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【中央アルプス】絶景と高山植物の宝庫「千畳敷カール」や木曽駒ヶ岳登山を楽しもう!アクセス方法や観光情報、登山ルートまとめ

長野県の南西部に広がる『中央アルプス』は「日本百名山」に選定される「木曽駒ヶ岳」を主峰とした山脈。山域には絶景スポットとして人気の「千畳敷カール」があります。本記事では「千畳敷カール」の魅力や「木曽駒ヶ岳」をはじめ『中央アルプス』の登山情報をご紹介します。(2024/8/8)

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TOP PHOTO:高山植物が咲き誇る8月の「千畳敷カール」 ©中央アルプス観光株式会社


記載の情報は記事構成時点のものとなり、営業状況等は変更となる場合がございます。最新の情報は、各市町村・現地観光協会等へお問い合わせください。
 

01 中央アルプスとは

01_中央アルプスとは
紅葉スポットとしても有名な「千畳敷カール」。ダケカンバやナナカマドなどが一面を彩る絶景を求めて、多くの人で賑わいます(紅葉の見頃:9月下旬頃〜) ©中央アルプス観光株式会社

『中央アルプス』とは、南北およそ100km、東西約20kmにわたり、標高約2,700〜2,900mの山々が連なる「木曽山脈」のことをいいます。約2万年前の氷河期に形成された半円状の窪地(カール地形)など貴重な地形が見られ、一帯は国定公園に指定されています。初心者から上級者まで登山が楽しめるのはもちろん、「千畳敷カール」まではロープウェイでアクセスが可能。目前に広がる雄大な景色を満喫することができます。

02 景色と散策を楽しむ

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山の一部を削って開通させた「駒ヶ岳ロープウェイ」。終点の「千畳敷駅」間際には、絶壁近くを通過します ©中央アルプス観光株式会社

標高2,612mに位置する「千畳敷カール」に続く「駒ヶ岳ロープウェイ」は、始点の「しらび平駅」から終点「千畳敷駅」まで、高低差約950mの間をおよそ7分30秒で運行します。「日暮の滝」や「中御所谷」など道中のダイナミックな景観が見どころ。「千畳敷駅」を降りれば、すぐに「千畳敷カール」の景色が広がります。

ロープウェイの運行状況や待ち時間は、公式サイトのトップページからチェック。
中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ公式サイト

02-1 千畳敷カールを散策

02_1_千畳敷カールを散策
岩肌を覆う青々とした緑と高山植物の共演が美しい夏の『千畳敷カール』 ©中央アルプス観光株式会社

畳千枚分の広さを有することから、その名が付いた『千畳敷カール』。一帯は地下深くでマグマが冷え固まってできた花崗岩(かこうがん)で構成されています。約150種類の高山植物が咲き誇る最盛期は7月中旬〜8月中旬。険しい岩肌と花々のコントラストはこの地ならではの光景です。「千畳敷カール」を周回する遊歩道が整備されており、約45分で一周することができます(積雪期は散策不可)。

02-2 カフェやデッキで景色を堪能

02_2_1_カフェやデッキで景色を堪能
「ホテル千畳敷」の屋外テラス「SO・RA・TO・KI」。「宝剣岳」直下のカール地形が目の前に広がります ©中央アルプス観光株式会社
02_2_2_カフェやデッキで景色を堪能
「ホテル千畳敷」の南アルプス側にある「Lounge~2612~」。混雑を避け、ゆったり景色を堪能 ©中央アルプス観光株式会社

「千畳敷駅」に併設する「ホテル千畳敷」は、宿泊部屋の他、屋外テラスや屋内レストラン、ラウンジなどが集まるハブ施設です。ウッドデッキテラスの「SO•RA•TO•KI」は「千畳敷カール」を間近に堪能する特等席。レストラン「2612 Café & Restaurant」では、景色を楽しみながら自家製のカレーをはじめとする洋食メニューが味わえます。南アルプス側に面した「Lounge~2612~」は有料で貸し切り利用が可能です(夜間は宿泊者に無料開放)。

02-3 千畳敷カールに泊まる

02_3_千畳敷カールに泊まる
ロープウェイの終点「千畳敷駅」に併設する「ホテル千畳敷」 ©中央アルプス観光株式会社

標高2,612mに建つ「ホテル千畳敷」に宿泊し、高山帯ならではの夜、そして早朝の景色や空気を満喫するのもおすすめです。満天の星や南アルプスを昇る日の出の他、朝日で赤く染まる「千畳敷カール」のモルゲンロートが見られるかもしれません。「千畳敷カール」側もしくは南アルプス側に面した全16の客室があり、宿泊者専用の大浴場も完備。ユニットバス付きの部屋もあります。

ホテル千畳敷公式サイト

02-4 季節毎の見どころ・服装のポイント

02_4_季節毎の見どころ・服装のポイント
4月中旬~5月下旬には「千畳敷スキー場」がオープン ©中央アルプス観光株式会社

「千畳敷カール」は、4月中旬から5月下旬頃までスキー場としてオープンし、一帯でバックカントリースキーが楽しめます。高山植物が最盛期を迎える7、8月は、散策や登山に最適。9月下旬〜10月上旬に紅葉が見頃となり、例年10月中旬頃には初雪が降ります。タイミング次第では3段紅葉が見られるかもしれません。

気温は、夏本番の7、8月で20度ほど。厳冬期の2月は氷点下20度を下回る日もあります。標高2,500m超の高山帯であることを念頭に置き、平地よりも厚着で、体温調節ができるよう着脱しやすい服装を心掛けましょう。登山をしない場合でも歩きやすい運動靴(できれば登山靴かミドルカット以上のトレッキングシューズ)の着用をおすすめします。

各月の気温や基本の服装については、下記も要チェック。
中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ公式サイト 年間気温と服装

03 アクセス情報(千畳敷カールまで)

「菅の台バスセンター」から路線バスでロープウェイの始点「しらび平駅」に向かい、ロープウェイに乗り換えて終点「千畳敷駅」へ。「菅の台バスセンター」より先はマイカー規制のため車は進入できません。「菅の台バスセンター」に隣接する駐車場を利用しましょう。

03-1 車の場合

03_1_車の場合
乗用車300台ほどが停められる「菅の台バスセンター」 ©中央アルプス観光株式会社

中央自動車道「駒ヶ根IC」より約3分の「菅の台バスセンター」駐車場を利用し、路線バスとロープウェイを乗り継いで「千畳敷カール」を目指します。「菅の台バスセンター」から「しらび平駅」までは路線バスで約30分、そこから「千畳敷駅」まではロープウェイで約7分30秒です。
「菅の台バスセンター」駐車場は24時間営業。料金は普通自動車1日800円、バイク1日200円、キャンピングカー1日1,000円。

03-2 公共交通機関の場合

03_2_公共交通機関の場合
「菅の台バスセンター」からロープウェイの山麓駅「しらび平駅」までの間は路線バスに乗って移動します ©中央アルプス観光株式会社

電車の場合は、JR「駒ヶ根駅」から路線バスに乗り「しらび平駅」へ向かいましょう。バスの乗車時間は約50分です。
東京(バスタ新宿)・名古屋(名鉄バスセンター)・大阪(阪急三番街)発の高速バスの場合は、「中央道駒ヶ根IC」または「駒ヶ根バスターミナル」で降車。その後、路線バスに乗り換え「しらび平駅」までアクセス。

アクセスについての詳細は下記をご確認ください。
中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ公式サイト アクセス

04 登山にチャレンジ(ロープウェイ使用)

「千畳敷駅」は『中央アルプス』登山の起点にもなります。「千畳敷カール」を周回する遊歩道から登山道に入り「木曽駒ヶ岳」や「三ノ沢岳」などへの稜線に続きます。登山におすすめの時期は7〜10月。降雪や積雪のある11月〜翌6月は雪山登山の装備が必要です。

04-1 乗越浄土

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『乗越浄土』から稜線を進むと「木曽駒ヶ岳」にたどり着きます ©中央アルプス観光株式会社

「千畳敷カール」から少し足を伸ばしたプチ登山におすすめなのが、「千畳敷駅」から約1時間の『乗越浄土』までのコース。『乗越浄土』は「八丁坂」と呼ばれる急坂を登り切った先にある、南アルプスや八ヶ岳連峰が一望できるビューポイントです。
※初心者向けのコースですが、スニーカーはNG。ミドルカット以上のトレッキングシューズ、登山靴を履きましょう

【INFORMATION】

【標高】2,850m
【所要時間】千畳敷駅から往復約2時間
【距離】往復約2km
【詳細】中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ公式サイト

04-2 木曽駒ヶ岳

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『木曽駒ヶ岳』山頂からは御嶽山や南アルプスなどのパノラマを望むことができます ©中央アルプス観光株式会社

「中央アルプス」の最高峰で「日本百名山」に選ばれる『木曽駒ヶ岳』。「千畳敷カール」から「乗越浄土」「中岳」を経由し山頂を目指します。所要時間は往復4時間ほど。「乗越浄土」より先は比較的緩やかな登り道で初心者にもおすすめなコースです。帰りは来た道を戻る、もしくは「濃ヶ池」や「駒飼ノ池」を経由する中級者向けのルートもあります。

【INFORMATION】

【標高】2,956m
【所要時間】千畳敷駅から往復約4時間
【距離】往復約4km
【詳細】中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ公式サイト

04-3 三ノ沢岳

04_3_三ノ沢岳
ハイマツが繁茂する緑豊かな『三ノ沢岳』。ルート沿いに咲く高山植物の数は「中央アルプス」の中でもトップクラス ©中央アルプス観光株式会社

「中央アルプス」唯一の独立峰である「三ノ沢岳」へは「千畳敷駅」の西側から延びるルートを利用して登頂します。観光客で賑わう「千畳敷カール」とは対照的な静けさが魅力の健脚向けのコースです。「千畳敷ホテル」に前泊し、早朝に出発するのがおすすめ。

【INFORMATION】

【標高】2,847m
【所要時間】千畳敷駅から往復約6時間
【距離】往復約6km
【詳細】中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ公式サイト

05 その他登山者に人気の中央アルプスの山

「千畳敷カール」を起点に登る山以外にも、数々の名峰が連なる『中央アルプス』。中でも人気の高い初心者から中級者向けの3コースをピックアップしてご紹介します。

*長野県では登山ルートの体力度や難易度を評価した「信州 山のグレーディング」を公表しています。1~10段階の体力度(数字が大きくなるほど体力が必要)、A~Eの技術的難易度(Eが最も難易度が高い)、コースタイムなどをまとめたもので、以下に記載の情報は、「信州 山のグレーディング」や市町村等が発表する資料を参考にしております。
信州 山のグレーディング

05-1 経ヶ岳

夏の経ヶ岳(有賀雄大) (1)
「中央アルプス」の北端にある『経ヶ岳』。麓から山頂までの標高差は1,000m超と、なだらかな山容とは対照的なコースを登ります ©有賀雄大

「日本二百名山」に数えられる『経ヶ岳』。8合目に南アルプスや八ヶ岳連峰、そして伊那谷を望む絶景ポイントがあります。4本ある登山道のうち、よく利用されるのは、1,200年の歴史を刻む天台宗の寺院「仲仙寺」を起点としたルート。本堂向かって右手から登山口へ続きます。 ルート中に山小屋はありませんので、早朝出発を心がけ、日没前に下山しましょう。

【INFORMATION】

【ルート名称】経ヶ岳(仲仙寺)
【標高】2,296m
【体力レベル】4
【難易度レベル】A
【歩行時間(目安)】往復8.7時間
【総歩行距離(目安)】往復13km
【登山口までのアクセス】車:中央自動車道「伊那IC」より約10分で「仲仙寺駐車場」 ※無料(☞Google Maps
電車:JR「伊那市駅」から路線バスに乗りバス停「羽広」で下車、徒歩約10分
【参考】☞南箕輪村公式サイト(経ヶ岳ガイドブック)

05-2 恵那山

05_2_恵那山
登山口から山頂まで標高差およそ1,000mの急登ながら、日帰り登山が可能な『恵那山』。道中の眺望の良さが魅力 ©阿智☆昼神観光局

『恵那山』は、長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる「中央アルプス」最南端の山で「日本百名山」の一つ。長野県側からアクセスする場合は、阿智村の峰越林道ゲート終点の「広河原登山口駐車場」から30分ほど林道を歩き登山口に入ります。ビューポイントは、山頂近くに建つ「恵那山山頂小屋(恵那山山頂避難小屋)」の裏手。北・南アルプスや富士山を眺めることができます。
※「恵那山山頂小屋(恵那山山頂避難小屋)」に管理人は常駐していません。

【INFORMATION】

【ルート名称】恵那山(峰越林道ゲート)<広河原登山口>
【標高】2,191m
【体力レベル】3
【難易度レベル】B
【歩行時間(目安)】往復6時間
【総歩行距離(目安)】往復11.8km
【登山口までのアクセス】中央自動車道「飯田山本IC」より車約20分で「広河原登山口駐車場」(☞Google Maps
【参考】☞山と渓谷オンライン
【備考】広河原登山口駐車場から登山口までの林道は落石等があり危険な状況のため、通行には十分お気をつけください。また、登山口付近の川に架かる板が不安定なため、渡る際は要注意。お出かけ前に阿智村公式サイトで注意事項等、ご確認ください(2024年7月末現在)

05-3 空木岳

05_3_空木岳
白い花崗岩と緑のハイマツのコントラストが特徴的な『空木岳』 ©矢満田務

「中央アルプス」のほぼ真ん中に位置する『空木岳(うつぎだけ)』も「日本百名山」の一つ。山頂から北・南アルプスや乗鞍岳、御嶽山などのパノラマを望むことができます。「駒ヶ根高原スキー場」の「池山尾根登山口」から入山。標高差が大きく鎖場などの難所がある中級以上のコースです。頂上の100m手前にある山小屋「空木駒峰ヒュッテ」に宿泊する1泊2日の行程がおすすめ(素泊まりのみ・要事前予約)。

【INFORMATION】

【ルート名称】空木岳(駒ヶ根高原)
【標高】2,864m
【体力レベル】6
【難易度レベル】C
【歩行時間(目安)】往復12.8時間
【総歩行距離(目安)】往復19.7km
【登山口までのアクセス】中央自動車道「駒ヶ根IC」より車約5分で「駒ヶ根高原スキー場駐車場」(☞Google Maps
【参考】☞空木駒峰ヒュッテ公式サイト
【備考】空木駒峰ヒュッテの営業期間は例年7月中旬〜10月中旬。宿泊は要事前予約で素泊まりのみ

06 登山の注意点

*)登山計画書は万が一の際に迅速な救助活動にもつながります。登山の際は、事前に登山計画書を必ず提出しましょう。登山計画書はインターネットからでも提出可能です。
*)準備不足・体力不足を原因とした遭難が増えています。「信州 山のグレーディング」等を参考に、自分の技術や体力にあった山選びをし、安全第一で登山を楽しみましょう。
*)入山の際は、登山に適した服装と装備で余裕を持った行動をお願いします。
*)記載の体力レベル、難易度、歩行時間等は無雪期・天気良好時の場合です。実際の登山では、体力度、難易度以外に悪天候、残雪、体調、その他偶発的な要因によるさまざまなリスクがあります。それらにも配慮した登山計画を立てましょう。


文:松尾 奈々子
 

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