ネオン輝く戸倉上山田温泉ではじまる、ちょっと未来の移動の話
アイディアを企画に変える2DAYS「アイディアハイボール」
9月11日と21日に行われた「アイディアハイボール」は、参加者同士がテーマに沿って課題を共有し、意見を出し合うアイディアソン。19〜65歳のアクティブ層が1ヶ月に一度、自家用車から鉄道(+αの公共交通)に移動手段を変えるにはどうしたらいいかを考えます。1回目は、日本遺産の姨捨棚田と善光寺平を一望するゲストハウス「なからや」、2回目は信州千曲観光局の貸切列車として定期運行している「湯けむりNEOネオン号」を舞台に30人を超える参加者が集まりました。
「実際の電車に乗って移動してみよう」という2回目は、軽井沢駅に集合。駅のホームで自己紹介をしてから「湯けむりNEOネオン号」に乗り込みます。テーマは前回と同じですが、新たに国立長野高専の3人組を迎え、6つのチームでアイディアを検討しました。「車両を改修してサウナと水風呂を設置したい!」という夢のようなアイディアから「この揺れを活かして瞑想をしたり、吊り革を使って筋トレをしたり・・」と乗車しているからこそのアイディアまで、イメージがどんどん膨らみます。
そうこうしているうち、電車はあっという間に戸倉駅に到着。駅から歩いてすぐの場所にある「蕎麦料理処 萱(かや)」に移動してラストスパートです。
出揃ったアイディアを企画にまとめつつ、終了5分前には「事業の主体者や収益性など、実現性も少し意識して」など主催の田村さんから声がかかります。参加していた学生は「専門家に的確なアドバイスをもらい、“できること”と“できないこと”がはっきりしてよかったです。イメージのワクワクは大切に残しつつ、企画として固まってきました」と、手応えを感じた様子でした。
グループごとに企画発表!「アイディアオンステージ」
2回のアイディアハイボールを経てまとめた企画を発表する「アイディアオンステージ」。千曲市総合観光会館にあるワーキングスペース「Gorori」を会場に、県内5社の鉄道会社と、2023年に開業した宇都宮芳賀ライトレールの事業をおこなっている栃木県芳賀町(はがまち)の皆さんがアイディアをジャッジします。
・エントリーNo.1 電車に乗ったらお得な世界
チーム「on-line」がオープンスナックで発表した「お得なチケットを効率よく見つけたい」というアイディアをもとにアイディアをまとめたこちらのチーム。既存サービスとして目にすることもある「イベントに参加したら電車運賃が安くなる」ではなく、「電車に乗ると日常がお得になる」という逆転の仕組みを検討しました。例えば電力会社と提携を結び、家族で1ヶ月に計100回以上電車に乗ったら電気料金が割引される、などといったアイディアです。手軽なところでは映画鑑賞やレストランの利用、観光スポットの割引なども検討したといいますが、最終的には教育費や税金が安くなるなど「国を動かすきっかけにもつながれば」と夢が膨らみました。
トレインママ・清水さん
「着目点として、電車に乗ったら自動的にお得になるのがおもしろいと感じました。100回という数字もチャレンジし甲斐があって良さそうですし、コレクター欲が刺激されます。デジタルチケットの導入も含め、気軽に挑戦できそうな点も魅力です」
上田電鉄
「通常の割引は、沿線に住んで電車を利用する人だけが対象になりがちですが、その裾野を広げてくれそうなアイディアです。ゼロカーボンや2次交通などホットな話題にも関連してくる可能性を感じました」
・エントリーNo.2 世代を超えた交流を鉄道で実現
こちらは、ターゲットを「普段から頻繁に電車を利用する人」と「日頃は電車以外の移動手段を持つ人」の2種類に分類してアイディアを出し合ってきたグループです。
より車内を楽しんでもらうコンテンツとして注目したのは、長野県の食文化。週替わりで県内の各地域からおいしいものや珍味を集めて車内販売を行い、いつもの電車に乗るだけで旅行をしている気分になれる「車内物産展」を企画しました。社会人なら週に一度のご褒美として利用したり、学生や子どもにとっては、まだ知らない長野県の魅力に出会う機会になったり。おいしいものを通じてコミュニティが形成されたり、多世代交流が生まれたりする期待も膨らみます。他に「駅めぐりキャンペーン」として、アニメの聖地巡礼や駅ごとに置かれたパーツを集めて完成するものづくり体験、重ね捺しスタンプラリーなどのアイディアも発表されていました。
JR東日本
「長野県の発酵食品など、魅力ある食文化を車内に取り入れる視点が新鮮で、楽しそうだと思いました。親の立場からも、電車に乗ってさらに“さまざまなエリアの魅力を子どもに伝えられる”というのが良いなと思います」
長野電鉄
「発酵食品、週替わりなど、着眼点が素敵でした。ただ、企画としては一部すでに実施している内容もあり、もう一歩踏み込んだ持続性のあるアイディアがあるとさらによくなると感じます」
・エントリーNo.3 NEOネオン号、どう楽しむ?
信州千曲観光局が企画する貸切列車として、週に一度、軽井沢駅から戸倉駅までを結ぶ「湯けむりNEOネオン号」。この車両でやってみたいこととして、好きなアーティストや本、アニメについて語る会の実施や、受験相談、同窓会など交流の場の設定、お酒の飲み比べやサバゲーなど、幅広い視点の提案が出されました。戸倉駅に到着後も、戸倉上山田温泉のスナックや飲食店を巡る企画をセットにしたり、リピート回数に応じてキャッシュバックを行ったり。幅広い層に定期的に乗車してもらえそうな仕掛けが会場の心を掴んだようです。
しなの鉄道
「受験相談や同窓会など身近なコンテンツもあり、団体列車の枠を超えてもう少し一般の方が参加しやすくなる可能性を感じました」
信州千曲観光局
「NEOネオン号の年間運行を通じ、企画の認知向上やイベントの訴求方法に課題を感じているところです。戸倉上山田温泉や軽井沢駅周辺など前後の体験を交えていくという点では、いい視点でアイディアをいただいたと思います」
・エントリーNo.4 チーム千曲と偏愛115系車両
しなの鉄道を走る115系電車は、国鉄時代に作られた、全国にファンを持つ希少な車両です。今回のアイディアのひとつ「タイムスリップ115」は、この国鉄時代から残るレトロな車両が舞台。2028年までに順次引退が決まっている4つの車両を活用し、コスプレや写真撮影を楽しもうという企画です。例えば「昭和40年代高度成長期」「平成のギャルブーム全盛期」など、月替わりでテーマを設定して集合したり、当時の切符切りや日付の刻印を体験したり、より多くの人が楽しめる工夫も盛り込まれています。
もうひとつは、地域密着型のイベントです。駅周辺限定で企業や個人から出店を募り、ホームの空いている場所を使ってマーケットを開催。沿線にある駅ごとに特色ある出店者を並べ、回遊できるデジタルフリーパスを発行しようというプランです。電車を降りたらすぐ「地域」に触れられる設計がポイントで、「自転車やシェアサイクルも合わせて活用できるよう、サイクルトレインも実施したい」など、徹底したユーザー目線が印象的でした。
芳賀町
「タイムスリップのアイディア、熱意があってワクワクしました。事例があるということで実現性も高そうですし、洋服やメイク、写真撮影など楽しみ方の間口を広げることで、電車に興味がない人にも届く可能性を感じました」
しなの鉄道
「115系については、間近に迫った廃車に向け、社内のプロジェクトチームを立ち上げたところです。チームメンバーに共有してみたいと思います。駅前イベントについても、地元を巻き込んだ取り組みは大切だと感じていますし、出店料の設定は社員のモチベーションアップにもなりそうです」
・エントリーNo.5 恋活婚活!スイートレイン
テーマは電車で恋活、婚活パーティー。車両ごとにいくつかのブースを設け、占いやスイーツ、音楽、おしゃれ講座など、興味にあったコンテンツを楽しみながら出会いも叶うという企画です。ベースは「湯けむりNEOネオン号」で、参加者は軽井沢駅から戸倉駅まで乗車し、到着とともにマッチングを実施。美人の湯として知られる戸倉上山田温泉の入浴券を付け、ゆっくりのんびり、自分磨きも楽しんでもらいたいという想いが込められています。
長野電鉄
「婚活と電車を掛け合わせたテーマ設計がおもしろいです。展開として車両ごとにコンテンツが異なるイベント列車も良さそうですし、出会いの地としてリピートにつながりそうな点も興味が湧きました」
JR東日本
「電車を使った婚活イベントは実施していたことがあり、参加者からも好評をいただいていました。車内は元から知らない人と乗り合わせることが普通であり、自然と距離が近くなることを考えても相性は良さそうです」
・エントリーNo.6 サウナ×電車×信州で長野県を活性化!
車内をサウナに見立てるパターンと、ホームにサウナを設置して車内で整うパターンの2つをまとめた長野高専チーム。前者は若者向けに、サウナスーツを着用して満員電車に乗り込んで汗を流し、駅で扉が開いたらホームに置かれた水風呂に飛び込みます。寒い季節は水風呂を雪山に変えるなど、長野県の自然を全身で感じられるコンテンツも加わります。もうひとつのホームにサウナを設置するパターンは、クーラーの効いた車内で整いながら移動をし、駅ごと置かれたサウナを巡って楽しむ想定。他に、企業を巻き込んで電車のなかをどれだけ安全に熱くできるかを競う「熱源コンテスト」の開催なども提案されました。
トレインママ・清水さん
「着実に増えているサウナと、駅や電車と掛け合わせているのが良いです。駅ごと違うサウナを用意したり、沿線のサウナ店や飲食店とコラボをしたり、可能性も広がりそうです」
芳賀町
「サウナ電車という発想自体、全く考えたことなかったのでおもしろかったです。芳賀町内でもどこかできるところがあれば、と思い始めていますし、川や森など周囲の自然と繋げて企画できるコンテンツだと思いました」
熱意あり笑いあり、さまざまなアイディアを持ち寄って楽しんだアイディアハイボールが終了し、次はいよいよ実践編。「モビリティースナックトレーニング(企画チケット考案期間)」がスタートします。
発表されたなかから実現に向けて動き出したのは、「チーム千曲」が考案した沿線の地域を駅構内でぎゅっと楽しむマルシェイベントとしなの鉄道の若手チームと協働で盛り上げる偏愛強めの115系プロジェクト、そして信州大学の学生たちが作る若者目線の企画切符の3本です。
次回の記事では、ひと足先にモビリティースナックトレーニングが始まった姉妹講座「スナックチクマ」に潜入してレポートをしながら、「スナックシナノ」が行う企画をお知らせしたいと思います。まだまだ飛び入り参加も受け入れ中のモビリティースナック。気になった方はぜひ、下記のリンク先より詳細をご覧ください。
【今後の予定】
モビリティスナックトレーニング(スナックチクマ①)
10/19(土)湯けむりNEOネオン号を使った「サイクルトレイン」をトレーニングプロジェクトとして実施しています。体験協力者を募集しています。
募集WEBサイト:https://select-type.com/ev/?ev=M4E8pGokMc0
この後もトレーニングプロジェクトの一環として、11月〜12月にかけて複数プロジェクトにて体験協力者を募集します。ぜひご参加ください。
【information】
参加:無料(懇親会費用・交通費別途)
詳細:https://furoshiki-ya.co.jp/workationlab#mobilitysnack
主催:株式会社ふろしきや(千曲川ゴーランド推進チーム)
※こちらの事業は、国土交通省「令和6年度共創・MaaS実証プロジェクト モビリティー人材育成事業」に採択された「鉄道回遊コンテンツを活用した広域連携デジタル人材育成事業」として実施しています。
撮影:五味貴志・長野県観光機構 取材・文:間藤まりの・佐藤妃七子
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