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【PR】「モビリティー×スナック」が街を照らす。ネオン輝く戸倉上山田温泉ではじまる、ちょっと未来の移動の話

例えば「温泉旅行をしよう」と思ったとき、皆さんはどんなことを考えますか?
 
「まずは好みの温泉宿を探して、近くの食べ歩きスポットをチェックして。向かう途中もなにか体験をしたり、お土産を探したりできたらいいな・・・」なんてプランを描きつつ、さて、旅行中の移動はどうしましょう。せっかくならお酒も楽しみたいけれど、なるべく自由に身軽に動きたい。自家用車やタクシー、電車、バス、自転車に徒歩などの移動は、観光や暮らしの範囲や体験を左右するくらい、私たちの生活と切り離せない関係にあります。

今回のテーマ「モビリティー」は、そうした「モノやコト、人の交通手段や移動手段の全般」を意味する言葉です。気軽なシェアサイクルや特別感のある観光列車、快適な移動を叶えるMaaS(Mobility as a Service)など新たな取り組みやサービスが次々登場する昨今。改めて「モビリティー」に思いを巡らせてみたら、私たちの観光や暮らしにはどのような可能性が見つかるのでしょうか。
 
「知ってみたらモビリティーって、とても身近で気軽な可能性のかたまりでした!」と話すのは、株式会社ふろしきやの田村英彦(たむら・ひでひこ)さんと山崎哲也(やまざき・てつや)さん。千曲市の戸倉上山田温泉で、モビリティー人材の社交場「モビリティースナック」をはじめたお二人です。Go NAGANOでは、2024年9月から2025年2月まで行われるモビリティースナックに密着。動き出したばかりの新たな観光の可能性を追いかけます。

メイン写真

「これ、モビリティーかも!」に気づく連続企画・スナックシナノ

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楽しげながらちょっとあやしげなチラシたち。「ハイボール」や「オンステージ」などの言葉選びがこだわりのポイント
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街角に置いてありそうなレトロな看板は、この企画のための特注品。徹底して「スナックらしさ」にこだわる

モビリティー人材の社交場「モビリティースナック」とは、田村さんと山崎さんが中心になって進める、モビリティーを楽しむ人を増やすための取り組みです。2024年度は特に鉄道に焦点をあて、千曲市メインの「スナックチクマ」と全県対象の「スナックシナノ」、2つの連続企画が行われます。どちらも仲間づくりやインプットから始まり、課題を共有して意見を出し合うアイディアソン「アイディアハイボール」をしたり、そこでまとまった企画を「アイディアオンステージ」で発表し合ったり。Go NAGANOが追いかけるスナックシナノでは、できあがった企画を12月に実施してデータを収集・分析するなど、モビリティーのさまざまな可能性に触れる機会が用意されています。

田村さん「僕らが考える”モビリティー人材”とは、モビリティーを上手に使う人や使える人。そして、なにか取組をするときに移動手段まで枠組みに入れて、更なる付加価値を付けていく人です。僕自身もそうでしたが、モビリティーって日常に欠かせないはずなのに、感覚としてあまり身近ではないんですよね。”バスのルートが変わります”とか、“〇〇線が廃止になります”とか、日々触れる情報も利用者側が受け身になってしまうというか」

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2016年に「株式会社ふろしきや」を設立し、千曲市に移住した田村さん(写真左)。開業当初からの付き合いという山崎さん(写真右)は千曲市(旧上山田町)出身。千曲市役所、信州千曲観光局、しなの鉄道を経て、2024年春からふろしきやのメンバーに

少し距離を感じるモビリティーに対して、いきなり「自由にアイディアを出しましょう!」と言われても、“できること”や“知っていること”の範囲を超えて想像、創造するのは難しい。そこで重要なのが、もっと自由に電車やバスが利用されている事実や移動自体を楽しむ文化を知り、すでに“モビリティー人材”として一歩踏み出している人に出会うことです。

山崎さん「今まで企画に関わった取り組みでいえば、観光列車を貸し切って行う”トレインワーケーション”や、車内でスナックさながらに飲食を楽しむ”湯けむりNEOネオン号”の運行など。実は移動と掛け合わさるコンテンツって、たくさんあると思うんです。もっとざっくばらんにアイディアを出し合えたら、モビリティーとの距離もグッと縮まって、新たな可能性が生まれるんじゃないかと期待しています」

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環境や免許を持たない人への配慮にもつながるモビリティー。深刻になりがちな地域交通の話題も、「こんな感じに楽しく捉えたくて・・」と急にスナックについて語りだす山崎さん
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こちらは初回、9月3日に行われたオープンスナックの様子。山崎さんから「スナック」のレクチャーを受け、真剣に聞き入る参加者の皆さん

参加の対象はあえてきっちり定めておらず、少しでも興味があればOK。地域外に住む人も、「モビリティーってなんだろう?」という人も、途中参加大歓迎で受け入れます。

田村さん「スナックシナノには、ゼロカーボンや公共交通、教育もマーケティングも、さまざまな業界から縁のある専門家を”スナックのママ”としてお呼びしました。県内を走る鉄道会社各社にも声をかけていますし、行政も民間も、学生も社会人も関係なくいろんな人が参加しています。どんな企画が生まれてくるかは未知数ですが、そんなカオスを楽しみながら実行していくスタイルは、僕らの得意とするところです」

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ネオンを囲んで楽しげな鉄道会社の皆さん。左から順に、しなの鉄道、JR東日本、上田電鉄、アルピコ交通、長野電鉄の5社が勢揃い
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テーブルを担当した”ママ”たちと”マスター”の田村さん、山崎さん。常時全員いるわけではないが、みんなつながり合ってアイディアを出し合う心強い存在だ

個人の小さなひらめきが、街の景色が変えた原体験

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「モビリティースナック」のキービジュアルはこちらの写真。「わからない」「知らない」という言葉は一旦置いて、「まずは気楽な乾杯からはじめたい」という二人の思いが詰まっている
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懇親会ではなく、企画のはじまりを告げる「乾杯」の様子。会場のホテル圓山荘(まるさんそう)には、県内外から60名以上の参加者が集まった

「モビリティースナック」や「スナックシナノ」の構想はどのように生まれてきたのでしょうか。その背景には、田村さんたちが2019年にはじめた「千曲市ワーケーション」の存在があります。

田村さん「自分や家族が暮らす街をもっとおもしろくしたくて、地域に埋もれている資源を活かそうと、さまざまな取り組みを行ってきました。モビリティーとの最初の結節点は、“ママ”のひとりでもある清水宏之さんとの出会い。もとは僕らが企画・運営する千曲市ワーケーションの参加者で、“MaaS”や“モビリティー”に関する学びの場を作ってみたい、と話してくれたのがはじまりです」

それまで「モビリティー」という言葉にまったく馴染みがなかった田村さんと山崎さん。清水さんの話を聞くうちに「これを自分たちだけで学ぶのはもったいない」と感じるようになり、千曲市でどのようなことができるかを話し合うアイディアソンを企画しました。

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アイディアソンに主催側として関わった清水さん。現在は株式会社MaaS Tech Japanの取締役副社長として、持続可能な地域交通の構築を目指したプロダクトの企画や開発、事業の推進などを担当している

山崎さん「モビリティーという言葉に出会った2020年は、コロナ禍で人の移動が制限されていて、新しい移動を考える良いタイミングだったと思います。千曲市には、ワーケーションを理由にさまざまな技術やスキルを持った人が集まっていて、あっという間に”温泉MaaS”の構想が出来上がっていきました」

温泉MaaSは、タクシーや送迎車、自転車などの利用をワンストップで叶える独自のシステムで、誰でも気軽にLINEアプリから利用できるのが特徴です。支払いは電子チケット制で、カフェやワーキングスペース、物産店などの支払いにも使えます。

温泉MaaSイメージ
こちらが2022年11月時点の機能概要。現在もまちの回遊促進プロジェクトとして進化し続けている

田村さん「ワーケーションは、運営2~3人の車を使って参加者の送迎をしていましたが、回を重ねるごとに人数が増えて限界を感じはじめていました。そこで、まずはワーケーションに温泉MaaSを導入して実験しながら、観光に来る人や地域の人にも使いやすいよう開発を進めていくことにしたんです。みんなの知恵を持ち寄るってすごい!と実感した出来事であり、地域にとってモビリティーが少し身近になる出来事でした」

もうひとつ、田村さんたちのモチベーションをアップさせたのが、2023年にはじまった「湯けむりNEOネオン号」という鉄道の企画です。軽井沢駅から戸倉駅まで走る電車を貸し切り、参加者は、車内でスナックのママや芸者さんと一緒に飲食や名物スイーツを堪能。戸倉駅から戸倉上山田温泉までは送迎バスを走らせて、スナックや射的など、実際の温泉街も楽しんでもらえるよう企画しました。

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信州千曲観光局としなの鉄道との協働で実現したイベント。たくさんの視点が交わることでそれぞれが持つ価値を見つけ合い、大きく展開していった
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バスで到着後、温泉街ではスナックでちょっとおトクにちょい飲みできる「ハッピーアワー」が開催された

山崎さん「NEOネオン号の着想は、軽井沢−戸倉間を走る回送列車(人や貨物を乗せずに走る列車)の存在に気付いたこと。“この車両を活用できたらおもしろそうだ”と直感し、企画を考えはじめました。2023年度は単発のイベント列車でしたが、2024年度は毎週土曜日に観光局の貸切列車として定期運行が実現。さらに千曲市とも連携し、列車の到着に合わせて走るバス路線が新設されました。ひとつのアイディアでこんなに風景が変わるのか、と、胸が熱くなりましたね」

田村さんたちが大事にしているのは、関わる人がwin-winの関係であること。モビリティースナックも互いに協力し合って楽しみながら、アイディアの受け皿になるような持続性のある形を模索しています。

立場を越えて語り合う、モビリティー発展の鍵はスナックにあり?

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モビリティースナックは「みんなで応援しあって支えあい、住む場所を楽しくするきっかけのひとつになればいい」と田村さん
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共創ママこと小林奈穂さん(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)からは、「まずはモヤモヤをそのままインプット」「問いや仮説をいろんな人に話してみる」など、心地よい場をつくる5つのポイントがシェアされた

田村さん「アイディアが次々と形になり、人の移動や街の景色が変わっていく。このスピード感や実行力の理由が気になって、これまでの行動を一つひとつ振り返ってみたんです。その結果、僕らが行うワーケーションでは、温泉やスナックで”ちょっと肩書きを外して喋りましょう”みたいなことが頻繁に起きているのがわかりました」

今も150軒ほどの飲食店があり、チェーン店はひとつもないという戸倉上山田温泉。そのうちのおよそ80軒はスナックで、それぞれの店のママを中心に、たくさんの人の交流が生まれています。

山崎さん「にぎやかなのが好きで、お喋りが好き。心意気もあるし、新しいことを受け入れてくれる土壌もある。モビリティースナックの開催を決めたのは、この場所で育まれている風土を感じてほしかったのも理由です。まずはスナックシナノで挑戦して、モビリティーを使う楽しさが全県に広がっていったらいいなと思っています」

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信州大学からも2つの学生チームが参加。チーム「on-line」は、現在販売されているお得な切符を広くみんなに届ける方法を検討する
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「快適移動リノベーションプロジェクト」を略した「カイリプロジェクト」。謎解きイベントや1ヶ月間有効の週末フリー切符など、学生視点で新たなチケットの企画を考える

田村さん「まずは話して取り組んでみて。その後は、いつでもモビリティーに関する話題を持ち込めるような、広域をつなぐ役割を担っていきたいと考えています。特に鉄道は、“地域の人のためにある”という公共的な側面が強く、おもしろいアイディアを実現するにはちょっとしたコツや配慮が必要です。事業としてお金や人材の確保まで考え、導ける存在として、風通しよくモビリティーを楽しんでいけたら嬉しいです」

はじまったばかりの「モビリティースナック」。古き良き温泉街から、慣れ親しんだ「移動」の枠を越える、自由で楽しい旅が生まれていきそうです。

【今後の予定】
9月11日(水)14:00-17:00 アイデアハイボールDAY1
9月21日(土)14:00-17:00 アイデアハイボールDAY2
9月25日(水)14:00-17:00 アイデアオンステージ(発表)

*各回の後に懇親会の実施を予定しています。
*セット参加を基本としますが、各回単発の参加も歓迎します。

9月26日(木)〜12月15日(日)
モビリティースナックトレーニング(企画チケット考案)

*企画チケット考案では、企業や団体を超えたチームでの取組を予定しています。
*考案された企画チケットは、12/7(土)-12/15(日)の間で実際の試行を行います。
*企画は、しなの鉄道や千曲市循環バスの一定区間乗り放題に加えて店舗特典などを組み合わせたデジタルフリーパスを基本としています。
*トレーニングは事務局サポートのもと、協力関係各社との調整も体験として実施します。試行後は利用データを収集して結果検証まで行う、実践力が身に付くトレーニングです。

【information】
参加:無料(懇親会費用・交通費別途)
詳細/申し込み:https://furoshiki-ya.co.jp/workationlab#mobilitysnack
主催:株式会社ふろしきや(千曲川ゴーランド推進チーム)

※こちらの事業は、国土交通省「令和6年度共創・MaaS実証プロジェクト モビリティー人材育成事業」に採択された「鉄道回遊コンテンツを活用した広域連携デジタル人材育成事業」として実施しています。


撮影:五味貴志 取材・文:間藤まりの

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