雨の日の隠れ家、飯田下伊那のカフェ特集
どこに行くにもなかなか予定が立てづらい雨の日。カフェで時間を過ごしてみるのはいかがでしょう?濃度を増した深緑の山々をしっとりと濡らす雨景色を眺めながら、こだわりのコーヒーやケーキをゆっくりと堪能するのは雨の日ならではの“エモーショナル”な楽しみ方ではないでしょうか。今回はそんな雨の日にも景色を楽しめる、南信州のおすすめカフェをご紹介します。
〈カフェレスト センジュ〉飯田市街地を一望できる絶景老舗カフェ
昭和60年にオープンした『カフェレスト センジュ』。カフェになる前は割烹料理店「仙寿楼」として営業していた。長年地元から愛されているだけあり、カフェとなった現在も常連客が絶えず足を運びます。メニューはなんと70種類以上。コーヒー&紅茶はもちろん、食事メニューやスイーツの種類も豊富。食事メニューはホットサンドなどの軽食からステーキなどメインとして食べられるものまで充実。平日の昼時はランチ客で賑わいます。
客席に据え付けられた大きな窓から一望できる飯田市街地の景観もこのカフェの魅力の一つ。夏の雨が演出する穏やかな景色を横目に、数あるメニューの中から好みの一品を決める。贅沢な時間です。かなり悩んで「ツイン・フロート」と「食べられるハーブティー」を注文。「ツイン・フロート」はコーヒー、コーラ、ソーダの中から2種類の飲み物を選ぶと、2層に分かれたグラスにバニラアイスを添えて提供してくれる変わり種メニュー。
今回はインスタ映えを狙って2種類のソーダの組み合わせで頼んでみました。青いソーダはブルーハワイ味、ピンク色のソーダはピーチ味。見た目も味も爽やかでポップなソーダフロートは、心配ごとを吹き飛ばしてくれるようです。おすすめのボードにも書かれている「食べられるハーブティー」は看板メニューの1つ。ハーブティーにりんごの果肉が入って文字どおり”食べられる”ことが特徴です。飲んだ瞬間、りんごとハーブのフルーティーで爽やかな香りが鼻から抜け、飲み終わるころにハーブの香りが染み込んだりんごを食べることができるので、1杯で2度楽しめるドリンクです。
窓から望む絶景とユニークなオリジナルメニューを楽しむことができる「カフェレスト センジュ」は飯田駅から徒歩約15分程。高速バスの利用者にとっては信南交通高速バスのバス停「飯田商工会館前」から徒歩1分。駐車場は店の目の前にあり、駐車料金は店内でカフェメニューを注文すれば無料券をもらえるので車利用でも安心です。
〈カフェレスト センジュ〉
長野県飯田市常磐町17。TEL 0265-22-1010。10時30分~21時。(日・祝祭日20時30分閉店)。月曜休。
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〈佳芳 みつ峰〉南アルプスを眺めながらこだわりのケーキとコーヒーを楽しむ
飯田市から伊那北部の箕輪町までを貫く伊那南部広域農道。りんごや梨畑に囲まれる風景から地元からは「フルーツライン」の愛称で呼ばれるこの道沿いに〈佳芳みつ峰〉はあります。駐車場から店舗へ続く小道にはさまざまな草木がゲートのように出迎えてくれます。
木の温かみを感じるロッヂ風の店内に入ると、クッキー等の焼き菓子を販売しているコーナーと、ショーケースには地元高森町をメインに下伊那産のフルーツを使ったタルトやケーキが並びます。店内奥にはカフェスタイルのイートインスペースも備えているので、選んだケーキを飲み物と一緒にその場で食べることができます。
今回頂いたのは“苺タルト”。甘さ控えめのタルトの生地とカスタードクリームが採れた苺の甘みと相まって、後を引きます。また、コーヒー"竹炭焙煎ブレンド"に使われているのは、大自然に囲まれた大鹿村で汲んだ軟水の湧き水。口当たりを滑らかにしてくれます。コーヒー豆は一般的な量よりも少し多めの15g使い、香りや風味を損なわないよう粗めに挽いているとのこと。芳醇な香りとマイルドな風味によってケーキの味が引き立ち、なんとも相性抜群な組み合わせでした。
店舗を取り囲む色鮮やかな木々と山々のコントラストが爽やかな気分にさせてくれます。雨の日のデートにぜひ。
〈佳芳 みつ峰〉
長野県下伊那郡高森町山吹434-14。TEL 0265-34-3845。10時~18時30分。火曜・水曜休
☞https://www.kahoumitsubachi-nagano-cake.com
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〈十字屋可否茶館〉温泉街に佇むレトロカフェ
阿智村は「日本一の星空」を誇る村としてギネス世界記録にも載った南信州屈指の人気観光スポット。〈十字屋可否茶館〉は阿智村を代表する喫茶店。かつては飯田市街地の中央通りにあったお店ですが、昼神温泉にほど近い位置に移転して、現在は温泉街を訪れる観光客の癒しの空間となっています。
店内へ入ると、大正時代にタイムスリップしたかの様なレトロで洗練された空間が広がります。バーカウンターの奥に並ぶ食器棚にはマスターこだわりの食器類が並べられ、どの角度から眺めても絵になる雰囲気。頂くのは十字屋名物のホットケーキ。バターとメープルシロップがとろけるオーソドックスな「ホットケーキ」や贅沢に小豆がのった「金時ホットケーキ」など種類がある中で、今回はフルーツホットケーキを注文しました。
外の風景を眺めながら待っていると、目の前に運ばれてきたのは正円形に茶色い焼き目がついた、まるで絵本から飛び出てきたような美しいホットケーキ。その上にはカラースプレーで彩られたソフトクリームとフルーツが。弾力感のあるしっかりした生地とクリームやフルーツの甘みが合わさり、どこか懐かしいホッとする味わいとなっています。生地が2枚重なっているのでボリュームもしっかりあり、ハイキングなどの帰りに糖分補給するのもいいのではないでしょうか。食事を取りたいという方にはオリジナルポークカレーもおすすめとのことで、次回はトライしてみたいと思います。
夏季は不定休ということで、訪れる前に営業しているかの確認を。アクセスは車が便利です。温泉とスイーツを満喫する休日ドライブの候補にいかがでしょうか。
〈十字屋可否茶館〉
◆長野県下伊那郡阿智村智里503-189。TEL 0265-43-2323。10時~16時30分。金曜休。夏季不定休。
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〈テンリュウ堂〉築84年の古民家リノベカフェで頂く季節のランチ
JR東海飯田線の天竜峡駅を降りて、国指定の名勝「天龍峡」を見下ろす橋に向かって歩くとすぐに、可愛らしいソフトクリームの看板が目を引くテンリュウ堂〉があります。土産物店通りの中にあるこのカフェも、元々は土産物店でした。1938年建築の古民家を改修。2018年4月から〈テンリュウ堂〉としてオープンして以来、地元の馴染み客のみならず、天龍峡を訪れる県内外の観光客に愛されています。
店内に入ると、まず目に入るのはおしゃれな空間。古材が持つ温もりを活かした店内のところどろにこだわりのインテリアや小物が置かれています。〈テンリュウ堂〉は通常のカフェだけでなく、シェアカフェとしても営業をしています。シェアカフェでは毎月週替わりで別の飲食店が出店。ある日は薬膳カレー店、またある日は無肥料・草生栽培で作った野菜を使用したランチを提供する店が出現。何度行っても驚きと発見がある仕組みとなっています。
通常のカフェ営業の際には無農薬野菜を使用した〈テンリュウ堂〉オリジナルランチなどのカフェメニューを楽しめます。今回の取材では"暦ランチ"を頂きました。使用されている野菜はほぼ全て阿智村と飯田市龍江の農家さんから仕入れています。どちらの畑も標高が高い場所にあり、寒暖差が激しいためうま味が凝縮した深い味わいの野菜が採れるそうです。
運ばれてきたのは手の込んだ創作料理全12種類がのせられたプレート。豚ヒレ肉の麹焼きは下伊那郡豊丘村の豚肉を使用しており、さつま揚げも手作りのものでした。中でも印象的だったメニューは「新玉ねぎのすりながし」。先述の契約農家から仕入れた新玉ねぎをそのまますりおろし、出汁を加えたシンプルな一品でしたが、新玉ねぎの甘みとうま味がダイレクトに味わえて新しい食体験でした。時期によって採れる食材が異なるので、次に立ち寄るときにはどんな料理が食べられるのか楽しみです。
食後には"本日のおやつクリームパフェ"とアイスコーヒーを注文。ソフトクリームは、同じく下伊那の高森町にある、市田酪農のソフトクリームを使用。甘さ控えめで後味がとてもサッパリしていて、下の層にあるパイナップルゼリーとオレンジ、さくらんぼとの相性が抜群に良かったです。雨の日だからこそ、普段よりもさらにゆったり贅沢なカフェ時間を過ごしたいときにぴったりなカフェです。
アクセスはJR東海飯田線「天竜峡」駅から徒歩3分程、駐車場も裏手にある公共駐車場がありますのでそちらに停められます。三遠南信自動車道、天竜峡インターからも近いので、電車、車移動共にアクセスしやすいです。
またシェアカフェの情報については、テンリュウ堂インスタグラムアカウントで随時情報を発信しておりますので、そちらでご確認頂けます。
〈テンリュウ堂〉
◆長野県飯田市川路4919。TEL 0265-55-2052。営業時間11時~16時。不定休。
☞https://www.instagram.com/tenryudou/
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〈光論亭〉松川町の小さな英風カフェで過ごすこだわりのティータイム
1998年から続くここ光論亭は、下伊那地域では珍しい本格的なスコーンや紅茶が楽しめるカフェとして、長い間ファンに愛されている人気の高いスポットです。
光論亭に辿り着くまでの道のりは大型店舗やガソリンスタンドが立ち並ぶ国道153号が続きますが、光論亭の敷地に入ると雰囲気がガラッと変わり、静かな平地の中に白色の可愛らしい建物と、その手前にはファンタジックな様相の銀杏の木が佇みます。天井が高く、別荘地のログハウスのような店内には、焼き菓子の香ばしい香りが広がります。店内の席はそれぞれ独立した小スペースに設けられているので、個室感覚でゆっくり過ごすことができます。
さすが紅茶好きのオーナーの店。紅茶のメニューはなんと16種類。それぞれ風味の特徴もメニューに添えられているので、初めての方でも選びやすくなっています。スコーンはもちろん、イギリスの伝統菓子やワッフルのメニューも多数あり、天然酵母のベーグルサンドやカレー、パスタの食事メニューもランチタイム限定で味わえます。
今回は看板メニューでもある紅茶とスコーンのセット「クリームティー」を頂きました。セットの紅茶は5種類から選ぶことができ、"バランスの取れた味"と紹介されていた「ディンブラ」をチョイス。スコーンが運ばれてくると、焼きたての香ばしい香りが鼻を抜けます。
あわせて頂くのは手作りの木苺ジャムと、世界的に有名な英国の乳製品メーカー"Rodda’s"のクロテッドクリームです。まず木苺ジャムですが、木苺そのままを食べているようなサッパリした甘さで、このジャムだけでもいくらでも食べてしまえるくらいです。そしてクロテッドクリームはバターよりも口当たりが軽い為、たっぷりとスコーンにつけて食べてもくどくならず、双方の甘味が際立ちます。
光論亭で提供される焼き菓子は、香りを損なわないよう一度に焼く量を少量にしているので、いつでも焼きたてが味わえます。小麦粉は国産小麦を100%使用。砂糖は小麦粉の甘みを損なわないよう自然の甘さを引き出すてんさい糖やメープルシロップを使って作られています。全てオーナー1人で一つ一つ手作りしており、スコーンのレシピも改良と研究を重ねて今の形にたどり着いたそうです。
セットの紅茶として頼んだディンブラは市販のものに比べて香り高く、一口すすると本場のティータイムを過ごしているかの様な気分を味わうことができます。日本への輸入量が最も多く慣れ親しんだ茶葉だけに、“紅茶ビギナー”の私でもこの紅茶の美味しさがわかりました。スコーンやワッフルは定番メニューですが、他にも時期によって楽しめる焼き菓子や、予約制のアフタヌーンティーもあります。最新情報はインスタグラムアカウントで随時更新されています。
アクセスは車が便利です。店舗の前には広い駐車スペースも確保されており、国道から程近いので立ち寄りやすいです。
オーナーこだわりの焼き菓子と紅茶を是非味わってみてください。
〈光論亭〉
◆長野県下伊那郡松川町元大島909。TEL 0265-36-5886。11時~18時(食事11時20分~14時)。月曜休。毎月火曜1日のみ定休(火曜日休みの日はインスタグラムにて毎月お知らせ)
☞https://kowatei.jp
☞https://www.instagram.com/kouwa_tei/
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取材・文・写真:瀧井まりあ
<著者プロフィール>
瀧井まりあ(Takii Maria)
東京都出身。夫婦揃って都会で育ってきたが旦那の提案で下條村に移住。
初めて送る田舎ライフも3年目となりこれから農業を始め、古民家改修にも着手予定。南信州の魅力とライフスタイルを発信するコンテンツを準備中。
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