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E-バイクでらくらく♪ “しなの鉄道・軽井沢サイクルトレイン”❶〈前編・初秋編〉 「中山道&北国街道の宿場町を巡る」サイクリングで歴史とグルメを満喫! 持続可能な新たなアクティビティの可能性を体験

中山道と金の道・北国街道を行く“サイクルトレイン”の旅
快適サイクリングをかなえたのはE-バイクと「しなの鉄道」と地域の協力でした
自転車で走るからこそ見えてくる景色と、電車に揺られることで湧き上がる気持ち。
私たちに応援できる旅の形を一緒に探してみませんか。

長野県を通る旧街道と言えば、中山道と北国街道。街道沿いには、昔の名残をとどめる史跡や宿場町が点在しています。9月初旬、そんな旧街道めぐりにピッタリなサイクルトレインイベントが開催されました。軽井沢駅(軽井沢町)から自転車で出発し、御代田町、小諸市、東御市と長野県東信4つの市町を走り抜けます。「しなの鉄道サイクルトレイン」に自転車を乗せて一緒に軽井沢駅へ戻ってくることができます。

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行きは自転車~帰りは「しなの鉄道サイクルトレイン」

今回参加するサイクルイベントの行程は、軽井沢駅を出発し、追分宿、小諸宿、海野宿を巡り、しなの鉄道田中駅までの約35キロ。追分宿まではやや登り、そこから先は下り基調とのことですが、普段、自転車で自宅の近所しか走らない私にとっては、なかなかの距離です。
そんな私に心強い味方が待っていました。イベント当日、集合場所の軽井沢駅で私を迎えてくれたのは、スポーツタイプの電動自転車「E-バイク」。これなら登り坂も大丈夫なはず。最近、話題のEバイク。今日はレンタルして乗れることが楽しみです。
まずは、E-バイクの使い方や、道路を自転車で走行する上での注意点についてレクチャーを受けます。もちろん自転車のサイズなども確認・調整してくれます。これなら、自転車に乗り慣れない人でも安心です。
開会式の後、10人ずつくらいの班に分かれます。私の班をガイドしてくださるのは、(株)フィールド・マネジメントの大雲芳樹さん。お互いに自己紹介し、これで準備万端、いよいよ出発です!

今回著者がレンタルしたE-バイク。クロスバイク型で変速ギアも付いています

軽井沢駅構内での開会式の様子

参加者の皆さん。前列、左端がガイドの大雲さん

渋滞しがちな軽井沢の街中も自転車でスイスイ

軽井沢の駅を出発してすぐ、メイン通りから路地に入りました。
「この通りは、かつて草軽電鉄の線路だったんですよ」と、さっそくガイドの大雲さんの説明が始まります。1915(大正4)年に草軽軽便鉄道として開業し、1926(大正15)年に全線開通、1962年(昭和37)年に廃線となるまで軽井沢~草津間をつないだ鉄道だそうです。かつてホームの屋根だったという建物も見ることができました。
すぐに軽井沢の街中へと入っていきます。休日は車だと渋滞に悩まされることもあるのですが、自転車ならスイスイと抜けていくことができます。途中から別荘地に入ると、緑滴る並木道がなんとも美しく、軽井沢の雰囲気を肌で感じることができました。

軽井沢駅からスタート

車通りの多い街中も自転車ならストレスフリー!

軽井沢は樹木が多く、緑の美しさも特徴です

中軽井沢駅。この辺りは「沓掛」という宿場町だったそう

歴史を感じる追分宿で、名物「たい焼き」を頬張る

軽井沢の街から外へ出ると、道はどんどん登り坂に。ここでEバイクが真価を発揮! 登りになった瞬間、グイーンとまるで引っ張られるような感覚で登ってくれます。ちょっとした登りなら、「漕ぐ」というよりも「回している」だけ。なんてラクなんでしょう!
あっという間に追分宿に到着です。追分宿は、中山道と北国街道の分岐点にできた宿場町。「浅間三宿と呼ばれた3つの宿場町のなかでも、最も栄えた場所だったんですよ」と大雲さんがその歴史を語ってくれます。
中山道は、江戸時代の五街道のひとつ。いっぽう北国街道は参勤交代で栄え、特に佐渡島から江戸へ金を運んだ「金の道」だったそうです。そんなふたつの大動脈が交わる場所が追分宿でした。追分には遊郭があり、たいそう賑わっていたとのこと。
追分宿の風情ある街並みを楽しんだ後は、追分宿の名物「たい焼き」で小休止。もっちりした皮の中には、あんが尻尾までタップリ! E-バイクのお陰でそんなに疲れてもいないのですが(笑)
しっかりエネルギーチャージできました。

脇本陣の旧油屋旅館。文豪・知識人も利用したそうです

きれいに整備された追分宿の街並み

建物や丸ポストに風情を感じます

追分宿の名物、「たいやき さとう」のたい焼き

羽根つきで、尻尾まで“あん”が詰まっています

自転車だから発見できる! 北国街道の名残と面影

「分去れ(わかされ)」と呼ばれる分岐点から、北国街道へと入っていきます。道路も下り坂に変わり、一気に標高を下げていきます。
ときどき、大雲ガイドが立ち止まっては、歴史の話をしてくださいます。何気ない交差点が昔の街道と現在のバイパスが交わる場所だったり、民家の横の不自然な盛り土が実は一里塚だったり……。次々に現れる小さな発見に驚きながら、どんどん先へ進みます。次はどんな景色が見られるのでしょうか。ワクワクがとまりません。
またまた風情のある街並みが出てきたと思ったら、小諸宿に入ってきたようです。小諸城址・大手門で、本日2回目の休憩。ここでは、小諸の老舗そば店「そば蔵 丁子庵」の「そばおやき」が振る舞われ、香ばしい皮につつまれた野沢菜のおやきに舌鼓を打ちました。

小諸のそば店「そば蔵 丁子庵」。

「そばおやき」。そば粉入りの皮が香ばしい

小諸城址大手門を通過します

大手門城址公園で、そばおやきに舌鼓

E-バイクで生まれる余裕で、旅をより楽しく

さて、旅も3分の2ほどが終了。お尻が若干痛くなってきたものの、E-バイクのお陰で、疲れたという感覚は驚くほどありません。この余裕が、旅を楽しむポイントに繋がっているのでしょう。
「これから最後の見どころ、海野宿(うんのじゅく)へ向かいますよ」。そう話す大雲さんについて、しなの鉄道の線路沿いに走っていると、突然目の前がパッと開けました。目に飛び込んできた光景は、一面の田んぼ! 黄金色に色づき始めた稲穂が、風でそよいでいます。視線を上げれば、そこには堂々たる浅間山の姿も。土の匂いや、吹き抜ける風を全身で感じる、贅沢なひとときでした。

青空の下を走る。時折吹く風が気持ちいい!

秋の気配を感じます。色づき始めた田んぼが美しい

街道沿いのコスモスが満開。とても華やか

江戸時代にタイムスリップ!? 古い街並みが残る海野宿

今回の旅の終着点、北国街道の海野宿は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。江戸時代の美しい旅籠屋造りの建物や、明治以降の建造物がそのまま残り、一歩、足を踏み入れると、まるでタイムスリップしたかのようです。
私たちは古民家カフェ「麦」さんへ。生ジュースなどもあるお店ですが、おすすめは果実たっぷりのフルーツアイスバー!とくに自転車旅の後は、汗をかいた体に染みわたりました。
海野宿を楽しんだあとは、旅の終着点、田中駅へ。駅に着いたところで、お土産に、海野宿のお菓子処「御菓子処 花岡」の銘菓「胡桃の醍醐味」をいただきました。ここ東御市はクルミの名産地。一口サイズのチーズケーキで、濃厚なチーズの風味と、さっくりとした胡桃入りのクッキーでした。

歴史を感じる閑静なたたずまいです

海野宿は「日本の道百選」にも選ばれています

お菓子処「御菓子処 花岡」の銘菓「胡桃の醍醐味」。濃厚なチーズの風味と、さっくりとしたクルミ入りのクッキーが絶妙なハーモニー

帰りはイベント限定「しなの鉄道サイクルトレイン」で軽井沢へ

田中駅からは、今日のイベントのために特別運行される「しなの鉄道サイクルトレイン」で軽井沢に戻ります。しなの鉄道の全面的なバックアップにより、自転車をそのまま車両に積み込めるんです! まるで、ヨーロッパのサイクルトレインです。
到着したサイクルトレインは、2020年に導入された新型車両「SR1」系。折りたたんで輪行バッグに入れて……という手間がないというのは、なんてラクなんでしょう。こんな列車があったら、車社会の長野県でも、自転車で出かける頻度が高くなりそうです。ぜひ、しなの鉄道さんに頑張っていただき、運行に組み入れていただきたいです。

終着点の田中駅。お疲れさまでした!

しなの鉄道の新型車両「SR1系」。ブルーとゴールドの色味に上質感と高級感を感じます

サイクルトレインの到着に、みんな大興奮!

積み込んだら自転車を固定します

軽井沢駅に戻りました

軽井沢の旧駅舎内のレストラン「プリモ フィト」で本格イタリアンを

軽井沢駅に到着し、ツアーは解散となりました。気づけば、もうお腹がペコペコです。そこで、駅に隣接したイタリアンレストラン「プリモ フィト」で食事を楽しむことにしました。2021年8月にオープンしたお店で、軽井沢六本辻に本店がある人気イタリアン「トラットリア プリモ」の支店です。
いただいたのは、お店で人気の「軽井沢御膳」。前菜5品と、パスタ、デザートのセットです。
信州産の野菜や果物を使ったお料理は、どれも素材の味が生かされています。旬のトマトを使った、夏らしいジェラティーナ(ゼリー)は、畑から採ってきたばかりのような豊かな香りと味がしました。美味しいお食事で、最高の旅の締めくくりとなりました。

軽井沢駅に隣接したイタリアンレストラン「プリモ フィト」

建物は旧駅舎を利用。落ち着いた雰囲気の店内

「軽井沢御膳」(税込3,520円)。信州産の食材をふんだんに使っています

軽井沢を拠点に、グルメと歴史を楽しむ今回の旅では、長野県の新たな魅力をたくさん発見することができました。ぜひ、みなさんも自転車で長野の旅を楽しんでくださいね!

ツアー参加者の皆さんと。小諸城址大手門にて

撮影:杉村 航 取材・文:横尾 絢子


〈詳しくは下記URLをご参照ください〉

・中山道&北国街道 しなの鉄道サイクルトレイン
https://www.shinsyu-cycletrain.com/

・プリモ フィト軽井沢駅舎店
https://primofito.com/

・BIGCLOUD CYCYLE BASE(レンタサイクル)
https://www.bigcloud-cycle-base.com/

・しなの鉄道株式会社
https://www.shinanorailway.co.jp/

<著者プロフィール>
横尾 絢子(Ayako Yokoo)
フリーランス編集者・ライター。気象予報士。高校時代より登山に親しむ。気象会社勤務の後、新聞社の子会社で夕刊執筆、山岳・アウトドア系出版社で月刊誌編集に携わる。2020年、東京都から長野県佐久市に移住したのを機に独立。現在はフリーランスとして、雑誌や書籍の編集・執筆に携わる。雪山を楽しみたくて20代でテレマークスキーを始め、現在は山岳スキー競技にも参加。テレマークスキーイベント「Frie(フリーエ)」実行委員。日本山岳・スポーツクライミング協会山岳スキー委員。

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