特集『サイクリング』②|親子で気軽に大冒険!諏訪エリアをめぐるサイクルツーリズムのススメ(Japan Alps Cycling Road:諏訪湖ルート)

思いっきりペダルを踏み込んで、歩くのとも走るのとも違う速度で風を切って進む。子どもと一緒に出かける自転車の旅には、いつもの景色がちょっと違って見えるような、たくさんのワクワクが詰まっています。
 
今回紹介するのは、自転車初心者やファミリーから人気を集める諏訪エリア。自転車専用道路があって走りやすい諏訪湖畔から、歴史や文化、おいしいものがたくさんの街なかを散策したり、絶景のビーナスラインに挑戦したり。諏訪エリア出身でJapan Alps Cycling Project副代表を務める小口良平さんに、親子で自転車を楽しむポイントやおすすめの立ち寄りスポットを聞きました。

レンタルやアクティビティも充実の安心ルート

湖周辺にはレンタサイクルを行う店が数箇所あり、種類もサイズも豊富。用途に合わせて選びたい

上諏訪駅構内にあるレンタサイクルスポット。身分証を持参すれば当日その場で自転車が借りられる

湖周辺にはレンタサイクルを行う店が数箇所あり、種類もサイズも豊富。用途に合わせて選びたい

上諏訪駅構内にあるレンタサイクルスポット。身分証を持参すれば当日その場で自転車が借りられる

さまざまなアクティビティやスポットが点在している諏訪湖周辺。どの場所からでもサイクリングを楽しむことができますが、まずおすすめはJR上諏訪駅から自転車に乗ってめぐる回遊ルートです。駅構内のレンタサイクルは身長140cmから利用可能で、ヘルメットの用意もあり、支度の手間が少なくて済むのが嬉しいところ。さらに諏訪エリアには、ギアの不具合で困ったときの自転車屋さんが記載されたサイクルマップが用意されているので、いざというときのお守りにゲットしておくのが安心です。

長野県を1周する「Japan Alps Cycle Road」は、ビーナスラインから諏訪、下諏訪を通って伊那谷へ。山岳、湖、峠道と変化する景色が多くのサイクリストに支持されている(秋の風景) @JapanAlpsCyclingProject

湖畔に整備された自転車専用道路。歩行者や車と接触の心配が少なく、快適に走れる環境が嬉しい

長野県を1周する「Japan Alps Cycle Road」は、ビーナスラインから諏訪、下諏訪を通って伊那谷へ。山岳、湖、峠道と変化する景色が多くのサイクリストに支持されている(秋の風景) @JapanAlpsCyclingProject

湖畔に整備された自転車専用道路。歩行者や車と接触の心配が少なく、快適に走れる環境が嬉しい

湖畔を走る16kmのサイクリングルートは、2024年4月に全線開通したばかりの平坦で安全な道。標識もわかりやすく、迷子になる心配もありません。子どもと一緒に景色を見たり寄り道をしたり、余裕を持って楽しむことができます。
また諏訪湖には、鳥がモチーフの可愛らしい足漕ぎボートやカヤックなど、水の上から街や山の景色を眺めるアクティビティも充実しています。スタート地点の上諏訪駅近くには「初島(はつしま)」という人工島が浮かんでいて、上陸もできるので、島にある「初島神社」に参拝してからサイクリングをするのも良いかもしれません。

ガイド付きで行われているカヤックツアーは、丁寧なレクチャーで初めてでも安心

3人乗りと4人乗りから選べる足漕ぎボート。30分から借りることができ、気軽な湖上遊覧にぴったり

ガイド付きで行われているカヤックツアーは、丁寧なレクチャーで初めてでも安心

3人乗りと4人乗りから選べる足漕ぎボート。30分から借りることができ、気軽な湖上遊覧にぴったり

神社に温泉、大人も嬉しい街乗り立ち寄りスポット

諏訪湖畔で自転車に慣れたら、もう少し行動エリアを広げてグルメや観光を楽しみに出かけましょう。

諏訪湖を眺めながら足湯できる「湖畔公園足湯」も間欠泉センターに併設。全て無料で利用できるのも嬉しい

噴出当初は50mまでお湯が吹き出したという間欠泉。センターの1階の売店には、固茹での温泉たまごが売られている

諏訪湖を眺めながら足湯できる「湖畔公園足湯」も間欠泉センターに併設。全て無料で利用できるのも嬉しい

噴出当初は50mまでお湯が吹き出したという間欠泉。センターの1階の売店には、固茹での温泉たまごが売られている

まずは「諏訪湖湖畔公園」にある「諏訪湖間欠泉センター」へ。諏訪にある7つの温泉の湧出口をモデルにつくられた「七ツ釜(ななつがま)」があり、自然に湧き上がる湯けむりや吹き出す温泉を間近で見られます。2階には諏訪周辺で撮影された映画やドラマの紹介と小道具の展示があり、3階の「花火館」では「諏訪湖の花火」の写真や資料が置かれています。地域のことを知る窓口としても、楽しい立ち寄りスポットです。

参道近くには「もちまんじゅう」や「塩羊羹」で知られる老舗の和菓子屋「新鶴(しんつる)」やお土産屋、美術館などもあり。合わせて楽しみたい

諏訪大社のひとつ下社秋宮。諏訪湖からのアクセスもよく、散策ルートに組み込みやすい

参道近くには「もちまんじゅう」や「塩羊羹」で知られる老舗の和菓子屋「新鶴(しんつる)」やお土産屋、美術館などもあり。合わせて楽しみたい

諏訪大社のひとつ下社秋宮。諏訪湖からのアクセスもよく、散策ルートに組み込みやすい

厳かな空気に包まれた諏訪大社は、諏訪湖を囲むようにして建てられた「上社前宮(かみしゃまえみや)」と「本宮(ほんみや)」、「下社春宮(しもしゃはるみや)」と「秋宮(あきみや)」の四社からなる神社です。起源は古事記の頃までさかのぼるといわれ、自然そのものを御神体とした日本古来の信仰の形を大切に守り継いでいます。
間欠泉センターのある諏訪湖の北側には春宮と秋宮があり、いずれも自転車を停めて参拝が可能。前宮と本宮は湖の反対側にあるので、体力と相談しながら四社をめぐり、御朱印集めなども楽しめます。

刺激少なめの単純温泉が、疲れた足を優しく癒してくれる

JR上諏訪駅の1番線ホームにかかる足湯の暖簾。くぐるといきなり温泉が現れるのがおもしろい

刺激少なめの単純温泉が、疲れた足を優しく癒してくれる

JR上諏訪駅の1番線ホームにかかる足湯の暖簾。くぐるといきなり温泉が現れるのがおもしろい

発着点として紹介したJR上諏訪駅は、ホームにある足湯が名物のひとつ。もとは男女別の露天風呂があった場所で、「日帰り入浴ができる駅」として旅人に愛されていましたが、2002年にリニューアルして今の形になりました。入場券を買えば電車を利用しない人も入れるので、レンタサイクルの返却がてら利用してみてはいかがでしょうか。

自転車に慣れたら坂道に挑戦!県内屈指の絶景ルートへ

自転車に慣れてきたら、走りを楽しむビーナスラインへ出発。高山植物や野鳥など、景色以外の楽しみも多いサイクリングルートです。

公園内にはトイレや自動販売機があり、自転車を停めて休憩も。標高は900mを越え、夏でも涼しい風が吹き抜ける

立石公園からの景色。信州サンセットポイント100選や、新日本三大夜景・夜景百選にも選出されている

公園内にはトイレや自動販売機があり、自転車を停めて休憩も。標高は900mを越え、夏でも涼しい風が吹き抜ける

立石公園からの景色。信州サンセットポイント100選や、新日本三大夜景・夜景百選にも選出されている

諏訪湖越しにアルプス連山を望む「立石公園(たていしこうえん)」は、諏訪湖畔から3.3kmほどの場所にある人気のパノラマスポットです。市街地から坂道をのぼってアクセスしますが、e-bikeのアシストがあれば体力に自信がなくても大丈夫。展望台のほかに遊具や芝の広場もあり、ついのんびり過ごしたくなる公園です。

展望スポットから見る白樺湖。正面には蓼科山、天気が良ければ噴煙をあげる浅間山が見えることも

ドライビングコースとしても人気のビーナスライン。どこを切り取っても爽快感は抜群

展望スポットから見る白樺湖。正面には蓼科山、天気が良ければ噴煙をあげる浅間山が見えることも

ドライビングコースとしても人気のビーナスライン。どこを切り取っても爽快感は抜群

全長70kmにおよぶビーナスラインは、いきなり全走破を目指すより、ルートを区切って挑戦するのが小口さんのおすすめ。特に立石公園から先はハードで細い坂道が待っているので、経験者やガイドが不在の場合は、白樺湖をベースにコースを組むのが安心です。湖畔のショップで自転車を借りたら、車山高原を抜けて霧ヶ峰高原まで。途中には富士山や日本百名山の山々を見渡す展望エリアもあり、諏訪湖畔とは違ったダイナミックなサイクリングが楽しめます。

店ではレンタサイクル以外にも、カヤックやSUPなどアクティビティ体験を提供している

白樺湖でe-bikeのレンタルを行っているアウトドアショップ「Hygge(ヒュッゲ)」

店ではレンタサイクル以外にも、カヤックやSUPなどアクティビティ体験を提供している

白樺湖でe-bikeのレンタルを行っているアウトドアショップ「Hygge(ヒュッゲ)」

気温差や天候に注意して、安心安全なサイクリングを

交通ルールの確認や安全の確保もサイクリストのマナーのうち。怪我なく楽しく過ごせるよう心がけたい

暑い季節は熱中症に注意。水分と合わせて糖分の補給も忘れず、こまめな休憩を

交通ルールの確認や安全の確保もサイクリストのマナーのうち。怪我なく楽しく過ごせるよう心がけたい

暑い季節は熱中症に注意。水分と合わせて糖分の補給も忘れず、こまめな休憩を

自転車は、法律で車の仲間として軽車両に位置付けられている乗り物です。乗る際には親子で交通法規をしっかり確認し、ルールやマナーを守って楽しむことが重要です。特に13歳以下の子どもには、「歩道を通行しても良い」という特別ルールが設けられているので、どのように道を使い分けるのか注意してコースを組みたいところです。
また、記事内で紹介してきたビーナスラインなど標高が高い場所を走るときには、急な天気の崩れや気温差に対応できるよう上着の用意が必須です。汗をかいたあとの下り坂は風で体が冷えやすく、ハンドルが握りにくくなるなどの弊害も予想されるため、安全管理の一環として注意しましょう。

写真は小口さんが運営するサマーキャンプのひとコマ。シーズンによって親子向けの企画もあるのでチェックしたい

レベルに合わせてさまざまなサイクリングツアーが企画される諏訪エリア。まずはこうした機会に参加してみるのもおすすめ

写真は小口さんが運営するサマーキャンプのひとコマ。シーズンによって親子向けの企画もあるのでチェックしたい

レベルに合わせてさまざまなサイクリングツアーが企画される諏訪エリア。まずはこうした機会に参加してみるのもおすすめ

Information

【諏訪湖間欠泉センター】
住所:諏訪市湖岸通り2-208-90諏訪湖湖畔公園内
電話:0266-52-8282
HP:https://www.city.suwa.lg.jp/site/enjoy/4441.html
 
【信濃國一之宮 諏訪大社】
HP:https://suwataisha.or.jp/
・下社秋宮
所在地:諏訪郡下諏訪町5828
電話:0266-27-8035
・下社春宮
所在地:諏訪郡下諏訪町大門193
電話:0266-27-8316
・上社本宮
所在地:諏訪市中洲宮山1
電話:0266-52-1919
・上社前宮
所在地:茅野市宮川2030
電話:0266-72-1606
 
【上諏訪駅足湯】
住所:諏訪市諏訪1丁目1-18
電話:050-2016-1600(東日本旅客鉄道株式会社 お問い合わせセンター)
時間:9:00-21:00 ※花火大会日等は要確認
 
【立石公園】
所在地:諏訪市大字上諏訪立石町10399
電話:0266-52-4141(都市計画課 公園緑地係)
 
【湖畔のアウトドアショップ Hygge】
住所:茅野市北山白樺湖畔3419
電話:050-5526-4408
HP:https://hygge-shirakaba.com/

撮影:新井涼平  文:間藤まりの イラスト:永瀬美優