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バーテンダー同士のつながりから生まれた「BARの街」
松本が「BARの街」と呼ばれるようになったのは、町中にバーが増えてきた2000年ごろから。松本駅周辺から本町通り、中町通りとオーセンティックなバーから、気軽に楽しめるパブまで、さまざまなタイプの店がそろいます。その立役者と言って過言でないのが「MAIN BAR COAT」のオーナーバーテンダー・林幸一さんです。
林さんが「MAIN BAR COAT」をオープンしたのは1998年。その頃はまだ、松本が「BARの街」と呼ばれることはなかったと振り返ります。1992年にはじまった「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(現セイジ・オザワ 松本フェスティバル)」など、県外から多くの人が泊りでやってくるイベントがあっても、夜になると行くところがないと言われるほどだったそう。
そこで、夜の松本の楽しみ方を提案しようと動きはじめたのが日本バーテンダー協会長野支部の松本地域のメンバーでした。そのときに、合言葉となったのが「BARの街・松本」。チャリティーパーティーの企画開催や、フリーのガイドブック「信州松本バー紀行」の発行など、さまざまな活動をするうちに、メディアで取り上げられる機会が増え、全国的な認知度も高まっていきました。
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“街の世話人”バーテンダーとの会話も楽しむ
バーと聞くと、行ったことがない人は「何となく敷居が高くて、入りづらい」というイメージを持っているかもしれません。しかし、落ち着いた空間でお酒をゆっくり楽しみたいという人にとってはもちろん、実は「その街のことを知りたい」という人にとっても最適な場所。
カウンターでお酒を飲みながら、バーテンダーに街のおすすめを聞いてみるのもいいかもしれません。早い時間に訪れて、教えてもらった食事処へ足を運び、再び戻ってきて一杯飲むというお客様もいるそう。林さんは、バーテンダーの意味をこう教えてくれました。「バーテンダーの『テンダー』は、世話をする人という意味。お酒のことも、街のことも、お役に立てればうれしいです」。
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それぞれの楽しみ方でゆっくり過ごす、松本の夜
近年、松本のバーはより多彩になってきています。林さんのお店「MAIN BAR COAT」は、一枚板のカウンターに英国アンティーク家具が並ぶ本格派オーセンティックバー。歩いてすぐの距離にある姉妹店・アイリッシュパブ「OLD ROCK」は地元のクラフトビールやフードも充実したお店です。和風モダンな空間で国産ウイスキーに力を入れる「ENTRANCE BAR PORTER」や、ラム酒が豊富な「カンティーナわん」のほか、自然派ワイン、クラフトジンなどお酒の種類に特化したバーも。昼間は松本の自然や歴史・文化を満喫し、夜はその余韻に浸るようにバーでひとときを過ごす。そんな松本ならではの楽しみ方もおすすめです。夜の街を歩いているうちに、ふと目に留まったバーの扉を開けてみてください。何軒行っても大丈夫。松本の夜は、長いですから。
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