What’s new? スキー&スノーボード大注目トレンド!『サステナビリティを意識するなら! 進化する“レンタルスキー”業界』
スキーやスノーボードを楽しみたい! そう思い立った時、大きなハードルとなるのがギア(用具・道具)の問題でしょう。自身の冬のアクティビティとして、趣味やライフワークの一つになってしまえば、新しいスキーを選ぶのも、ウェアを新調するのもモチベーションになったりします。けれどギアの全てを揃えるとなると、高額出費は必至です。始める前にいきなりの投資…… 二の足を踏んでしまうのも当然です。簡単には購入に踏み切れない人も多いのでは? また家族で一緒に滑りたいファミリー層にとっても、あっという間に成長していく子供に合わせてギアを購入するのは負担が大きいですね。
最初の一歩を踏み出すまで、初心者にとって欠かせないのが、“レンタルスキー”です。学校のスキー教室などで一度はお世話になったことがある人も多いはず。比較の仕方次第ですが、料金的に“元を取る”ことも可能ですし、必要なモノをしっかり使い切るので、SDGsの達成にもつながる選択肢です。「古臭い、いかにもレンタルといった感じで恥ずかしい」そんなイメージはひと昔前の話です。最近は新しいギアを取り揃えているところも多いです。パッと見てレンタルだと分かる人も少ないでしょう。さらに新しいレンタルの形態も登場してきました。ユーザーのニーズに合わせた選択肢も増えました。この冬、レンタルを上手に使って、快適なスキーライフを始めてみてはいかがでしょう!
検証! レンタルのメリットとデメリットについての“まとめ”
まずはスキー・スノーボードの“レンタル”について。ご存じかとは思いますが、あらためて(一般的な)メリット・デメリットをまとめてみました。
【メリット】
●初期費用が少ない
当たり前ですが、スキーでもスノーボードでも新品一式を一度に揃えるのに比べれば、レンタル料金はずっと安いです。スタンダード(通常)モデル料金にプラスすることでハイエンドのエキスパートモデルを借りることができるショップも多くなってきました。まずはウェアだけ揃えてギアはレンタルでという選択肢もありますね。
●スキー場の行き帰りの荷物が少なくて済む
公共交通機関を利用する場合に、スキーやスノーボードのハードギアはかなり嵩張ります。専用のケースも必要になりますね。さらに旅行荷物も……。スキー場に到着するまでに疲れてしまいそう。
マイカーでも家族や友人数人で一緒に行く場合、泊まりなら荷物の量がかなり増えてしまう。スキーキャリアがない車ならなおさらスペースが必要です。たとえ大きめの車でも、人数によっては窮屈な長距離ドライブになってしまいます。移動の荷物に板やブーツがあるとないとは大違いです。
●気になるモデル、専用モデルを試せる
レンタル用のオールラウンドモデルが一般的ですが、エキスパートモデル(市販品と同じ)を用意しているショップも多いですし、パウダースノー滑走用のファットスキーがあるところも。まとまって雪が降った翌日なら借りてみるのもアリかも。
●信頼できるスタッフが調整してくれる
ギアのフィッティングや調整を専門知識のあるスタッフが行ってくれるので安心です。「このスキー場なら今日はここがオススメです」と具体的なアドバイスが貰えるかも。
●メンテナンスフリー
安全で快適にスキーやスノーボードを楽しむためにメンテナンスは欠かせません。シーズン中はワックスを塗ったり、消耗に合わせてチューンナップも必要です。自分でギアのコンディションを整えるのは知識と技術、手間がかかります。専門店に依頼すると出費が……。レンタルならそんな心配をする必要は一切なし! (※シーズンレンタルでは多少のメンテナンスは必要な場合もあります)
●置き場に困らない
スキーやスノーボードは嵩張ります。オフシーズンの置き場に苦戦している人も多いのでは? レンタルなら滑り終わったら当然返却してしまいますから、その心配がありません。
入門用・ビギナーモデルからハイエンド・エキスパートモデル……。ギアやウェアは値段もピンキリです。けっきょくレンタルがお得かどうかは、シーズン中に“どれくらい滑りに行けるのか”がポイントになりそうです。ただ、無駄をなくすという意味ではSDGsの観点からも良い選択肢だと思います。
特に成長盛りの子供用はレンタルが適している部分が大きいかも。後述するサブスク的なシーズンレンタルも可能なショップもあります。ぜひ今シーズンはレンタルをうまく使って、賢くサステナブルなスノーアクティビティを楽しんでみてはどうでしょう!
念のため・ビギナー向け“絶対に必要なアイテム/用意していった方がいいアイテム”
少しでも荷物を少なくしたいところですが、安全で快適な滑走のために必要なものを確認しておきましょう。「手ぶらで来ても滑れます」と謳っていても、レンタルできないアイテムは案外あります。ご自身で忘れずに用意していきましょう。
○防寒着:レンタルウェアはアウターのみ。保温力のあるアウターが主流ですが、レイヤリングという重ね着によって寒さ・暑さに対応する発想もあり、モデルによってはシェルと呼ばれる薄い素材のみのウェアもあります。いずれにしてもフリースやダウンなど、中に着る防寒着を忘れずに用意して。
○インナータイツ:スパッツ。保温としてはアウターパンツだけでも大丈夫なこともありますが、肌に直に触れるより、一枚履いておくと着替えの面でも安心です。
○ゴーグル:基本的にレンタルで用意されていないことが多いです。天気がいい日だけではないですし、雪が降っていなくても風や怪我からも大事な目や顔を守ってくれます。
○サングラス:スキー場は標高が高く、雪による照り返しもあります。例え曇っていても紫外線が強いです。ゴーグルを外している間も目を守りましょう。
○グローブ:真冬のスキー場、素手で過ごすことは無理ですね。マストアイテム! ですが案外忘れがちです。防水性のあるモデルがベストです。
○ニット帽:降雪中に髪の毛が凍らないように。ゴーグルのフィットも増しますし、ファッション的にも必要です。最低限、頭部を守るためにも。ヘルメット着用の場合は薄いものを。
△ネックウォーマー:首元を覆うのは寒さ対策のポイント。薄手でも口元から首にかけてカバーすると保温能力が格段に上がります。
△ヘルメット:ひと昔前だとレース(競技)やパークなどのハードなアクションに必要なアイテムのイメージでした。転倒や衝突から身を守る意識の高さから、海外のスキー場では着用が常識です。最近では日本のゲレンデでも着用が一般化しています。
△リフト券ホルダー:ICチップ内蔵のカードタイプのリフト券のスキー場なら不要ですが、それ以外だと重宝します!
上級者こそ借りたい! ハイパフォーマンスギア・レンタル〈Mt.Dock〉
「レンタルは初心者のもの」そう思っている人が多いのではないでしょうか? もちろん自分の道具を持っていないビギナーにとって、レンタルスキー(スノーボード)は必須でしょう。けれど最近は、中級者や上級者にも魅力があるレンタルギアが揃っているショップが増えてきました。自分のギアを持っている人にとっても「借りたくなる・乗ってみたくなる」板、バックカントリー用の道具など、品揃えもショップによって個性があります。
ちなみに通常の“スタンダード”として借りるギアは、実はレンタル専用設計のモデルだったりします。値段は上がりますが、よりハイパフォーマンスな(一般に販売されている)ギアをレンタルできたり、さらにパウダースノーの滑走に適したものやハイスピードでの安定性があるものなど、雪のコンディションや滑り手の好みに合わせた選択ができるようになっています。憧れのトップモデルで気分も“アガる”レンタル、一度試してみてはいかがでしょう?
温泉とスキー文化が見事に融合している野沢温泉スキー場。新長坂ゴンドラ駅の隣、「長坂センターハウス」向かいの絶好のロケーションにあるのが〈Mt.Dock〉です。
立地的には目立ちますが、どこか秘密基地をイメージさせるような遊び心を感じる建物です。店内も期待をその裏切りません。スキーやスノーボード、ブーツ…… ぎっしりとアイテムが詰まっていてワクワク感が高まります。
実はオーナー夫妻はフリースタイルやフリーライドで有名な第一人者。働くスタッフもライディングに精通しています。そのため品揃えに特徴があります。特に“プレミアム”と銘打たれたレンタルプランのスキーやスノーボードは、一般的にも市販されているモデルで、エキスパートでも「これ欲しかったんだよね~」「ちょっと乗ってみたい」と思わされるラインナップです。なかには、所有して普段使いするには勇気のいるような、“キワモノ”的な板もありますので、ゲレンデコンディションによっては試してみるのもいいでしょう。
キッズ用も手を抜くことなく、ツインチップやファットスキーまで揃っています。「借りたい板が出払ってしまっていて残念……」そんな悔しい思いをしないために、予約システムもあります。長期レンタルの割引(3~6日:20%OFF、7日以上:30%OFF)設定もあるのも嬉しいですね。バックカントリーギア一式も用意されています。「やってみたいけど、いきなりツアーに参加するのには不安が……」そんなBCビギナー向けのガイドプランもあるようです。
さらに村内には「COMPASS HOUSE(コンパスハウス)」があり、こちらはプロショップとして、有名ブランドからマニアックな商品まで揃っていて魅力的。大湯通りに面して「COMPASS VILLAGE」もあり、ショップとしてだけでなく、カフェ併設で情報交換の場としても人気を集めています。
豊富な積雪に加え、標高差やコースバリエーションに富んでいるのが野沢温泉スキー場の魅力のひとつ。滑走当日のスノーコンディションに合わせて「ニューモデルが欲しいけど、どんな乗り心地なんだろう?」「フルロッカーのパウダースキーって自分に乗りこなせるだろうか」そんな悩みも一気に解決してくれる一台に出会えるかも。
人気のフリーライドモデルを数多く揃えているので「若い頃はスキー(スノーボード)をやっていたけど、最近のモデルは何を買っていいのかわからない」そんな人もぜひ一度足を運んで、試しに借りてみてはどうでしょう。
正式名称:Mt’Dock
所在地:長野県下高井郡野沢温泉村豊郷7814 Mt’Dock
TEL:0269-67-0644
URL:https://mtdock-nozawa.com
レンタル料金:
スキーセット1日(スキー・ブーツ・ポール)/スノーボードセット(ボード・ブーツ)・スタンダード:大人4,500円、プレミアム:6,000円、キッズ:3,000円。
スキー1日(スキー・ポール)/スノーボード(ボード)・スタンダード:大人3,500円、プレミアム:5,000円、キッズ:2,000円。
ツアー用スキーセット(スキー・ブーツ・ポール・スキン):8,500円、など。長期レンタルの割引(3~6日:20%OFF、7日以上:30%OFF)あり。
営業時間:8:00~17:00
アクセス:
上信越自動車道 豊田飯山ICから38km 約40分
関越自動車道 塩沢・石打山ICから73km 約80分
北陸新幹線 飯山駅から直通バス 約25分
育ち盛りの子供達でも安心! レンタルにも“サブスク”の波・大人気のシーズンレンタル〈SPICY〉
ここ数年で市民権を得た“サブスク”というワードですが、実はレンタルスキーの世界でも“シーズンレンタル”というサブスク的レンタルが普及してきています。つまりシーズン中借りっぱなしにできるのです! 毎回レンタルするよりも経済的ですし、滑る前後での余計な手間と時間を省けますね。レンタル期間以外は返却してしまうので、オフシーズンの置き場の問題やチューンナップも一切必要ありません。
特に嬉しいのがキッズ用のシーズンレンタル。家族と過ごす時間は大切ですよね。けれど子供を連れてスキーをするには、いろんなハードルが待っています。滑る前後でレンタルショップに立ち寄る手間を省けます。
今回は白馬エリアの老舗レンタルショップ、〈SPICY(スパイシー)〉の和田野店にお邪魔してきました。閑静な和田野の森にひっそりとたたずむお店は、瀟洒で高級感があります。
スキー、スノーボードのレンタルは、“スタンダード”と“ハイパフォーマンス”から選べます。なかでも大人気のキッズ向けのプラン(小学生以下対象、スキー・ブーツ・ポールの3点セット)は専用ウェブサイトより、まだ受け付け中とのこと。
※貸し出し、返却は自宅等への配送も可能(送料別途必要)だそうです。
成長が早い子供の成長に合わせてギアやウェアを揃えていると、2シーズンに一度は買い換えを迫られたりします。大きめのサイズにして対応するのも上達や楽しさを半減してしまうでしょう……。キッズ用のプライス設定は低いので、数回で(料金の)元が取れるかも!
大人用のシーズンレンタルプランはありませんが、要望に応じて“期間レンタル”をすることができます。都合のいい期間を任意で設定できるので、ある意味シーズンレンタルと同じですね。こちらの特筆すべき内容は、途中でギアをチェンジできること。例えば期間中なら、モデルやサイズの変更はもちろん、なんとスキーとスノーボードをチェンジすることも可能です。
〈SPICY〉は、白馬エリアに複数店舗(八方・和田野・岩岳)あるのですが、この3店舗間なら、例えば和田野店で借りて岩岳店で返却するなんてことも可能です。「今日はスノーボードがしたい!」なんて時も、和田野店で借りたスキーを八方店でスノーボードに変更する、そんなワガママにも対応してもらえるそうです。
ハードギアだけでなくウェア、さらにヘルメットもレンタルできるのですが、実は〈SPICY〉は、抗菌加工サービスも専門的に行なっています。ヘルメットとウェアーは除菌され、抗菌加工も施されているので安心です。さらに店舗内も丸ごと抗菌コーティング!
店内には販売用の商品もかなりのボリュームで揃っています。グローブやゴーグルなど、レンタルにない商品も購入することができますので、手ぶらで来店しても滑りに行くことができます。ちなみにスノーシューもレンタルが用意されていますので、興味のある人は尋ねてみてください。周辺は散策に適したフィールドの宝庫です。一度体験してしまうと病みつきになってしまうかもしれませんね。
正式名称:SPICY 和田野店
所在地:長野県北安曇郡白馬村北城和田の森
TEL:0261-72-2857
URL:https://spicy.co.jp
レンタル料金:
スタンダード・スキーセット1日(スキー・ブーツ・ポール)/スノーボードセット(ボード・ブーツ):大人4,800円、キッズ(小学生以下)3,200円。
ハイパフォーマンス・スキーセット1日(スキー・ブーツ・ポール)/スノーボードセット(ボード・ブーツ):大人6,300円。
各ブーツなしレンタル設定あり。他にもウェア・ヘルメットなど。長期間のレンタルプライス設定あり。
営業時間:8:00~17:00
アクセス:JR大糸線 白馬駅より3km
テストセンターって知っていますか? まるで自分だけの試乗会! 愛用の一本と出会うために〈BLASTRACK テストセンター〉
各スキーメーカー、ブランドがスキー場内の施設やショップなどに特設している「テストセンター」をご存知ですか? 誤解のないように、まずお断りしておきますが、テストセンターは通常のレンタルとは目的が違います。
あくまでも「自分の道具を持っている」人が、「次に買う板はどうしよう?」「パウダー用って快適なのかな? この板、圧雪バーンではどうなんだろう?」そんなとき、試しに乗ってみるために用意された施設です。
スキーやスノーボードを選ぶとき、ショップで手に取ってみたり、店員さんに話を聞いても、やはり百聞は一見(試乗)にしかず! 実際に乗ってみるのが一番わかりますよね。様々なジャンルの市販品・最新モデルのスキーやスノーボードが用意されているテストセンターは、板の新調を検討中の人にとって非常にありがたい存在です。
斑尾高原スキー場、「白樺レンタル」内にシーズン中常設されているテストセンターでは、「小賀坂スキー」の送り出す、Made in Naganoのスキーブランド「BLASTRACK(ブラストラック)」や「OGASAKA snowboard」、「NOVEMBER」、「Scooter」のスノーボードの試乗をすることができます。
あらかじめ日程の決まっているメーカーやショップ主催の試乗会は、多くのブランドの板やブーツに乗ることができますが、当日の雪質・コンディションでしか体験することができません。その点、テストセンターなら自分で日時を選べるので、自分が試したいコンディションで乗り心地を確かめることができます。パウダースノー“マダパウ”や自然の地形を生かしたコースが豊富な斑尾高原スキー場なら、よりリアルな滑走フィーリングを確認できるでしょう。
スキーやスノーボードは高額な買い物です。厳選された貴重な木材・素材も使用されています。デザイン重視の“ジャケ買い”もアリですが、しっかりと乗り味を吟味した上で選ぶのが大切ですね。長く愛用できる一本と出会うことが、ひいてはサステナビリティにもつながると思います。
正式名称:斑尾高原 テストセンター
所在地:長野県飯山市斑尾高原
TEL:0269-64-3311(斑尾高原ホテル)
URL:https://www.madarao.jp/ski/shirakaba/test-center
利用料金:スキー/スノーボード1日:4,500円、スキーセット(スキー・ブーツ・ポール)1日:5,500円。
スキー/スノーボード4時間:3,500円、スキーセット(スキー・ブーツ・ポール)4時間:4,500円、など。
※追加料金なしで、全てのモデルを乗り換え可能
営業期間:2022年12月17日~2023年4月2日
営業時間:8:30~16:30
アクセス:
上信越自動車道 信州豊田飯山ICから10km 約17分
上信越自動車道 妙高高原ICから15km 約25分
北陸新幹線 飯山駅からバス 約30分
撮影・文:杉村 航
<著者プロフィール>
杉村 航(Wataru Sugimura)
フォトグラファー。1974年生まれ。長野県在住。山岳・スキー写真をメインに撮影する。沢に薮山、山スキー、道なき道をいく山旅が好き。ライフワークはトラウトフィッシング。美しいヤマメやイワナを求めて、全国の渓流に足しげく通う日々。小谷村山案内人組合所属、北アルプス北部遭対協。
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