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春は苦いものを食べよう 長野県の山菜と日本酒の妙

長野県の春といえば、野山を賑わし、次々と店頭を賑わす種類豊富な山菜です。
身体の代謝をよくするほろ苦い山菜は、長野県の日本酒にぴったりです。

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入れ替わり、立ち替わり
季節の山菜が顔を出します

里の雪が解けはじめる頃、長野県は山菜の便りが届きはじめます。はじまりは「ふきのとう」。地域によりますが、3月のはじめ頃から、雪の合間に顔を出します。食べ方といえばふき味噌にふきの天ぷらが主流。野趣あふれる香りと苦味が特徴です。続いて4月から5月にかけては「よもぎ」「かんぞう」「せり」「たらの芽」など、5月から6月にかけて「こしあぶら」「こごみ」「わらび」「ぜんまい」「山ぶき」「行者ニンニク」「ネマガリダケ」「うるい」など、入れ替わり、立ち替わり、さまざまな山菜が登場します。(地域や年によって収穫時期は異なることがあります)

 

春に長野県を訪れれば、旅館や食事処でも、山菜料理を出すところが多くあり、最近では洋食でも山菜を上手に取り入れる店も登場しています。お土産にという方は、道の駅や農産物直売所に立ち寄りましょう。地元の人が収穫した朝採りの新鮮な山菜が手に入ります。山菜はアク抜きが大変…という人もいるのでは。しかし、さっと塩茹ですればよいだけの山菜の方が多いです。購入したらなるべく早く下処理をしましょう。冷凍保存もできますし、塩漬け、味噌漬け、水煮など、保存食にすれば、長く、さまざまに山菜を楽しむことができます。

山菜の女王とも呼ばれるコシアブラ。
天ぷらにおひたしに、ときにパスタにしても美味

春の皿には苦味を盛れ

「春の皿には苦味を盛れ」という言葉があるように、春に山菜を食すのは理にかなったことなのです。冬、気温が下がると動物が冬眠するように人間も代謝が落ちて脂肪をたくわえていきます。そして、春を迎えて気温が上がると活動的になって代謝が上がり、冬の間にため込んでいた毒素や老廃物、脂肪を外へ出そうとするのです。そんな人間の身体のメカニズムを後押しするのが春の苦味、すなわち山菜なのです。

 

山菜の苦味のもとはポリフェノールや、植物性のアルカロイドと呼ばれる成分といわれています。ポリフェノールは活性酸素を取り除いて身体の老化を防いでくれます。植物性のアルカロイドは、老廃物を取り除く機能を担う腎臓の活動を活性化させる働きがあるといわれています。食養生とはよくいったもので、春に旬の山菜を食すことで、身体を目覚めさせて力をみなぎらせてくれるのです。

雪をかきわるように姿をあらわすふきのとう。
その力強さに、人間の身体の毒素を排出する作用があることにもうなずけます

山菜には土地の酒、長野県の日本酒を

山菜の繊細な香りや味わいを引き立たせるためには、ワインでは少し強すぎます。そっと寄り添うように楽しめるのが、やはり日本酒です。とくに山のものには、山の日本酒、長野県の日本酒を。そもそも地酒は、その土地の料理に合うようにとつくられてきたものです。最近では食の変化や技術の革新により、さまざまなタイプの日本酒が増えてきましたが、長野県の王道のお酒といえば、香りが控えめで味わいの濃いもので、山菜にもぴったり。よりおだやかな組み合わせを楽しむのなら、常温やぬる燗で楽しむのもおすすめです。

 

県内には店主自ら山に入り、野山の山菜を摘んで日本酒とともに提供する店があります。長野市の「やま茶屋」では日頃から山菜を提供するほか、例年5月末から6月にかけて複数回開催されている「山菜と銘酒の会」に参加するのもおすすめです。飯山市の「旬菜料理はたの」では豪雪地ならではの古民家で、地元の素材を使った滋味あふれる料理がいただけます。佐久市の「職人館」は長野県が定める「おいしい信州ふーど」公使も務める北沢正和さんが営む店。農家レストランの草分け的な存在で、いつ訪れても驚きとおいしさに満ちています。

長野の春は長く、6月頃まで楽しめます。春の旅では、長野県の山菜と日本酒を求めてみてはいかがでしょう。

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