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“海なし県”長野が誇るブランド魚「信州サーモン」。そのルーツや味の秘密とは?

海なし県・長野が誇るブランド魚『信州サーモン』。清らかな水と冷涼な環境が生んだ上品な味わいと、とろける食感が魅力です。本記事では『信州サーモン』誕生の背景やおいしさの秘密、食べ方、購入先などを詳しく紹介します。(2025/2/28)

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TOP PHOTO:©株式会社加藤鯉店
 

『信州サーモン』誕生物語

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「ニジマス」と「ブラウントラウト」のハイブリット種『信州サーモン』(写真提供:長野県農政部)

『信州サーモン』とは?

長野県では、標高の高い地域から湧き出る清らかな水資源を活かし、ニジマスの養殖が盛んに行われてきました。そんな中、「長野県水産試験場」は“よりおいしく、病気に強く、成長の早い魚を育て、海のない長野県でも質の高い生魚を提供したい”との思いから、新たな養殖魚の開発に挑戦。試行錯誤の末、誕生したのが「ニジマス」と「ブラウントラウト」をかけ合わせた『信州サーモン』です。

全国初、画期的な技術開発

1994年(平成6年)から10年にわたる研究の中で、全国初の手法により繁殖能力を持たないサーモンを生み出すことに成功しました。この技術により、成熟による肉質の劣化を防ぎ、一年中安定した品質のサーモンの生産が可能となったのです。

こうして2004年(平成16年)に誕生した『信州サーモン』は、2014年(平成26年)に地域団体商標として登録。高品質な国産サーモンとしての価値が認められ、年々人気が高まっています。

『信州サーモン』開発の詳細は下記をご確認ください。
長野県水産試験場「信州サーモンができるまで」

『信州サーモン』がおいしい3つの理由

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信州を代表するブランド魚『信州サーモン』 ©株式会社加藤鯉店

【1】信州ならではのオリジナル品種

長野県の冷涼な気候と豊かな水資源を活かした環境で育てられる『信州サーモン』。繁殖能力を持たないため、余分なエネルギーを使わずしっかりとうま味を蓄えることができ、なおかつ肉質が劣化しないのが特徴です。一年を通じて安定した品質を維持しています。

【2】徹底した品質管理

『信州サーモン』の稚魚は「長野県水産試験場」でのみ生産されます。厳選された親魚から生まれた稚魚は、およそ半年で体長7〜8cmに育ち、その後「信州サーモン振興協議会」に加盟する県内業者のもとへ。それぞれの養魚場で2〜3年かけて丁寧に育てられ、体重2〜3kgの食用魚として出荷されます。

毎日のエサや水質調整を徹底するなど、養殖環境は細かく管理されます。加えて『信州サーモン』として流通するのは、出荷時に大きさや肉質などの厳格な基準をクリアしたものだけ。親魚の管理から出荷までの徹底した品質管理が、おいしさを支えているのです。

【3】豊かな雪解け水の恵み

北アルプスや八ヶ岳からの豊富な雪解け水に恵まれている長野県。特に「長野県水産試験場」がある安曇野市では、水温が年間を通じて10〜15℃と安定し、冷水性のマス類を飼育するのに適した環境が整っています。この清らかな水で育つ『信州サーモン』は、余分な臭みがなく、すっきりとした上品な味わいに仕上がります。

『信州サーモン』の味の特徴とおすすめの食べ方

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刺身はもちろん、さまざまな料理に使える『信州サーモン』(写真提供:長野県農政部)

ほど良い脂と上品なうま味

銀色に輝く美しいからだと紅色の身が特徴的な『信州サーモン』。肉質はきめ細かくほど良く締まっており、適度な脂がのっています。口いっぱいに広がる豊かな風味と、とろけるような舌触り。魚特有の強い臭みがなく、さっぱりとした後味も魅力です。

シンプルに楽しむもよし、アレンジも自在

まろやかなうま味と適度な歯ごたえをダイレクトに堪能することができる刺身はもちろん、クセの少ない『信州サーモン』は和洋中どの料理にも合います。加熱調理する際は、皮と身の間にたっぷりの脂があるため、皮を残すことでより一層味わい深く仕上がります。

おすすめの食べ方

刺身・カルパッチョ
素材本来の味わいをそのまま楽しめます。オリーブオイルやレモン汁をかけると、爽やかな風味が際立ちます。
寿司・丼ぶり
酢飯との相性が良く、握り寿司や海鮮丼のネタとしても人気。醤油漬けにしてもおいしくいただけます。
ムニエル・ソテー
バターで焼くことで、香ばしさとジューシーさがアップ。白ワインとの相性も抜群です。
鍋料理・しゃぶしゃぶ
さっと火を通すと脂の甘みが引き立ち、スープにもうま味が溶け込みます。ポン酢やごまだれで味の変化を楽しむのもおすすめ。
南蛮漬け
カリッと揚げた『信州サーモン』を甘酢に漬けることで、さっぱりとした味わいに。玉ねぎや人参を加えると、より奥深い風味が広がります。

こちらのページで「信州サーモン」と入力して検索すると、さまざまなレシピをご覧いただけます。

どこで食べられる?『信州サーモン』の販売・提供店

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信州の名産として、県内各地の多くの飲食店で食べられます ©株式会社加藤鯉店

『信州サーモン』が食べられるお店

『信州サーモン』は長野県内の多くの飲食店で提供される人気の食材です。寿司店や和食店、フレンチ・イタリアンレストラン、さらにはホテルや旅館などで味わえます。

☞信州サーモン提供店舗の検索はこちら(おいしい信州ふ~ど)

『信州サーモン』が買えるお店

長野県内のスーパーや直売所、長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」(東京都)などで購入可能です。さまざまなネットショップ、さらにはふるさと納税サイトなどでも販売しています。
※品切れの場合がありますので、お求めの際は事前に各店舗へお問い合わせください。

販売店舗・養殖業者一覧は下記より
おいしい信州ふ~ど
信州サーモン振興協議会

人気急上昇!『信州サーモン』の生産が追いつかない?

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いまや国内外問わず大人気の『信州サーモン』(写真提供:長野県農政部)

『信州サーモン』は、健康志向の高まりや和食ブームの影響もあり、国内外での需要が急速に拡大しています。2022年(令和4年)には、アメリカのバイデン前大統領が来日した際や、G7の外相会合のディナーでも提供され、知名度が大幅に上昇。円安による輸入サーモン価格の高騰も相まり、安定した品質と病気への強さを持つ『信州サーモン』の評価が高まり、注目を集めています。

しかし、急激な需要の高まりに伴い供給不足が課題に。長野県水産試験場と「信州サーモン振興協議会」は、持続可能な養殖産業を目指し、生産体制の向上や品質管理の強化に取り組んでいます。

今後はブランドの魅力をさらに高めるとともに、生産体制の強化を進めることで、さらなる市場の拡大が期待されます。


文:松尾 奈々子

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