初夏の味の根曲がり竹 長野県ではサバ缶と一緒に お味噌汁でいただきます
例年5月から7月にかけて旬を迎える「根曲がり竹」。
さまざまな調理法があるなかでとくに長野県民に人気があるのがサバ缶を使ったお味噌汁です。
サバ缶? と思うなかれ。その魅力についてご紹介します。
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根曲がり竹とサバ缶でお味噌汁!?
初夏を代表する山菜のひとつ、根曲がり竹をご存じですか? えぐみが少なく甘みを感じる味わいと、シャクシャクとした良い歯ざわりが特徴で、シンプルに皮ごと焼いて塩で味わったり、煮物や天ぷらにするなど、家庭ごとにさまざまな調理方法があります。なかでも長野県の郷土料理として知られているのが、サバ缶を加えた根曲がり竹のお味噌汁です。海なし県として知られる長野県はかつて海産物が手に入りにくく、長期保存・保管ができる缶詰は重宝されてきました。現在も魚介類の缶詰は全国でもトップクラスの消費量を誇り、家庭ごとに缶詰を使ったバリエーション豊かな料理が作られています。
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なかでも魚と旬の食材を組み合わせたサバ缶と根曲がり竹のお味噌汁は、初夏に欠かせない郷土料理として食べ継がれています。その作り方はいたって簡単。基本の材料は根曲がり竹とサバ缶、お味噌の3つがあれば調理できます。竹の皮を手で一枚ずつめくるようにむいたら食べやすい大きさに切り分けて準備は完了。アクが少ないので下ゆでなしで調理することができるので、あっという間に完成します。好みに応じて玉ねぎを加えたり、卵を溶いて溶き卵風にするなどのアレンジもできます。
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そもそも長野県の根曲がり竹とは
根曲がり竹とは千島笹(チシマザサ)の若竹のことをいいます。芽が地上に出はじめるころはまだ積雪があり、その重みで根元から曲がって伸びていく姿からその名が付きました。地域によっては姫竹(ひめたけ)、姫筍(ひめたけのこ)とも呼ばれています。スーパーで見かける機会が多い孟宗竹(モウソウチク)と比べるとスラっと細いながらもしっかりとした肉厚があるのが特徴です。最近では皮むき専用のカッターがあり、下ごしらえはより簡単にできるようになりました。すぐに食べない場合は、濡れた新聞紙で包んで冷蔵するか、茹でたものを水に浸して保存しましょう。
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長野県では主に北信濃エリアの標高が高い寒冷地で自生し、5月から7月にかけて収穫することができます。笹薮の根元に生えていることが多く、笹薮をかき分けるようにしながら収穫します。その最中に鋭く伸びた竹が刺さったり、笹で肌が切れたり、洋服がやぶれたりするなんていうこともしばしば。クマの好物でもあるので、クマ除け対策も必須。これほどまでに大変な思いをしても食べたい! と自ら収穫する人が多く、人気の山菜といえるでしょう。旬の味わいであるとともに、煮ても焼いても、炒めても、万能なおいしさだからこそです。
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お店で、家庭で楽しむ根曲がり竹
季節になると飲食店や旅館では根曲がり竹を使った料理を提供するようになり、根曲がり竹を目当てに訪れる人もいるほどです。「収穫するのは大変だけど、自分で調理したい」という人には、旬の食材が並ぶ「道の駅」や「青果店」がおすすめです。シーズンを迎えると収穫したての根曲がり竹や水煮瓶を販売しているところがあります。もっと気軽に家庭で味わいたいという人は、人気の味噌汁缶がおすすめです。同じシリーズでカレーバージョンも発売されているので、味を比べてみるのも楽しいかもしれません。
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とくに根曲がり竹の季節はスーパーの入り口に山積みになるサバ缶ですが、長野県では普段から広く親しまれる食材。各家庭の食材ストックに必ずあるといって過言でないほどで、その消費量も全国上位を誇ります。長野県内の味噌蔵が自家製の味噌と国内産サバを漬け込んだサバ缶などのお取り寄せもあります。使い方はさまざまですが、一時期話題を呼んだサバサンドやサバ缶カレー、トマト煮込みなど洋風の料理にも合うのでストックしておくのも良いでしょう。
根曲がり竹にサバ缶。長野県民がこよなく愛する初夏の味わいを、旅先で、家庭で気軽に楽しみましょう。
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