里山の風景とワインを楽しむ 千曲川ワインバレー、北地区へ
長野市から北に広がる千曲川ワインバレー北地区。
果物の名産地にさまざまなワイナリーが揃う
ワイナリー巡りがしやすい地域です。
老舗の日本酒蔵から新進まで
注目の産地へ
千曲川ワインバレーは、その名の通り、千曲川(信濃川)の流域に広がります。上流域から下流域まで、その範囲は広いので、下流を北地区、上流を東地区として、今回は北地区をご案内します。
北地区は中野市、小布施町、須坂市、高山村、飯綱町、長野市が含まれ、長野県のワイン産地の老舗、塩尻・桔梗ヶ原に次いで古くからワイン造りがはじめられた地域でもあります。はじまりは老舗の日本酒蔵。1867年創業の小布施ワイナリー(小布施酒造)は1942年からワイン造りをはじめました。長野市にある江戸末期創業の西飯田酒造店も、1970年代からワイン造りに取り組みます。その後、ワイナリーが次々と開業しはじめたのは2011年以降のことです。
もともと、古くから巨峰などの生食用ぶどうやりんご、桃、あんずといった果樹栽培が盛んな地域。果樹栽培の技術を生かして新たにワイン用ぶどうの栽培に取り組む農家も多く、その品質の高さから、ぶどう生産地としても大いに注目を集めていったのです。たわわにくだものが実る風景や山々に囲まれた農村地帯は、信州の里山の魅力のひとつ。そんな里山の風景とともにワインを楽しめるのが、千曲川ワインバレー北地区です。
温泉とワインの村、高山村へ
千曲川ワインバレー北地区には 10軒のワイナリーがありますが、そのうち半分が高山村にあります。2015年のカンティーナ・リエゾーの開業を皮切りに、信州たかやまワイナリー、ドメーヌ長谷、マザーバインズ長野醸造所、ヴィ二クローブと、2019年まで毎年1軒ずつ増えていったのです。
とくに、信州たかやまワイナリーとカンティーナ・リエゾー、ヴィ二クローブは徒歩10分内にあります。信州たかやまワイナリーでは、醸造家による説明とグラスワイン2杯がついて500円という「ワインメーカーサジェスチョン!」が予約不要で楽しめます。ほかの2軒のワイナリーを見学希望の場合は事前に必ず連絡を。農作業や醸造の状況によっては対応ができない場合もあります。長野電鉄須坂駅から車で20分ほど。バスの場合は、須坂駅発の長電バス山田温泉線「二ツ石」あるいは「役場前」バス停からカンティーナリエゾーまで徒歩15分ほどですが、本数が少ないので利用する場合は事前に確認してからでかけましょう。道中は、里山ののどかな風景を楽しめます。高山村は、信州高山温泉郷を有する村でもあります。松川渓谷沿いに8つの温泉地があるので宿泊して楽しむのもおすすめです。 例年、4月と11月には、高山村のぶどうでつくられたワインを楽しむ「おごっそに乾杯」というイベントが催されています。生ハム工房やチーズ工房もある高山村。村の特色を生かしたなごやかなワイン会が楽しめます。
ほかにも訪れたい 千曲川ワインバレー北地区のワイナリー
高山村へのアクセスの入口となる須坂駅ですが、ここを起点に長野電鉄を北上すれば、たかやしろファームがあります。信濃竹原駅を下車してのどかな果樹園の合間を縫って歩くこと20分。4軒の篤農家が集まってはじめたワイナリーだからこそ、原材料のぶどうの品質は高く、種類も多く、何よりコストパフォーマンスの高さに驚きます。試飲をしながら選べます。
須坂駅から南へ向かえば、楠わいなりーがあります。駅から車なら15分、バスなら長電バス仙二線「湯っ蔵んど」バス停下車すぐです。こちらも試飲しながらワインを選ぶことができます。楠わいなりーは例年2月に須坂駅前で開催される「ワインフェア須坂」の企画運営を、地元の商店街や有志、市役所の皆さんとともにしています。長野県内にある30近くのワイナリーが集まる催しなので、こちらにあわせて訪れるのも良いでしょう。
須坂駅からは離れますが、千曲川ワインバレー北地区へのワイナリーツーリズムであれば、レストラン併設のサンクゼールワイナリーも欠かせません。レストラン、ショップ、ガーデンなどもあり、家族連れでも、ペット連れでも楽しめるワイナリーです。レストランやぶどう畑から眺める里山の風景は、ほかでは味わえないのどかさと、田舎らしい美しい緑に満ちています。「ヴィニュロンたちの食卓」と題したテーマを設定したワイン会など、イベントも多数、開催。最寄りのしなの鉄道牟礼駅からはシャトルバス(不定期)も運行しています。
ローカル電車やバス、ときにはタクシーを乗り継ぎながらワイナリーを巡る旅は、のどかな風景をゆっくりと楽しめるほか、地元の人と思わぬ交流が生まれたりと、素朴ながら温かな記憶に満ちた旅になるはずです。
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