古き良き町並みに新しい風が調和する 下諏訪町に魅せられる若者たち
昔ながらの町並みが今も残る下諏訪町は、2011年に空き店舗ゼロとなった御田街(みたまち)商店街をはじめ、個性的な店主たちによって新たなあかりが灯され、注目を集めています。諏訪大社、温泉、カフェ、古道具店、ゲストハウスなどを旅してみませんか。
諏訪大社に守られ、中山道唯一の温泉宿場として愛されてきた町
全国各地にある諏訪神社の総本山、国内にある最も古い神社のひとつとされている諏訪大社。本州のほぼ中央に位置し、信州一大きい湖とされる諏訪湖を囲んで4カ所(上社前宮・上社本宮、下社春宮・下社秋宮)のお宮からなり、そのうち2カ所が下諏訪町に鎮座しています。また、下社春宮に関係する不思議な伝説を持つ万治の石仏はパワースポットとしても人気があります。
諏訪大社下社の門前町である下諏訪町は中山道の宿場町としても栄え、かつては多くの人が訪れていました。中山道唯一の温泉宿場であったことから、700年余りの歴史のある温泉をはじめ、今でも町内にはたくさんの共同浴場や足湯があります。施設ごとに泉質や効能が異なるので、いくつかの温泉を巡りながら自分に合った好みの温泉を探してみるのはもちろん、歴史ある温泉旅館に泊まってじっくりと名湯を楽しむのも一興です。
小さな商店の挑戦で再び賑わいをみせる御田町
1911年に生まれた御田町商店街は、全長200mほどの小さな商店街。かつては賑わいのある通りでしたが、製糸業の衰退や工場の縮小、移転などにより人びとの往来が減り、空き店舗が目立つようになりました。そんななか、住民を中心としたグループが連携し、約15年前に全国に先駆けて空き店舗活用に乗り出しました。起業支援だけでなく、さまざまな相談にも応じることで、少しずつ空き店舗を活用する若者が増え、2011年ついに空き店舗ゼロを達成したのです。そんな御田町商店街の一角を灯し、商店主たちから、おじいさんおばあさん、旅人、若者までが集うガレットとビストロの名店「Cafe Tac(カフェ・タック)」へまずは訪ねてみましょう。
新しいオーナーの個性が光る店舗はどれも、空間そのものがアート作品のよう。「Cafe Tac」の2Fには花のアトリエ「正午の園」、以前の店名ごと引き継いだアトリエ兼ショップの「すみれ洋裁店」、レトロなオブジェや古家具などが所狭しと並び、まるで宝探しをしているような感覚にさせる古道具店「ninjinsan」、バリスタの経験を持つ奥様とクラフトビール好きのご主人が営む駄菓子とビールとコーヒーのお店「ちいとこ商店」など、古さを生かし町並みに調和した新しい価値観の店舗が展開されています。かつて惜しまれつつ廃業した下諏訪町唯一の酒造「御湖鶴」の復活も、地域活性化の力となっています。
マスヤゲストハウスの誕生で生まれたつながり
老舗旅館「ますや旅館」の屋号を受け継ぎ、リノベーションを経て完成した「マスヤゲストハウス」もまた、現在の賑わいのきっかけを生んだ場所のひとつです。素泊まりの宿というだけではなく、人と人との縁を繋ぐ場所ともなっています。ここでイベントカフェを開催していたエリックチャンさんは経験を生かし、「Eric’s kitchen」というカフェをオープンさせました。このほか、仕事の縁が繋がった人や結婚をした人も。さまざまな人が出会える場所ができたことで、下諏訪町にまた新たな風が吹き込みました。
下諏訪町にはこのほかにも魅力的なお店がたくさんあります。かつて「東洋のスイス」と呼ばれ、精密機械地帯としても栄えてきた下諏訪町では、時計技師から匠の技を教わりながら時計作りができる「時計工房儀象堂」やオルゴール製作のプロから教わりながらオルゴール作りができる「オルゴール記念館すわのね」など、本格的な体験が楽しめる施設もあります。
若者の力で一層盛り上がりをみせる下諏訪町、ぶらりと町歩きに出かけてみませんか?
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