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特集『新緑の長野へ。“ハレの日旅”』 豊かな自然のなか、非日常空間で叶える絶景ウエディング

草木が芽吹く新緑の春は長野の自然を全身に感じられる季節。そして6月はジューンブライドの時季でもあります。古くからヨーロッパでは「6月に結婚する花嫁は幸せになれる」と言い伝えられてきました。そんなのびのびとした春に叶えたいのが、“自分たちらしい”結婚式です。絶景のなかで味わう幸せな瞬間は、いつまでも心に宿る大切な思い出になります。

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TOP PHOTO 写真提供:軽井沢高原教会

 

由緒ある歴史を受け継ぐ緑のなかに開かれた教会【軽井沢高原教会】(軽井沢町)

日本有数の高原リゾートとして名高い軽井沢。その歴史のはじまりは、明治19(1886)年、カナダ生まれの宣教師、アレキサンダー・クロフト・ショーがこの地を訪れたことでした。以来、キリスト教が根付き、各教会で信仰が育まれてきたのです。
木立に佇む三角形のシルエットが印象的な軽井沢高原教会は、大正10(1921)年に、キリスト教思想家・内村鑑三や詩人の北原白秋、小説家の島崎藤村などが星野温泉の材木小屋に集って自由に語り合った「芸術自由教育講習会」が原点。思想や宗教にとらわれない心の交流の場から生まれた「遊ぶことも善なり、遊びもまた学びなり」という理念がいまも受け継がれ、人々が集う“開かれた教会”として、時代を超えて親しまれています。

森に囲まれた木造の礼拝堂は、四季折々の風景が望める祭壇の大きな三角窓からも開放的な雰囲気が感じられます。入口に掲げられた「星野遊学堂」の文字は、軽井沢高原教会の前身の名称。感じたことを感じたままに表現する「芸術自由教育講習会」の理念をもとに、この空間をこよなく愛した内村鑑三が名づけました。
内村は晩年に至るまでこの地を愛し、何にもとらわれない自由を追求。昭和49(1974)年にはこの教会でキリスト教信者以外の挙式が行われましたが、そこにも、信者を募る場ではなく心の交流の場になることを願った内村の思いが表れているようです。

また、教会では毎週日曜に誰でも参加できる日曜礼拝を開催。「軽井沢高原教会 サマーキャンドルナイト」など、さまざまな季節のイベントも行われます。教会に隣接する「牧師館」は、牧師と気軽に会話を交わせる場所。館内にはかつて教会で挙式をした人たちの写真やメッセージが飾られ、広く愛されている様子が伝わってきます。

特徴的なトンガリ屋根で、入口に「星野遊学堂」と刻まれており、建て替えや移築を経て、昭和49(1974)年「軽井沢高原教会」に改名された(写真提供:軽井沢高原教会)

キリスト教信者以外も快く受け入れてきた姿勢には、文化的エポックを切り拓いた「星野遊学堂」の理念が受け継がれている(写真提供:軽井沢高原教会)

木漏れ日に包まれ、自然のなかに佇むクラシカルな雰囲気も魅力(写真提供:軽井沢高原教会)

木の温もりがあふれる教会の内部には、緑の木々を望む正面の三角窓から明るい陽光が差し込む(写真提供:軽井沢高原教会)

軽井沢高原教会の隣に佇む牧師館。かつて挙式をした人やこの地を訪れた人が気軽に立ち寄って牧師との会話を楽しむ場に(写真提供:軽井沢高原教会)

ナイトウエディングも開催。幻想的なキャンドルウエディングは昼間とは違った雰囲気に(写真提供:軽井沢高原教会)

INFORMATION
〈軽井沢高原教会〉
長野県軽井沢町星野
TEL 0267-45-3333
https://www.karuizawachurch.org/

自由なアウトドアフィールドを舞台に等身大でつくるウエディング【FLAG WEDDING】 (駒ヶ根市)

四季折々の美しい自然のなか、“ハレの日”の光景が広がるアウトドウエディング。自然環境を生かし、人の手を必要以上に加えることなく、リラックスした雰囲気で温もりのある結婚式を行えるのが魅力です。近年は自由なスタイルでアウトドアを楽しむ人が増えているなかで、「大好きな自然に囲まれた空間で挙式をしたい」「思い出の場所で自分たちらしい結婚式ができたら」といった声から生まれたのが「FLAG WEDDING」(フラッグウエディング)」。ふたつのアルプスに囲まれた南信州を中心に、本格アウトドアウェディングをプロデュースしています。100人を収容できる大型テントを使い、さまざまなアウトドアフィールドを結婚式場に見立てる新しいスタイル。地元企業でタッグを組み、景観だけでなく、人や食材、文化などの地域資源を生かして、ワクワクとするような結婚式をつくりあげているのが特徴です。

キャンプ場をはじめとする会場は、大自然との一体感が得られ、カジュアルでありながらも華やかで個性的。耳をすませば小鳥のさえずりや風の音などが聞こえ、ナチュラルなBGMがアウトドアウエディングの醍醐味を一層高めてくれます。
また、南信州・駒ヶ根市といえば、バスと山岳ロープウェイを使って誰でも気軽にアクセスできる標高2,612mの天空の絶景スポット、千畳敷カールも会場に。冬の雪山を中心に挙式を開催し、観光ハイシーズンのグリーンシーズンでもフォトウェディングが可能。長野県の雄大な自然を生かしたアウトドアウエディングという新たな文化が、ひとつのスタンダードになりつつあります。

大型テントを使ったキャンプ場での結婚式。自由なアイデアで自分たちらしい空間をつくることができる(写真提供:株式会社ワクワクカンパニー)

リラックスして過ごせるカジュアルな雰囲気で、等身大で楽しめるのが魅力(写真提供:株式会社ワクワクカンパニー)

普段、アウトドアを楽しむ機会がない人にとっても参加しやすい会場コーディネート(写真提供:株式会社ワクワクカンパニー)

大自然を感じられるのびのびとした環境で、結婚式を通じて非日常空間が楽しめる(写真提供:株式会社ワクワクカンパニー)

地元食材や地域資源を生かした会場づくりは、地域の魅力発信の場としても一役買っている(写真提供:株式会社ワクワクカンパニー)

アイテムも草花や枝でつくりあげることで、空間全体をナチュラルに演出(写真提供:株式会社ワクワクカンパニー)

INFORMATION
〈FLAG WEDDING/株式会社ワクワクカンパニー〉
長野県駒ヶ根市赤穂1310-2
TEL 0265-81-8183
https://flagwedding.com/

八ヶ岳連峰が眼前に広がる雄大な自然に結婚を誓う【車山高原スカイパークホテル】(茅野市)

八ヶ岳中信高原国定公園に位置し、日本百名山のひとつ、霧ヶ峰の最高峰である標高1,925mの車山。その麓に広がる車山高原のなかでも、ひときわ眺望のよい丘の上に建つのが「車山高原スカイパークホテル」です。目の前に八ヶ岳連峰や南アルプスといった信州の名峰と手が届きそうな青空が広がるロケーション。大パノラマを眺める非日常感が味わえます。

そんな開放感あふれるホテルで叶うのは、雄大な山々に向かって広がる空間「サンクチュアリ」を会場にした、大自然のなかのナチュラルスタイルの結婚式「サンクチュアリウェディング」。恋人の聖地(Lover's Sanctuary)としても知られる空間で悠久の自然と列席したゲストに誓いを立てる、ほかにはないウエディングのかたちです。堅苦しいセオリーにこだわらず、自由で自然体のまま、高原のさわやかな風や光に包まれながら幸せを誓います。

ほかに、標高1,500mほどで国内屈指の“空に近い教会”ともいわれる石造りのチャペル「聖カタリーナ車山高原礼拝堂」での挙式や、色鮮やかな花々とハーブが咲き誇るナチュラルガーデンでのウエディングも。絶景に佇む神聖なチャペルで厳かに、開放的なガーデンテラスでアットホームに、恋人の聖地「サンクチュアリ」でナチュラルかつ独創的に、それぞれの魅力を生かした挙式が結婚式に彩りを添えてくれます。ホテルだからこそ、挙式の余韻はそのままに宿泊ができるのも魅力。最高の景色のなかで旅行気分も味わいながら、心に残るひとときを過ごせます。

八ヶ岳の山々が間近に迫る車山高原ならではのロケーション(写真提供:車山高原スカイパークホテル)

恋人の聖地としても人気の「サンクチュアリ」(写真提供:車山高原スカイパークホテル)

結婚式は1日1組限定。自然のなかで家族や友人に見守られながら幸せを分かち合う“ナチュラルセレモニー”を満喫(写真提供:車山高原スカイパークホテル)

キリスト教の聖人・聖女カタリーナから名付けた聖カタリナ車山高原礼拝堂。南欧風の石造りのチャペルに天然大理石の白いバージンロードがのびる(写真提供:車山高原スカイパークホテル)

聖カタリーナ車山高原礼拝堂に隣接するガーデンは、イングリッシュローズをはじめ何千もの花々が咲き誇る(写真提供:車山高原スカイパークホテル)

INFORMATION
〈車山高原スカイパークホテル〉
長野県茅野市車山高原3414
TEL 0266-68-2221
https://www.sph.jp/



取材・文:島田 浩美

<著者プロフィール>
島田 浩美(Hiromi Shimada)
長野県飯綱町生まれ。信州大学卒業後、2年間の海外放浪生活を経て、長野市の出版社にて編集業とカフェ店長業を兼任。2011年、同僚デザイナーと独立し、同市内に編集兼デザイン事務所および「旅とアート」がテーマの書店「ch.books」をオープン。趣味は山登り、特技はトライアスロン。体力には自信あり。

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