• HOME
  • 自然とアウトドア
  • 長野県の氷瀑・氷柱スポット8カ所 厳しい寒さが創り出す自然の芸術を見に行こう

長野県の氷瀑・氷柱スポット8カ所 厳しい寒さが創り出す自然の芸術を見に行こう

厳しい寒さによって創り出される氷のアート『氷瀑』と『氷柱』。冬本番になると長野県内各地でその幻想的な姿を見ることができます。本記事では、おすすめ鑑賞スポット8ヵ所の魅力やアクセス方法、ツアー情報をお届け。澄んだ冬の空気のなか、自然の厳しさと美しさが織りなす世界を巡る旅をご提案します。(2024/12/11)

00_TOP

TOP PHOTO:木曽町の白川氷柱群 ©木曽観光連盟

 

記載の情報は記事構成時点のものとなります。天候等の状況によって氷瀑・氷柱が発生しない場合やツアー等が催行されない場合があります。最新の情報は、現地観光協会やツアー実施事業者等にご確認ください。

氷瀑や氷柱とは?

00
乗鞍高原の「善五郎の滝」。滝全体が凍りつき見事な氷瀑に ©Takuro Yamamoto(山本拓郎)

『氷瀑』とは、滝の水が流れ落ちる途中でそのまま凍りつく現象のこと。一時停止したかのような滝の勢いが巨大な氷の塊として目の前に現れる、迫力満点の景色を見ることができます。一方の『氷柱』は、雪や氷が少しずつ溶け、溶けた水が冷気によって再び凍りつくことで形成されたもの。溶けては凍ってを繰り返し、どんどん大きく育つことがあります。

『氷瀑』も『氷柱』も寒さ厳しい自然環境が生む光景です。ゆえに長野県内でもとくに寒く、雪深い場所に出現します。鑑賞スポットへ車でお越しの場合は冬用タイヤ必須。防寒対策を十分にして、足元には軽アイゼンや滑り止めの装着をおすすめします。準備を万端にして、厳冬地ならではの氷のアートを堪能しに出かけましょう。

01 千ヶ滝<軽井沢町>

01
筋張った氷と岩肌とのコントラストが美しい『千ヶ滝』の氷瀑 ©星野リゾート ピッキオ

軽井沢町に位置する『千ヶ滝』は、エリア内で最も大きな落差を誇る滝として知られています。高さ約20m、幅およそ2m。滝から流れ落ちる水しぶきが凍りつくのは、例年1月中旬から2月上旬にかけて。静寂な森のなかで青白い光を放つ氷瀑へは、駐車場から渓谷沿いの遊歩道を約2km歩いてアクセスします。

幻想的な氷瀑をより深く楽しむなら、軽井沢町を拠点にエコツーリズムを推進する「ピッキオ」主催の氷瀑探訪ツアーへの参加がおすすめです。カモシカやキツネ、イノシシなどの動物たちの足跡を追ったり、カワガラスやミソサザイといった野鳥の姿を観察したりと、冬ならではの自然体験が楽しめます。ツアーは例年1月中旬から2月上旬まで開催。公式サイトから要予約。

【INFORMATION】

【スポット名】千ヶ滝
【住所】長野県北佐久郡軽井沢町千ヶ滝(☞Google Maps
【例年の見頃】1月中旬〜2月上旬
【ツアー詳細】☞ピッキオ公式サイト
【備考】落石の危険があるため、遊歩道最終地点までは進入不可(氷瀑の鑑賞は可)

02 乗鞍高原(善五郎の滝・三本滝)<松本市>

02_1
「温泉宿 Raicho」が主催するナイトツアー。貸切り状態のなか、ライトアップされた「善五郎の滝」を鑑賞できます ©Takuro Yamamoto(山本拓郎)

標高1,500mの雄大な自然に囲まれた『乗鞍高原』。エリア内にある「善五郎の滝」と「三本滝」は、人気の氷瀑鑑賞スポットです。高さ約22m、幅約8mの「善五郎の滝」。3つの異なる流れが一箇所に集まる「三本滝」。いずれも滝全体が凍り、壮大な冬の絶景が楽しめます。

滝へ向かう道中は、適度に起伏があり雪遊びに最適。毎年、このコースを満喫しながら氷瀑を訪ねるスノーシューツアーが開催されています。「温泉宿 Raicho」は、デイツアーとナイトツアーを企画。日中は「善五郎の滝」と「三本滝」の両方を巡る行程。夜はライトアップされた「善五郎の滝」の氷瀑へ。月明かりに照らされた静かな森をスノーシューで歩く時間は、ガイド付きツアーだからこそ体験できる特別なひとときです。

また、乗鞍高原を拠点とするアウトドア専門ガイド「NORTHSTAR」も、スノーシューツアーを主催。ふわふわのパウダースノーを歩きながら、ふたつの氷瀑のほか、乗鞍岳の雄大な眺望を満喫できます。「善五郎の滝」のみを楽しむ半日プランもあり、体力やスケジュールに応じてコースを選べるのも魅力。初心者やお子さま連れでも安心して参加できます。

02_2
ふたつの氷瀑を巡るスノーシューハイキングの一コマ。「善五郎の滝」を背景に記念撮影 ©NORTHSTAR

【INFORMATION】

【スポット名】乗鞍高原(善五郎の滝・三本滝)
【住所】長野県松本市安曇(善五郎の滝☞Google Maps/三本滝☞Google Maps
【例年の見頃】12月下旬〜2月下旬
【ツアー詳細】☞温泉宿 Raicho公式サイト/☞NORTHSTAR公式サイト

03 横谷渓谷(霧降の滝、乙女滝など)<茅野市>

03_1
落差約15mの「乙女滝」。周辺に整備された展望台からは、凍りついた滝の全容を見ることができます ©一般社団法人ちの観光まちづくり推進機構

八ヶ岳の麓、長野県茅野市に位置する『横谷渓谷』。落差5mと小ぶりながらも、繊細で美しい氷柱が形成される「霧降の滝」。滝全体が凍結し、幻想的な氷瀑を魅せる「乙女滝」があります。『横谷渓谷』の入り口には駐車場とバス停があり、自家用車でも公共交通機関でもアクセス可能。渓谷を流れる渋川沿いには全長約6kmの遊歩道が整備され、冬季も利用できます。

2月にはスノーハイキングツアーが開催され、地元ガイドの案内のもと、ふたつの氷瀑などを巡ります。所要時間は約半日。コースは比較的平坦なため初心者でも安心して参加できます。焼きマシュマロを味わうおやつタイムも。

03_2
ツアーでは、地元ガイドの判断により、滝のそばまで近づけるチャンスも ©一般社団法人ちの観光まちづくり推進機構

【INFORMATION】

【スポット名】横谷渓谷(霧降の滝、乙女滝など)
【住所】長野県茅野市(☞Google Maps ※横谷峡 駐車場)
【例年の見頃】1月上旬〜2月下旬
【ツアー詳細】☞ちの旅

04 白川氷柱群<木曽町>

04_1
岩肌から染み出した水が溶けては凍ってを繰り返し、大氷柱に育つ『白川氷柱群』(出典:Adobe Stock)

長野県は木曽町三岳地区の西野川沿いに現れる『白川氷柱群』。幅約250m、高さ約50mにおよぶ大規模な氷柱の連なりで「氷のカーテン」とも称されます。マイナス10℃から20℃という厳しい寒さのなか、御嶽山から湧き出る伏流水が岩壁を伝い滴り落ち、それが凍ることで形成される、圧巻の景色です。

鑑賞ポイントは、温泉施設「けやきの湯」の裏手から川岸に降りてすぐ。車は施設の入り口にあるチェーン脱着場に停めましょう。『白川氷柱群』を堪能した後、温泉に入り冷えた体を温めるのもおすすめです。

例年、12月ごろから氷柱が現れ始め、最も冷え込む1月から2月に最大規模となります。太陽光が差し込む午前中は絶好のシャッターチャンス。見頃を迎える1月中旬〜2月中旬には、夜間のライトアップが実施され、幻想的な姿を堪能できます。氷柱の状況やライトアップの日程など、参考サイトを確認のうえお出かけください。

04_2
ライトアップされた『白川氷柱群』と星空の共演も見どころ ©木曽観光連盟(撮影:倉澤佑馬)

【INFORMATION】

【スポット名】白川氷柱群
【住所】長野県木曽郡木曽町三岳井原(☞Google Maps
【例年の見頃】1月中旬〜2月下旬
【参考サイト】☞木曽おんたけ公式観光サイト

 

>>目次に戻る

05 三滝(大禅の滝、小禅の滝、浅間の滝)<北相木村>

05
マツカサ状の大きな氷柱を形成する「大禅の滝」 ©北相木村

長野県東部、群馬県との県境に位置する北相木村。静かな山間に位置するこの村には「大禅の滝」「小禅の滝」「浅間(せんげ)の滝」の3つの滝、通称『三滝』があります。「大禅の滝」と「小禅の滝」の名は一帯の「三滝山」を開山した禅宗の「大禅僧都(そうず)」に由来。滝周辺には数多くの石仏が点在しています。

「浅間の滝」は火山信仰の浅間神社がまつられたことから、その名がつけられたとか。かつて猟師に追われていた猪が崖から落ちたという伝承がもととなり、別名「猪音(ししおとや)の滝」とも呼ばれています。

冬の「大禅の滝」は、落差約30mの滝全体が凍りつき、壮大な氷柱に。小ぶりな「小禅の滝」は繊細で美しい氷模様が特徴。「浅間の滝」周辺には大小さまざまな氷柱が現れ、雪化粧した木々とともに白銀の世界をつくり出します。『三滝』を巡る遊歩道が整備されており、最寄りの「三滝駐車場」から「大禅の滝」までは徒歩10〜15分ほどの距離です。

【INFORMATION】

【スポット名】三滝(大禅の滝、小禅の滝、浅間の滝)
【住所】長野県南佐久郡北相木村(☞Google Maps ※三滝駐車場トイレ)
【例年の見頃】2月
【参考サイト】☞北相木村公式サイト

06 清滝・新滝<王滝村>

06
厳冬期には滝全体が凍結する「新滝」。深い森に囲まれた静寂の中に佇む荘厳な雰囲気も魅力 ©王滝村

木曽御嶽山の麓に広がる王滝村。点在する氷瀑や氷柱スポットのうち、とくに有名なのは『清滝』と『新滝』。『清滝』は、古くから御嶽山を信仰する行者たちが滝行をしていた神聖な場所です。冬本番の1月中旬〜2月下旬には落差約30mの滝全体が凍結し、迫力ある巨大な氷柱が育ちます。

一方、落差20mほどの「新滝」は、表面に現れる繊細で複雑な氷の模様が特徴で「清滝」とはまた違った静寂と神秘に包まれた雰囲気が味わえます。駐車場の「オートレスト清滝」から「清滝」へは雪がなければ徒歩5分ほどで到着。滝周辺には遊歩道が整備されています。

【INFORMATION】

【スポット名】清滝・新滝
【住所】長野県木曽郡王滝村(☞Google Maps ※オートレスト清滝)
【例年の見頃】1月中旬〜2月下旬
【参考サイト】☞王滝村公式サイト

07 禍誤除けの滝<喬木村>

07
落差30mほどの「禍誤除けの滝」。氷瀑の見頃は例年1月ごろ ©喬木村

長野県南部の喬木村にある『禍誤除けの滝(かごよけのたき)』。「災いや誤りを除く」という名前のとおり、古くから厄除けや願掛けの場として親しまれてきました。冬になると滝全体が凍りつき、美しい氷瀑へと姿を変えます。

『禍誤除けの滝』は、喬木村の中心部から車で約20分。駐車スペースから滝までは、遊歩道が整備されており、夏場であれば徒歩15分でたどり着きます。滝付近は落氷の危険があるため、距離を取って鑑賞しましょう。

【INFORMATION】

【スポット名】禍誤除けの滝
【住所】長野県下伊那郡喬木村氏乗(☞Google Maps
【例年の見頃】1月末ごろ
【参考サイト】☞喬木村公式サイト
【備考】駐車スペースから滝に続く2本の遊歩道のうち1本は土砂崩落のため通行不可(2024年12月現在)

08 米子大瀑布<須坂市>

08_1
落差89mの「不動滝」全体が凍りつく氷瀑は圧巻の景色 ©一般社団法人長野県観光機構

標高約1,500mの上信越国立公園内に位置する『米子大瀑布(よなこだいばくふ)』は「不動滝」と「権現滝」のふたつの大滝からなる景勝地です。冬になると滝全体が凍結し、壮大な氷瀑へと変貌を遂げます。

青白く輝く氷の断崖は、気温がマイナス20℃近くまで下がる厳冬期だからこその景色。不動滝は「白龍の滝」、権現滝は「黒龍の滝」とも呼ばれ、その名にふさわしい荘厳な姿を見せてくれます。このふたつの滝以外にも、小さな氷瀑が谷の至るところに点在し、幻想的な風景が広がります。

『米子大瀑布』へ通じる道路は冬季閉鎖となるため、通常は徒歩のみのアクセス方法となります。よってツアーに参加するのがおすすめ。ツアーは、JR長野駅から米子大瀑布駐車場まで許可車両による送迎付き。スノーシューを履いてガイドの案内のもと「不動滝」の氷瀑や「米子不動尊奥之院」などを巡ります。冬の大瀑布の美しい景色とともに、歴史や文化に触れることができるのもツアーの醍醐味です。

08_2
『米子大瀑布』の絶景を堪能できるスノーシューツアー ©一般社団法人長野県観光機構

【INFORMATION】

【スポット名】米子大瀑布
【住所】長野県須坂市米子(☞Google Maps ※米子大瀑布駐車場)
【例年の見頃】1月中旬〜2月上旬
【ツアー詳細】☞米子大氷瀑群スノーシュー体験(午前)/☞米子大氷瀑群スノーシュー体験(午後)
【備考】米子大瀑布駐車場までの道路は冬季閉鎖中。ツアー参加者以外のアクセス方法は徒歩のみ


文:松尾 奈々子
 

>>目次に戻る

閲覧に基づくおすすめ記事

MENU