世界に知られる
桔梗ケ原メルローの産地
塩尻市桔梗ケ原でぶどう栽培がはじまったのは1890年のこと。なかでもコンコードとナイアガラはよく根づき、当時流行していた甘味ぶどう酒の原料となります。大手メーカーの工場が置かれ、収量を確保するために農家は組合を組織してぶどう栽培に取り組みました。
1964年に開催された東京オリンピックを機に、日本でも本格的なワインが飲まれるようになります。桔梗ケ原では1976年にメルローの栽培がはじまりました。寒冷地での栽培に試行錯誤し、農家の努力によってメルローの定植に成功します。そして1985年の赤ワインが国際的なワインコンクールで大金賞を受賞し、桔梗ケ原メルローは世界に名を馳せます。
長野県産ワイン「NAGANO WINE」の先進地として、今でも新興ワイナリーの設立は後を絶たず、桔梗ケ原にとどまらずその数は増え、2019年11月時点で17にものぼります。そんな長野県きっての老舗産地のワイナリーを巡ろうと、シーズン問わず、多くの人が訪れています。
老舗のワイン産地・桔梗ケ原を歩いて楽しむ
桔梗ケ原をめぐる旅で欠かせないのは、歩いて回れる老舗御三家です。長野県内では歩いてめぐれるワイナリーは少ないので貴重なエリアです。
まずは「五一ワイン」で知られる「林農園」へ。桔梗ケ原メルローの育ての親、林五一さんが創業したワイナリーで、開園から100年以上を数えます。自社農園のみいつでも自由に見学可能で、売店ではワインやジュースの試飲ができます。
林農園の斜向かいにある「井筒ワイン」は、1933年に農園の醸造所を立ち上げました。コスパの高さは随一。銘柄豊富で、高品質を誇るワインを低価格帯から取りそろえています。とりわけNACシリーズの品質の高さはぜひ一度体験してほしい味わいです。見学はできませんが、売店で無料試飲が可能です。
林農園と井筒ワインからゆっくり歩いて15分ほど、奈良井川の河岸段丘を下ったところに「信濃ワイン」があります。1916年にぶどう栽培、昭和初期に醸造を開始。今ではブランデーの蒸留も行っています。木樽が並ぶ圧巻の地下セラーの見学は無料。売店ではワインやブランデーの無料および有料試飲、ジュースも用意しています。道中は歩道がないので車の通りに気をつけて。 3軒を立て続けにまわって試飲をすれば、それぞれに味わいの特徴が見えてきます。好みのワインを見つけましょう。
ワイナリーでランチをするなら
サンサンワイナリーへ
ワインツーリズムの大きな楽しみのひとつが、ワイナリー併設のレストランでの食事ではないでしょうか。塩尻市にあるワイナリーでレストランを併設するのは「サンサンワイナリー」。塩尻市と岡谷市の境にある塩尻峠の旧中山道、現在の国道20号線沿いに位置し、醸造所に併設して「ショップ&レストラン ボッテガ」があります。
高台にあるレストランでは、窓外の雄大な北アルプスを背景にしたぶどう畑を眺めながら、地元産の食材を使ったパスタやピザなどのイタリアンを味わうことができます。ベテラン醸造家の戸川英夫さんが手がけたワインがグラス200円から、ドリンクつきランチが1,320円からと、手頃な価格で楽しめます。天気の良い日はテラス席でグラスを傾けるのもおすすめ。老舗御三家のワイナリーからは少し離れているので、タクシーでの移動がよいでしょう。
塩尻産のワインを
一度に飲み比べられるカフェレストラン
JR 塩尻駅では、ロータリーにある「フォンターナ デル ヴィーノ」にもぜひ立ち寄ってみてください。塩尻産を中心に40 種ほどのワインをそろえています。きちんと温度管理され、窒素ガスを充填することで抜栓後の品質を維持するワインを30cc、60cc、90cc と好みの量で楽しめます。老舗から気鋭まで、居ながらにして塩尻のワイナリーを巡るようにワインを飲み比べることができる店。ここでお気に入りを見つけてから、いざ本命のワイナリーへ、という旅のプランもおすすめです。
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